コロナ解雇は違法?また、解雇後、今後の生活のためにできることとは?コロナ解雇にあった方100名を対象に、その実態と対処法についてアンケートを実施。

コロナ解雇、「違法だと思う」との回答は15%に。労働者からは「会社も被害者」との声。一方で「それほど影響を受けていないのに解雇」の声も。

株式会社カケコム

昨今、新型コロナウイルス感染拡大の影響から企業が経営不振になり、従業員が解雇されてしまう「コロナ解雇」が話題になっています。厚生労働省は16日、新型コロナウイルス感染拡大の影響による解雇や雇止めは、見込みを含め12日時点で2万4660人にも及ぶことを発表しており、その影響の大きさがわかります。(参照:https://news.yahoo.co.jp/articles/11e6d17c21e4263ff760e33b116629c7a76a49ff
コロナ不況の中、一旦解雇されてしまえば、目の前の生活が立ち行かなくなってしまう状況にある方も多く、今後の生活に漠然と不安を抱えている方もいらっしゃるでしょう。

こうした状況を受けカケコムでは、どのような業種や雇用形態にコロナ解雇が多いのかや、今回の解雇は違法だと思うか、さらには今後の生活のために何をしたのかを、実際にコロナ解雇にあった方100名を対象に、アンケート調査を行いました。本記事では、そのアンケート結果やコロナ解雇にあった方々の実際の声も紹介しながら、コロナ解雇の実態やその対処法についてご紹介していきます。

本記事がコロナ解雇にあってお困りの方や、不安な気持ちをお持ちの方のお役に立てれば幸いです。

【コロナ解雇に関するアンケート 調査概要】

下記は、今回実施したアンケート調査の概要になります。

雇用に最も影響を受けたのは?コロナ解雇の実態に迫る

昨今、飲食店やホテル、旅行会社などのサービス業を中心に、新型コロナウイルス感染拡大の影響による被害が広がっているのはよく聞くところですが、実際にはどういった業界が最も影響を受けているのでしょうか?
カケコムではまずコロナ解雇にあった方を対象に、当時務めていた企業の業界について、アンケートを実施しました。

アンケートの結果、「サービス」が39%、「小売り」が17%、「メーカー」が11%、「金融」「インフラ」「IT」が2%、「商社」「官公庁・公社・団体」が1%になりました。
サービス業界は、相次いで休業要請を受けた飲食業や、インバウンドと関連性の高いホテル、観光業などが大きく影響を受けたことから、他の業界に比べて特に多い結果となっています。
また、小売りやメーカーも、サービス業界ほど注目されていませんが、今回のアンケート結果からはコロナの影響をかなり受けていることがわかります。
また、件数としてはサービスや小売り、メーカーほど多くないですが、金融やインフラ、IT、商社、官公庁・公社、団体などでも解雇された方がみられ、多くの業界がコロナの影響を受けていることがわかります。


アンケートでは次に、コロナ解雇にあった際の雇用形態について伺いました。その結果がこちらです。

パート・アルバイトが36%、正社員が29%、派遣社員が19%、契約社員が15%となりました。
これまでは漠然と「非正規雇用は正規雇用より解雇されやすい」というイメージを持っていた方も少なくないかと思います。しかし今回のアンケート結果から、非正規雇用の派遣社員や契約社員よりも、正規雇用である正社員の解雇割合が高い結果となり、コロナ禍で幅広い立場の方が影響を受けていることがわかります。

コロナ解雇は違法?コロナ解雇にあった方への意識調査

ここまでで、どのような業種や立場の方がよりコロナの影響を受けているかわかってきました。しかし、そもそもコロナ解雇は法的に正当なのか、疑問に思う方もいらっしゃると思います。
そこで続いてのアンケート調査では、コロナ解雇にあった方へ、今回の解雇が違法だったと思うかどうかを伺いました。

「違法だったと思う」と回答した方の声

結果として、今回の解雇は「違法だったと思う」と回答した方は、全体の15%になりました。詳細は後述にてご紹介しますが、コロナが経済に大きな影響を与えているのは多くの方が理解しているところなので、コロナ解雇はある程度しかたないと感じている方も多く、「違法だったと思う」との回答は比較的に少ない結果となったようです。

違法であると回答した方について、そう思った理由としては「会社には、できる限り雇用を維持して社員の生活を守る責任がある」といった意見が多く寄せられました。コロナの影響を受けているとはいえ、会社側に雇用を維持するための努力が全く見られなければ、一方的に解雇された労働者としては納得できない気持ちが大きくなるようです。

解雇ではなく、雇用を維持して社員の生活を守るのも企業の責任であると思うから。
(40代男性)
いくらコロナの影響だからといって、今解雇されたら厳しいのがわかっていながら強引に解雇を言い渡されたから。
(40代男性)

