【子育て】「勉強嫌い」「運動嫌い」はどうして生まれる? 子どもの「やってみたい!」を育てるために知っておきたい脳の仕組み

「うちの子、何をするにも『面倒くさい』と言う……」
「勉強しよう」と言っても嫌がる。
「やってみたら?」と勧めても、「どうせ無理」と最初から諦めてしまう。
子育てをしていると、そんな子どもの姿に悩むことはないでしょうか。
では、子どもが「やってみたい!」と思うか、「やりたくない……」と思うか。その違いは、どこから生まれるのでしょうか?
株式会社脳レボ代表の川谷潤太氏が、子育てにおいて大切だと考えるのが、**「好奇心」そして「主体性」**です。
今回は、子どもの「好き」「嫌い」「楽しい」「怖い」といった感情が、どのように作られていくのか。自身の体験も交えながら解説します。
子育てで一番大切なことは?
先日、保護者向けの講演会で、こんな質問をいただきました。
「先生が、子育てで一番大事だと思うことは何ですか?」
食事、遊び、生活習慣など、子育てで大切なことはたくさんあります。
しかし、「一番」と聞かれたら、私はこう答えます。
「これから経験することに対して、『楽しそう!』『やってみたい!』と思える状態をつくることです」
少し難しい言葉を使うと、「感覚情報処理システムにおける好循環回路の構築」。
簡単に言えば、
「何かを経験する→楽しいと感じる→またやってみたくなる」
という好循環をつくることです。
反対に、
「どうせ無理」
「面倒くさい」
「怖い」
「やりたくない」
という気持ちが先に立つようになると、新しいことに挑戦する機会そのものが減ってしまいます。
では、こうした「楽しい」「怖い」「面倒くさい」といった感情は、どのように生まれるのでしょうか?
「好き」「嫌い」は、経験によって作られていく
私たちは、日々さまざまな情報を目や耳、鼻、口、皮膚などから受け取っています。
子どもも同じです。
触る、見る、聞く、食べる、動く――。
さまざまな経験を通して得た情報が、過去の経験や周囲の人の反応などと結びつき、「楽しい」「怖い」「嫌だ」といった感情につながっていきます。
例えば、私にはこんな経験があります。
私は「ヘビ」が苦手です。
なぜかというと、母親がヘビを大嫌いだったからです。
子どもの頃、テレビにヘビが映ると、母親が「きゃー!」と怖がって、すぐにチャンネルを変えていました。
その姿を何度も見ているうちに、私の中でも、
「ヘビ=怖いもの」
という印象が強くなっていきました。
学生の頃、友人と沖縄へ旅行した際には、白いヘビを首に巻いて記念写真を撮る観光スポットがありました。
当然、友人たちは楽しそうに写真を撮っています。
しかし……。
私は、どうしてもできませんでした(笑)。
「周りの大人の反応」が子どもの感情に影響することも
ここで大切なのは、私はヘビについて詳しい知識があったわけではないということです。
「ヘビは危険な生き物だから怖い」と論理的に判断していたわけでもありません。
むしろ、子どもの頃から身近な大人がヘビを怖がる姿を見て、
「ヘビ=怖い」
という感情が、自分の中にも形成されていったと考えられます。
子どもは、周囲の大人の反応をよく見ています。
大人が「楽しそう!」と言えば、子どもも「楽しそう」と感じる。
大人が「危ない!」「ダメ!」と強く反応すれば、子どもも「怖いものなのかな?」と感じる。
もちろん、安全のために止めるべき場面もあります。
ただ、私たち大人が何気なく発している言葉や表情、態度が、子どもの「そのものに対する印象」をつくることがあるのです。
「自分自身の経験」も感情をつくる
もう一つ、私自身の経験があります。
小さい頃、私はビー玉を舐めていて、喉に詰まらせたことがあります。
とても苦しく、母親が何度も背中を叩いて、吐き出させようとしてくれたことを覚えています。
それ以来、私はビー玉を見るだけで泣いてしまい、しばらくビー玉に触れなくなったそうです。
これは、強い経験と感情が結びついた一例です。
「これをすると苦しい」
「これを見ると怖い」
という経験が記憶に残ることで、その後、似たような状況に遭遇したときに、過去の感情がよみがえることがあります。
つまり、子どもの「好き」「嫌い」「怖い」「楽しい」は、最初からすべて決まっているわけではありません。
さまざまな経験を積み重ねる中で、少しずつ形づくられていくものなのです。
もし「算数=嫌い」になってしまったら?
ここで、子育てに置き換えて考えてみましょう。
「ヘビ」が苦手でも、人生で困ることはそれほど多くないかもしれません。
「ビー玉」が苦手でも、それほど大きな問題にはならないでしょう。
では、これが「算数」だったらどうでしょうか?
「算数」と聞いただけで、
「嫌だ」
「面白くない」
「やりたくない」
という気持ちが出てくるようになったら?
あるいは「スポーツ」と聞いただけで、
「苦手」
「失敗したらどうしよう」
「自分には無理」
と思うようになったら?
子どもにとって、その後の学習や挑戦に影響する可能性があります。
だからこそ、子どもが何かに挑戦するとき、私たち大人は「できた・できなかった」という結果だけではなく、
「やってみようとしたこと」
「興味を持ったこと」
「挑戦したこと」
にも目を向けることが大切なのではないでしょうか。
子どもの「やってみたい!」を消していないか?
子どもが何かに興味を持ったとき、
「そんなの無理だよ」
「危ないからやめなさい」
「どうせできないよ」
と、つい先回りしてしまうことがあります。
もちろん、本当に危険なことを止めるのは大切です。
しかし、安全が確保できる範囲であれば、
「どうなるかな?」
「やってみる?」
「面白そうだね!」
と、子どもの「やってみたい」という気持ちを受け止めてあげる。
それだけでも、子どもの経験は変わっていくかもしれません。
子どもの好奇心を育てるということは、何か特別な教育をすることではありません。
日常の中で生まれる「なんだろう?」「やってみたい!」を大切にすること。
その積み重ねが、主体的に行動する力につながっていくのではないでしょうか。
「マイナスの感情」が続くと、さらに大きな問題につながることも
では、もし子どもの中に、
「勉強=嫌なもの」
「スポーツ=苦手なもの」
「挑戦=怖いもの」
というイメージが積み重なってしまったら、将来的にはどのような影響が考えられるのでしょうか?
実は、ここには「好奇心」だけではなく、「挑戦する力」や「主体性」にも関わる重要なポイントがあります。
子どもの「やってみたい!」を育てるために、大人が知っておきたい脳の仕組みとは?
「マイナスの感情が将来的に大きなリスクになる理由」について、別のコラムでさらに掘り下げていきます。
株式会社脳レボでは、集中力・チームワーク・モチベーション・意識改革・リーダーシップなど、人や組織の「潜在的な力」を引き出すための講演・研修・教育コンサルティングなどを行っています。
子どもたちが「やらされる」のではなく、「やってみたい!」と思える環境をどうつくるのか。
そのヒントを、脳の仕組みから考えていきます。
監修者:川谷 潤太(かわたに じゅんた)
株式会社脳レボ 代表取締役
https://nourevo.co.jp/
大手学習塾にて最年少校長、全国塾講師No.1を獲得。その後、高校でスポーツメンタル指導を行い、多くの部活を地区優勝や世界一へ導く。2019年に株式会社脳レボを創設。脳科学や大脳生理学、バイオフィードバック工学をベースとした実践的手法で、オリンピック選手から企業、教育現場まで幅広く指導。9年間で1,600回以上の講演や研修を行い、受講者は15万名を突破している。

