【名城大学】能登半島地震をテーマに「名城大学・東北大学連携セミナー」を開催
本学自然災害リスク軽減研究センター主催 学外の技術者や学生ら約90人が聴講
「能登半島地震から10カ月 震災から何を学び どう備えるか」と題した「名城大学・東北大学連携セミナー」が11月12日、天白キャンパス研究実験棟Ⅱで開催されました。災害時の自治体職員の応援や建物の耐震性能、能登半島豪雨からの復旧事業の課題など、さまざまな視点から調査・研究の成果が提示され、聴講した学外の技術者や学生、企業関係者ら約90人が今後の震災や災害への備えについて学びを深めました。
本学から3人、東北大学から3人の防災研究者が多様な視点から講演
本学は2019年に東北大学と包括連携協定を締結し、東北大学災害科学国際研究所と本学自然災害リスク軽減研究センター(NDRR)との間で防災・減災に関する研究を推進しています。今回の連携セミナーは、東日本大震災の復興支援に中心的に携わってきた東北大学災害科学国際研究所の研究者を迎えて今後の震災にどう備えるかを探ろうとNDRRが主催し、理工学部第449回理工談話会としても開催しました。
セミナーでは、初めに本学NDRRの小髙猛司センター長(理工学部教授)が、東日本大震災を契機に設立された東北大学災害科学国際研究所について、震災から何を学び、どう備えるかについて日夜考え、精進している研究者が集まっている「世界トップの災害科学の研究拠点」と紹介し「私も勉強させていただきます」とあいさつ。津波堆積学や建物の耐震性能の変化、文化遺産防災マップの構築などをテーマに、東北大学から3人、本学から3人の防災研究者が1人20分ずつ講演しました。
このうち本学からは、都市情報学部の柄谷友香教授が「能登半島地震における自治体応援職員の実態と課題」と題して、地域安全学会の活動を通して実施した被災自治体に派遣された自治体職員への聞き取り調査の結果を報告。課題として、支援する業務の優先順位などを誰の判断・権限で決めるのかが明確になっていないことや、撤収・引継ぎは先に「期限ありき」だったことなどを挙げ、さらに「応援派遣の経験やノウハウを自身の自治体に還元する仕組みが必要」と指摘しました。
理工学部の市之瀬敏勝特任教授は「建物に要求される耐震性能の変化:世界的潮流」をテーマにした発表で、基礎構造は未解明な問題が多いことや古い建物の耐震補強の重要性をあらためて強調。「能登半島災害における河川堤防の災害復旧事業の現状と課題」と題して講演した理工学部の李圭太特任教授(日本工営執行役員)は、流木が橋にぶつかって大量に積みあがった様子などをドローンで撮影した貴重な写真の数々を示しながら、能登半島豪雨の被災地の河川などで現地調査した結果を紹介するとともに、地震と豪雨の複合災害の復旧事業における現場の最前線に立つ技術者の悩みや葛藤について述べました。
東北大学からは、菅原大助准教授が「津波堆積学が明らかにする古地震の履歴」、蛯名裕一准教授が「文化遺産防災マップの構築と活用」、奥村誠教授が「能登半島地震の支援交通の変化:モバイル空間統計データから」と題して講演。閉会のあいさつで東北大学の森口周二准教授が「研究の最新成果や現場の状況など貴重な講演ばかりで、貴重な情報を共有することができました」と締めくくりました。