陸上養殖したクエタマをみなべ町漁業生産組合が初出荷 地域産業活性のため近畿大学水産研究所が技術支援

陸上養殖したクエタマ
陸上養殖したクエタマ

近畿大学水産研究所(和歌山県西牟婁郡白浜町)とみなべ町漁業生産組合(和歌山県日高郡みなべ町、組合長 小谷 繁)は、共同で取り組んでいるクエタマの陸上養殖試験に成功し、令和3年(2021年)11月1日(月)から、同組合直売所で2kg級の成魚の試験販売を開始します。クエタマの陸上養殖はこれまで全国でもほとんど行われておらず、この取り組みによって高級ハタ類の養殖研究の発展や地域水産業の活性化が期待されます。
なお、クエタマとは、平成23年(2011年)に近畿大学が初めて作出に成功した、クエとタマカイの交雑種で、"幻の高級魚"といわれるクエのような淡白で上品な味わいがありながらクエよりも成長が早く、新養殖魚種として注目されています。

【本件のポイント】
●交雑魚クエタマの、稚魚から成魚への陸上養殖、および販売までの可能性を実証
●成長の早い交雑種クエタマで、地域水産業の活性化に取り組む
●陸上養殖の成功によって、クエを始めとする高級ハタ類の養殖研究の発展に期待

【本件の内容】
近畿大学水産研究所白浜実験場とみなべ町漁業生産組合は、令和元年(2019年)よりクエタマを稚魚から成魚まで一貫して陸上水槽で飼育する共同研究を行い、成長や生残、飼料効率等の技術的課題の洗い出しと、地元漁業者によるクエタマ陸上養殖の可能性について検証してきました。
現在飼育しているクエタマは、令和元年(2019年)6月6日に近畿大学水産養殖種苗センターすさみ事業場でふ化した約500尾です。同年8月20日に、みなべ町生産組合の約8トンのFRP製円形水槽4面に505尾(約4.7g)を収容し、近畿大学水産研究所の技術支援のもと、地元漁業者によって飼育が行われてきました。梅の生産量日本一として知られ、南高梅発祥の地であるみなべ町の梅樽を再利用した水槽も加えて、現在は11面に広がっています。飼育は順調で、収容から約2年2カ月を経過した現在、ほとんど死亡もなく485尾が元気に育っており、白浜町内の海上いけすでのクエ飼育実績と比較して、およそ2倍の早さで成長しています。
このほど、出荷サイズの2kgに達する個体が出始め、味等の品質面でも良好であるため、みなべ町漁業生産組合直売所で販売することになりました。

【試験販売概要】
販売開始:令和3年(2021年)11月1日(月)11:00 ※ なくなり次第終了
販売場所:みなべ町漁業生産組合直売所
     (和歌山県日高郡みなべ町みなべ町堺574、
      JR紀勢本線「南部駅」から車で約7分)
販売価格:1kgあたり5,500円(税込)
お問合せ:みなべ町漁業生産組合 担当:小谷 TEL(090)5164-2400

【交雑種クエタマについて】
近畿大学では昭和63年(1988年)に世界で初めてクエの種苗生産に成功し、その後完全養殖により養殖を行ってきました。クエは特に低水温環境では成長が遅く、出荷までに時間を要することが課題であったため、温暖な奄美大島(鹿児島県)でのクエ養殖に取り組む一方、平成23年(2011年)には、成長の良い南方系のハタ科魚類であるタマカイと交配させる交雑魚「クエタマ」の作出に成功し、クエよりも成長が早く身質も良好で高い評価を受けています。

【関連リンク】
水産研究所
https://www.flku.jp/
水産養殖種苗センター
https://aqua-seed.kindai.ac.jp/


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