また、実際にはそれほどコロナの影響を受けていないのに、コロナに便乗して解雇されたといった趣旨の意見も複数寄せられました。こうしたケースは、実際の解雇理由はコロナによる経営不振とは別にある場合もありそうです。

まだ解雇されるほど影響を受けているとは思えないのに、早々と解雇されたので納得がいかない部分が大きいから。
(30代女性)
コロナで売り上げが落ちるどころか逆に上がっていたとも思うので、解雇された理由はコロナ以外にもあったと思うからです。
(30代女性)

その他にも契約社員の方で、契約期間中にも関わらず解雇された、契約期間延長という話だったのに、延長されなかったといった声もありました。

契約期間中なのにも関わらず解雇されたからです。
(20代女性)
契約期間は満了という形で話はまとまったが、その前は延長するという形式で話をしていたからです。コロナの影響とはいえ、あまり納得していません。
(20代男性)

「違法だったとは思わない」または「わからない」と回答した方の声

その一方で、今回の解雇が「違法だったとは思わない」と答えた方は53%、違法かどうか「わからない」と答えた方は32%となっており、8割以上の方はその解雇が違法だと思っていない、または違法だとは言い切れないという意見を持っていました。コロナの影響を受け経営不振になった会社は数多く、それを考慮すれば、解雇するのはある程度しかたない、会社も被害者だといった声が多く寄せられました。

納得しない形で解雇されたのは不満ですが、会社の経営状態から見ると仕方がないのかと思うからです。
(30代男性)
解雇されたことは残念でなりませんが、日本のみならず、世界的を震撼させたコロナ禍に会社も被害者だと思います。
(40代女性)

コロナ解雇後、今後の生活のためにしたことは?

もしあなたがコロナ解雇にあった場合、それが違法であってもなくても、今後の生活を維持するために何かしら行動する必要があります。しかし、突然解雇になってしまった場合、不安や絶望でいっぱいになり、何から手を付けていいのかわからなくなってしまうこともあるでしょう。
そこでここからは、これまでコロナ解雇にあった方が、今後の生活を維持するために実際にどういった行動を取ったのかみていきましょう。続いてのアンケートでは、コロナ解雇にあった後、今後の生活のためにどのような行動をとったか伺いました(選択形式、複数選択可)。

その結果、雇用保険の手続きを行った方は100人中49人、ハローワークに相談した方は38人、コロナに関わる各種支援制度を利用した方は24人、解雇を取り消してもらうよう会社に交渉した方は5人、弁護士に相談した方は2人、労働基準監督署に相談した方は1人となりました。全体としては、雇用保険の手続きやハローワークへの相談、支援金制度の利用をした方が多いことがわかります。このことから、解雇した会社に交渉するといった行動よりも、気持ちを切り替えて次の仕事や今後の生活を見据え、直近で必要なお金の確保や次の仕事を探すことを重視する方が多いと思われます。

ではここから、今後の生活のためにできる対処法についての詳細と実際の声をみていきましょう。

雇用保険の手続きを行った方の声

コロナ解雇にあった後に取った行動としては、雇用保険の手続きを行った方が最も多い結果となりました。解雇されてしまったことはしかたないと割り切り、失業手当をもらうことで次の行動に繋げたり、目先の生活に困らないようにしたといった意見が多くあげられました。

とりあえず生活費に困らないようにしたかったからこれで良かったと思う。
(40代女性)
無理に次の仕事を探すより、すぐに給付金を受け取れるので金銭面で助かったので良かったと思います。
(20代女性)

ハローワークに相談した方の声

次に多かった「ハローワークに相談した」との回答では、次の職探しのための相談を行った方が多くいらっしゃいました。ハローワークで相談することで、今後のことに目を向けることができるようになったとの声も寄せられました。

すぐにハローワークに行って相談しましたが、担当者親身になって相談にのってくれて、次の仕事が見つかりました。クヨクヨせずすぐにハローワークに行って良かったです。
(30代女性)
ハローワークに相談することで、解雇の怒りを少し和らげることもできたし、次の職に目を向けることもできた。
(30代女性)

また、ハローワークでは雇用保険の手続きや相談も受け付けています。そのため、ハローワークへ雇用保険について相談に行き、自分に合った雇用保険の給付を受けることができた方もいらっしゃいました。

雇用保険は、会社都合での退職なら7日間の待機期間を待つのみで早く失業保険が貰えるので相談してよかったです。
(20代女性)
ハローワークに行き、窓口で相談したところ、会社都合の解雇だったのですぐに失業保険の手続きに入りました。用紙の記入もその場でできましたが、郵送でも受け付けているとのことでした。求職活動を行えなくても、コロナの影響でという理由を記載すれば問題なしとのことで助かりました。
(30代女性)
ハローワークに相談した結果、5月からの就職と再就職手当の受給ができたのでよかったと思います。
(50代男性)

