日経BPコンサルティングとEmotion Tech  BtoB商材の「NPS×カスタマージャーニー」について 共同調査を実施  「お勤め先でのIT関連商材の購買に関する調査」より BtoB商材の推奨意向(NPS)を高めるには “購入時の購買チャネルによる顧客体験”がカギ

株式会社日経BPコンサルティング 株式会社Emotion Tech
2018-07-05 14:00

株式会社日経BPコンサルティング(東京都港区)と株式会社Emotion Tech(エモーションテック、東京都中央区)は、今回、「グループウェア」、「チャットメールサービス」、「MDM(Mobile Device Management)」の3種類のBtoB商材に関する「NPS1×カスタマージャーニー2」について共同調査を実施した。一般的にNPS、カスタマージャーニーは、コンシューマ商材に関して実施しているが、今回、法人がどのようにBtoB商材を選定し、また購入した商材に対してどの程度推奨するものかを、「NPS×カスタマージャーニー」の手法を利用し調査・分析を行った。この調査・分析手法は日経BPコンサルティングの調査/コンサルティングノウハウとエモーションテックのNPSに関する取扱い知見、感情データ解析技術(特許取得済)を合わせたもので、カスタマーエクスペリエンス(顧客体験、以下 CX)の項目が、それぞれ顧客ロイヤルティ指標であるNPSにどの程度の影響力があるか(影響度)*3とNPSをどの程度向上・低下させているか(現状の評価)*4を分析することにより、NPS向上における優先課題を明らかにするものである。さらに、各CXの改善項目の抽出もでき、顧客ロイヤルティの向上の施策策定に活用することができる。

今回、1,111名を対象に、3つのBtoB商材に対しNPSと購入/導入までの体験、購入/導入後の体験に関する調査として「お勤め先でのIT関連商材の購買に関する調査」を実施した。それぞれ代表的な商材を中心に、グループウェアに関しては10商材、チャットメールサービスについては7商材、MDMについては12商材について調査した。同一商材を様々な販売チャネルから提供されるBtoB商材は、顧客接点となる提供する側により、NPSは異なり、どこから購入/導入するかということが重要になってくる。BtoB商材のユーザー拡大を図り、どの販売チャネルを強化するかを見極めるうえで、今回実施した「NPS×カスタマージャーニー」による調査分析が活用できるといえる。

■グループウェアのNPS上位商材は、第1位「G Suite」、第2位「Office365」、第3位「Exchange Server」
NPSへの影響度が最も高い項目は「システムの使いやすさ/操作性(ユーザビリティ)」
グループウェアの対象商材において、NPSが1位となったのは、Googleの「G Suite」で、NPSスコア:-25。次いで、日本マイクロソフトの「Office365」(NPSスコア:-27)、3位に同じく日本マイクロソフトの「Exchange Server」(NPSスコア:-28)であった(図1)。
グループウェア商材全体でNPSと顧客体験の関係を見ると、最もNPSへの影響度が高い項目は「システムの使いやすさ/操作性(ユーザビリティ)」となっている(図2)。NPSへの影響度と評価のギャップが大きい項目は、導入前の「営業担当の親身さ」、「質問に対する受け答え」で、この2項目が、グループウェアにおける最優先課題ととれる。
NPS上位の2商材に関してNPSと顧客体験の関係を見ると、「G Suite」、「Office365」とも最もNPSへの影響度が高い項目として、全体と同じく「システムの使いやすさ/操作性(ユーザビリティ)」となっている。一方、優先課題となっている項目は、「G Suite」では導入後の「システムの動作レスポンス」と「サポートへの問い合わせ時の対応」、「Office365」では、導入前の「ニーズ・課題の理解度」となっており、それぞれ優先課題が異なっている(図3)。いずれもこの優先課題を改善することが、さらなるユーザー獲得につながるといえる。

