タウリンやグリシン、生薬シゴカの成分に 疲労回復や睡眠の質改善につながる作用を発見!

2024-03-12 11:00
「タウリン、グリシン、生薬シゴカ中の成分が疲労の回復と睡眠の質改善につながる作用を発揮する(イメージ図)」

大正製薬株式会社[本社:東京都豊島区 社長:上原 茂](以下、当社)は、当社の研究において、『タウリンや睡眠系アミノ酸であるグリシン、生薬シゴカ※1の主要成分であるエレウテロシドEに、疲労の回復につながる作用があること』、さらに『タウリンとグリシンには睡眠の質改善につながる作用もあること』を新たに見出しました。

当社は長年に渡り「疲労」についての研究を進めております。近年、疲労研究をさまざまなアプローチで行う中で、疲労の蓄積や睡眠の質低下に関係があり、細胞にダメージを与える酸化ストレス※2に注目しております。このたび、『タウリンやグリシン、エレウテロシドEが、酸化ストレスによる細胞内エネルギー※3(ATP:アデノシン三リン酸)量減少を抑制すること』、『タウリンとグリシンが、睡眠調節因子の発現異常を抑制すること』を発見するにいたりました。タウリン、グリシン、エレウテロシドEを摂取することは、疲労回復や良質な睡眠にもつながり、快適な朝のスタートをサポートすることが期待されます。

来る3月15日(金)は、世界睡眠協会(World Sleep Society)が、睡眠障害の予防と管理を促進することを目的として設定した「世界睡眠デー」※4です。近年、疲労と睡眠には密接な関係があることも分かっております。質の高い十分な睡眠がとれるよう、ご自身の睡眠や疲れについて見直すきっかけにしてみてはいかがでしょうか。当社では、引き続き、「疲労」に関する研究を推進することにより、生活者の健康で豊かな生活に貢献できるソリューション開発に活用してまいります。

【研究成果1:タウリン、グリシン、エレウテロシドEは神経細胞内ATP量の減少を抑制する】

疲労のメカニズムの一つとして、体内に発生する酸化ストレスなどにより細胞内エネルギー(ATP)量が減少することが考えられます。そこで、酸化ストレスを誘発させた神経細胞に、タウリンやグリシン、エレウテロシドEが与える効果について検証しました。
その結果、細胞内ATP量は、酸化ストレスによって減少しました。一方で、酸化ストレス下ではタウリンやグリシン、エレウテロシドE処理によって細胞内ATP量は増加しました(図1)。

図1 タウリン、グリシン、エレウテロシドEが酸化ストレス下の細胞内ATP量に与える影響
平均値(対照群(グレー)の平均値を1とする)+標準誤差 n=5-6
**p<0.01,***p<0.001,Studentのt検定,vs 対照群(グレー)
#p<0.05,Studentのt検定,vs 酸化ストレス刺激群(白)

【研究成果2:タウリン、グリシンは神経細胞における睡眠調節因子の遺伝子発現異常を抑制する】

睡眠の質は副交感神経などの生体内の様々な因子が複雑に作用することで調節されます。そこで、睡眠を調節する因子(睡眠調節因子)として、CHRM1※5、CHRM3※6、HRH1※7の3遺伝子に着目し、それらの遺伝子発現量に対してタウリンとグリシンが与える効果について評価しました。

<研究成果2-1:タウリンは睡眠調節因子(CHRM1、3)の発現量減少を抑制する>
CHRM1、CHRM3は睡眠の質を調節する副交感神経受容体です。最近の研究から、CHRM1、CHRM3の機能低下は睡眠に障害をもたらすことから重要な睡眠調節因子であることが示唆されました。そこでこれら因子について解析した結果、CHRM1、CHRM3の発現量は、酸化ストレスによって減少しました。一方で、酸化ストレス下ではタウリン処理によってそれらの発現量は増加しました(図2)。

図2 タウリンが酸化ストレス下の睡眠調節因子(CHRM1、CHRM3)の遺伝子発現量に与える影響
平均値(対照群(グレー)の平均値を1とする)+標準誤差 n=6
†††p<0.001,Aspin-Welchのt検定,***p<0.001,Studentのt検定,vs 対照群(グレー)
#p<0.05,##p<0.01,Studentのt検定,vs 酸化ストレス刺激群(白)

<研究成果2-2:グリシンは睡眠調節因子(HRH1)の発現量増加を抑制する>
HRH1は覚醒に関わる因子であり、中途覚醒をもたらす可能性が示唆されている睡眠調節因子です。そこでHRH1の遺伝子発現量について解析した結果、HRH1の発現量は、酸化ストレスによって増加しました。一方で、酸化ストレス下ではグリシン処理によってHRH1の発現量は減少しました(図3)。

図3 グリシンが酸化ストレス下の睡眠調節因子(HRH1)の遺伝子発現量に与える影響
平均値(対照群(グレー)の平均値を1とする)+標準誤差 n=5
*p<0.05,Studentのt検定,vs 対照群(グレー)
#p<0.05,Studentのt検定,vs 酸化ストレス刺激群(白)

【研究成果のまとめ】

本研究では、タウリンやグリシン、生薬シゴカの主要成分であるエレウテロシドEが酸化ストレスによる細胞内ATP量の減少と睡眠調節因子の発現異常を抑制することを明らかにしました。酸化ストレスの影響を軽減するタウリンやグリシン、エレウテロシドEは快適な朝のスタートをサポートすることが期待されます。

※1 生薬シゴカ:エゾウコギ(ウコギ科の植物)の根茎。中国ではその抽出物が不眠症治療に使用されてきました。
※2 酸化ストレス:細胞にダメージを与える活性酸素種の産生とそれを除去する抗酸化防御機構のバランスが崩れ、酸化に傾いた状態。本研究では、活性酸素種の1種である過酸化水素(H2O2)を用いて酸化ストレスを誘導させています。
※3 エネルギー:ATP(アデノシン三リン酸)のこと。全ての細胞が活動する上で必要となる物質。
※4 世界睡眠デー(World Sleep Day):世界睡眠協会(World Sleep Society)が睡眠に関する問題に目を向け行動を呼びかけるために定めている日であり、2024年は3月15日(金)です。
※5 CHRM1:cholinergic receptor muscarinic 1
※6 CHRM3:cholinergic receptor muscarinic 3
※7 HRH1:histamine receptor H1

その他、大正製薬の研究成果については、大正製薬 研究開発サイトでもご確認いただけます。

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