コロナに関わる各種支援制度を利用した方の声

コロナに関わる各種支援制度を利用した方の中には、解雇されてすぐに行動したことで、比較的早く支援金等を支給してもらえたとの声がありました。使える支援制度は積極的に利用することで、次の仕事も余裕をもって探せるようになり、気持ちも前向きになりやすいでしょう。

支援制度を使って足りなくなったお金などをゲットできたんで良かったです。幸い次の働き口も見つかりました。
(40代男性)
解雇された時点で、すぐに雇用保険の手続きやコロナに関わる支援制度をすぐに行って良かったです。早い段階で支給してもらえたので、テレビのニュースでやっているような「なかなか支給されない」的なことはありませんでした。
(30代男性)

解雇を取り消してもらうよう会社に交渉した方の声

コロナ禍の中、会社も実際厳しい状況にあるケースが多いからか、会社に直接交渉しても、最終的に復職するに至った方は今回のアンケート調査ではいらっしゃいませんでした。一労働者が会社に直接交渉するということ自体、ハードルがかなり高いということも言えるかもしれません。
しかし、会社に交渉することで、会社側から納得のいく説明をしてもらえたり、下記に紹介するような妥協案を提案してもらえたといった声もありました。ダメ元でも会社に交渉すれば、何かしら成果が得られるケースもあるようです。

会社に取り消して貰えないか交渉しましたが無理だと言われました。今回のコロナでいくら会社の為に働いても契約社員は直ぐにクビを切られると知れました。
(20代女性)
会社にも理由はあって納得できたので深くは追及しなかった。
(30代男性)
コロナで仕事が減ったが仕事が増えればまた雇うという形にはなったんでとりあえず言うべきことは言ったほうか良いと感じました。
(40代男性)

弁護士に相談した方の声

今回「弁護士に相談した」と回答した方からは、この解雇が違法かどうか判断するために相談したという声が寄せられました。このように「この解雇、違法じゃないの?」と感じたり、悩んだりすることがあったら、まずは弁護士に相談することをおすすめします。例えば、不当解雇だからと一個人が会社という組織相手に交渉しても、その主張を通すことは非常に難しいです。法律のプロである弁護士に相談すれば、法律知識に基づいたアドバイスをもらえますし、会社に対してこちらの本気度を示すこともできます。
最近では初回相談を無料で行える弁護士事務所も多くありますので、お悩みの際はお気軽に弁護士にご相談ください。

不当解雇だと思ったのですが解雇を言い渡された社員と共に弁護士に相談しました。会社に対して何らかの処置を取って貰える事になり相談して良かったです。
(20代女性)
この解雇が本当に正しいか解雇か判断するために相談しました。これでこの解雇が仕方のないことで適法かしっかり調べた上で判断できて不当な解雇なら抗議できると思ったので良かったと思います。
(30代女性)

労働基準監督署に相談した方の声

労働基準監督署(労基署)に相談した方の回答では、解雇の撤回には至らなかったものの、会社と話し合うことができ、今回の結論に納得した上で次に進めたとの声があがりました。

労働基準監督署に相談し、会社と話し合いを行ったが解雇は撤回にはならなかったが、納得いく説明が聞けたことは良かったと思う。
(40代男性)

コロナ解雇にあった方が今後の生活のためにしたことはいかがでしたか?同じような状況でお困りの方にとって、少しでも参考になれば幸いです。

もしあなたが今後の生活の経済状況に不安がある場合は、まずできるだけ早く雇用保険や、コロナに関わる各種支援制度利用のための手続きを行うことをおすすめします。

もしご自身が受けられる支援に関してわからないことがあったり、解雇自体に疑問点があるような場合は、ハローワークや労基署、弁護士にご相談ください。

特にご自身が解雇されてしまったことに疑問がある方や、会社と交渉することを検討されている方は、早期に弁護士にご相談いただくことをおすすめします。法律のプロである弁護士に相談することで、今後すべき行動についてのアドバイスを受けられ、あなたが抱えているお悩みの解決への道筋が見えてくるはずです。

弁護士をご検討の際には、ぜひカケコム在籍弁護士をお頼りください。
https://www.kakekomu.com/search?cat=1

この調査については、カケコムの記事(https://www.kakekomu.com/media/51630/)からご確認いただけます。
データを引用される際は、出典元として必ずこちらのURL(https://www.kakekomu.com/media/51630/)をご記載いただきますよう、お願いいたします。

◆株式会社カケコム概要
会社名:株式会社カケコム
所在地:150-0043東京都渋谷区道玄坂2-11−4 ストークビル道玄坂801号
代表者:代表取締役CEO 森川 照太
設立:2016年5月2日
会社URL:http://company.kakekomu.com/
事業内容:トラブル解決のプラットフォーム「カケコム」の運営・開発