中小・中堅企業を対象としたイノベーション活動について調査 イノベーションを創出させる要因を明らかに

近畿大学経営イノベーション研究所(大阪府東大阪市)は、公益財団法人大阪産業局と、中小・中堅製造業のイノベーションに関する共同研究調査を行い、その成果をまとめました。
本調査は、近畿大学と大阪産業局が令和4年(2022年)4月に締結した包括連携協定の一環として実施したもので、コロナ禍、少子高齢化、地球温暖化などの問題に対応し、新たな時代に向けて中小・中堅製造業のイノベーションを活発化する方策を探ることを目的に調査しました。

【本件のポイント】
●中小・中堅製造業における、イノベーションを創出させる要因を調査
●公益財団法人大阪産業局と近畿大学の包括連携協定の一環による共同研究
●改善・改良に基づくイノベーションは、全回答の40%以上の企業が実施

【調査概要】
調査期間:令和4年(2022年)11月1日~11月18日
調査対象:大阪産業局に登録されている会員企業から、製造業に該当する企業4,250社を対象とし、272社が回答
調査方法:郵送によるアンケート方式(回答はWebと併用)
調査結果:別紙参照

【調査結果の分析】
調査結果の分析を行い、以下が明らかになりました。
(1)イノベーションを4つの類型((1)改善・改良に基づく新製品・サービスの開発、(2)新たな組み合わせによる新製品・サービスの開発、(3)新たな機能・内容による新製品・サービスの開発、(4)新分野・新業界・新市場への進出)で捉えたところ、40%以上の企業で改善・改良に基づくイノベーションへの取り組みが進展していることが分かった。
(2)外部連携とイノベーションの関連性については、4つの類型全てにおいて、デザイナー・クリエイターと連携している企業、及び大学と連携している企業で、イノベーションを創発している割合が高い結果となった。
(3)イノベーションの4つの類型に共通して有効なものは、顧客ニーズへの注意喚起、データとデジタル技術を活用した取り組み、サプライヤー、顧客企業、大学、公設試験場・研究機関、支援機関、デザイナー・クリエイターとの外部連携である。とりわけ、イノベーションの実現には外部連携が有効であることが明確になった。また、ICTへの取り組みがイノベーション創出に大きく影響していることも明らかになった。
(4)ICTとイノベーションとの関連性については、「データとデジタル技術を活用した取り組みの実施」が、既存のものに新たなものを組み合わせた新製品・サービスの開発と、全く新しい機能や内容の新製品・サービスの開発という2種類のイノベーションに繋がっているという結果がでた。特にデータとデジタル技術の活用が、全く新しい機能や内容の新製品・サービスの開発など、「新しい価値を創造する」ことに繋がっており、中小・中堅企業の今後のDX(デジタル・トランスフォーメーション)の進展を期待できる結果である。
また、「企業全体のミッション・目標が設定されており、それぞれの部門に対して徹底され、共有できている」、「顧客ニーズに注意を払っている」、「経験をマニュアル化、文書化を習慣づけて行っている」、「いつでも業務に関する情報を引き出せるオンライン上の仕組みがある」、「社内情報を交換・共有するため会議等の機会を設けている」という項目もイノベーションとの関連性がわかったが、これらもDXに関わる項目である。
以上のことから、大阪府下の中小・中堅の製造業がDXに取り組み、一定の成果を得ていると考えられた。

【経営イノベーション研究所】
経営イノベーション研究所(所長 文能 照之)は、近畿大学21世紀教育改革の目標を実現するために、平成23年(2011年)に設立されました。以来国内外の学界と連携し、経営イノベーション研究のフロンティアを開拓し研究成果を世界へ発信することで、マネジメントの分野における近畿大学の国際化水準と学問的地位を高めることを目的に活動を行っています。

【関連リンク】
経営学部 キャリア・マネジメント学科 教授 文能 照之(ブンノウ テルユキ)
https://www.kindai.ac.jp/meikan/103-bunnou-teruyuki.html

経営イノベーション研究所
https://www.kindai.ac.jp/rd/research-center/management-innovation/
経営学部
https://www.kindai.ac.jp/business/


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