チャットメールサービスのNPSは、商材で大きな差がなく、ほぼ同スコア

NPSへの影響度が最も高い項目は「利用料金(ランニングコスト)」
チャットメールサービスの対象商材におけるNPSの比較をすると、ほぼ差がなく、NPSスコアは-30前後となっている(図4)。チャットメールサービス商材全体でNPSと顧客体験の関係を見ると、最もNPSへの影響度が高い項目は「利用料金(ランニングコスト)」、これに差がなく、商材を検討する時点での「ホームページの使いやすさ」となっている(図5)。NPSへの影響度と評価のギャップが大きい項目は、「利用料金(ランニングコスト)」、「システムの動作レスポンス」で、この2項目が、チャットメールサービスにおける最優先課題といえる。特に、NPSへの影響度も最も高い「利用料金(ランニングコスト)」は、現時点でチャットメールサービスの不満要因でもあり、ユーザー獲得するうえで最も重要な要素といえる。

MDMのNPS上位商材は、「AirWatch」、「Offce365」

NPSへの影響度が最も高い項目は「システムの使いやすさ/操作性(ユーザビリティ)」
グループウェアの対象商材において、NPS上位商材は、VMwareおよびNTTドコモから提供している「AirWatch」(NPSスコアそれぞれ-14、-15)、日本マイクロソフトの「Office365」(NPSスコア:-15)であった(図6)。ここで、同じ「AirWatch」でも、導入先で大きく差があり、NTTドコモのスコアが-14に対し、ソフトバンクのスコアは-63であった。
MDM商材全体におけるNPSと顧客体験の関係を見ると、最もNPSへの影響度が高い項目はグループウェアと同じ「システムの使いやすさ/操作性(ユーザビリティ)」となっている(図7)。NPSへの影響度と評価のギャップが大きい項目は、導入前の「ニーズ・課題の理解度」、「ホームページのわかりやすさ」、「システムの動作レスポンス」で、この3項目が、MDMにおいて、改善をした方がよいと考えられる最優先課題ととれる。
前述の同じ商材「AirWatch」において、導入先でNPSが大きな差があったNTTドコモとソフトバンクの2社に関してNPSと顧客体験の関係を見ると、最もNPSへの影響度が高い項目と最も優先課題となっている項目は、いずれも「サポート担当から受ける提案」となっているが、それ以外の優先課題となっている項目に違いが見られる。NTTドコモでは「利用料金(イニシャルコスト)」、導入前の「ニーズ・課題の理解度」、「ホームページのわかりやすさ」、ソフトバンクでは、「ブランドイメージ・安心感」、「導入支援サポート」が、それぞれ優先課題となっている(図8)。いずれも商材自体ではなく、提供側の優先課題といえ、それぞれ、この項目を改善することが、さらなるユーザー獲得につながるといえるだろう。同一商材でも、顧客接点となる提供する側により、NPSは異なり、同一商材を様々な販売チャネルから提供されるBtoB商材は、どこから購入/導入するかということが重要になってくる。
BtoB商材のユーザー拡大を図るうえで、どの販売チャネルを強化するかを見極めるうえで、今回実施した「NPS×カスタマージャーニー」による調査分析が活用できるといえる。
なお、7月27日にNPSと顧客体験の関係性についてひも解く、「NPS×カスタマージャーニー」のセミナーを開催する予定である。その中で本調査の解説も行う。詳細については下に記載する。

(藤澤 一郎=日経BPコンサルティング チーフコンサルタント)

*1 NPS:「Net Promoter Score(ネット・プロモーター・スコア)」の略で、顧客ロイヤルティ(企業やブランドに対する愛着・信頼の度合い)を数値化する指標。NPSは「推奨者の正味比率」と訳される。
具体的には、「友人や知人に対する、その企業が提供するサービスや商品を推奨度」を10~0までの11段階で尋ね、「推奨者(9または10との回答)」の割合(%)から、「批判者(6以下の回答)」の割合(%)を引いた結果を指す。
*2 カスタマージャーニー:顧客が商品を認知し、購買そして使用に至るまでのプロセス
*3 影響度:推奨度を目的変数、各顧客体験における評価を従属変数として、数量化I類と情報量基準を用いて各CX項目のNPSに対する影響力の強さを算出
*4 現状の評価:推奨度を目的変数、各顧客体験における評価を従属変数として、数量化I類と情報量基準を用いて、各CXに対して現状の顧客の評価が、どの程度NPSを向上させているか、もしくは低下させているかを算出

「お勤め先でのIT関連商材の購買に関する調査」について

調査概要 :「お勤め先でのIT関連商材の購買に関する調査」は、
      ビジネスモニター1,111名を対象に、勤務先のIT商材
      (グループウェア、チャットメールサービス、
      MDM(Mobile Device Management))に関する購買/導入に関し、
      NPSと購入/導入までの体験、購入/導入後の体験に関して調査を実施。
調査手法 :インターネット調査
調査対象 :日経BPコンサルティング調査モニターおよび提携モニター
有効回答数:1,111名
調査期間 :2018年5月28日~6月8日
※本調査による調査報告書の発売はございません

「NPS×カスタマージャーニー」のセミナーを開催

「NPSと顧客体験(CX)から導く 顧客ロイヤルティ獲得のためのマーケティング戦略」
日時 :2018年7月27日(金)15:00~17:00(14:30開場)
会場 :日経BP社 セミナールーム1
    東京都港区虎ノ門4-3-12 日経虎ノ門別館5階
    http://corporate.nikkeibp.co.jp/information/corporate/map.shtml
定員 :50名
参加費:無料

▼セミナーのご説明はこちら
https://nkbp.jp/2MOwb2l

株式会社日経BPコンサルティング

日経BP社全額出資の「調査・コンサルティング」「企画・編集」「制作」など、コンサルティング、コンテンツ関連のマーケティング・ソリューション提供企業。(2002年3月1日設立。資本金9,000万円)

株式会社Emotion Tech

顧客の声を起点とした経営課題の解決、サービス品質の向上を行うサービス、「Emotion Tech」の開発・運営、独自の感情データ解析技術とクラウドシステムを用いた、企業の顧客や社員へのエクスペリエンスマネジメントサービスを展開する企業(2013年3月8日設立。資本金4億3,573万円)
本レポートで用いている調査手法および統計解析手法はEmotion Tech社が保有する特許に該当します。(特許番号:特許第6176813号)
https://www.emotion-tech.co.jp/

図1 グループウェア商材に対するNPS

図1 グループウェア商材に対するNPS

図1 グループウェア商材に対するNPS

図2 グループウェア商材の顧客体験のNPSへの影響度と現状の評価

図2 グループウェア商材の顧客体験のNPSへの影響度と現状の評価

図2 グループウェア商材の顧客体験のNPSへの影響度と現状の評価

図3 グループウェアNPS上位2商材に関する顧客体験のNPSへの影響度と現状の評価の比較

図3 グループウェアNPS上位2商材に関する顧客体験のNPSへの影響度と現状の評価の比較

図3 グループウェアNPS上位2商材に関する顧客体験のNPSへの影響度と現状の評価の比較

図4 チャットメールサービス商材に対するNPS

図4 チャットメールサービス商材に対するNPS

図4 チャットメールサービス商材に対するNPS

図5 チャットメールサービス商材の顧客体験のNPSへの影響度と現状の評価

図5 チャットメールサービス商材の顧客体験のNPSへの影響度と現状の評価

図5 チャットメールサービス商材の顧客体験のNPSへの影響度と現状の評価

図6 MDM商材に対するNPS

図6 MDM商材に対するNPS

図6 MDM商材に対するNPS

図7 MDM商材の顧客体験のNPSへの影響度と現状の評価

図7 MDM商材の顧客体験のNPSへの影響度と現状の評価

図7 MDM商材の顧客体験のNPSへの影響度と現状の評価

図8 MDM商材「AirWatch」に関するNTTドコモとソフトバンクの顧客体験のNPSへの影響度と現状の評価の比較

図8 MDM商材「AirWatch」に関するNTTドコモとソフトバンクの顧客体験のNPSへの影響度と現状の評価の比較

図8 MDM商材「AirWatch」に関するNTTドコモとソフトバンクの顧客体験のNPSへの影響度と現状の評価の比較