中国紹興黄酒集団、古越龍山董事長 孫愛保の インタビュー記事を「人民日報海外版日本月刊」にて公開

越の酒が再び天下を駆けめぐる――古越龍山の新たな旅路

中国紹興黄酒集団 古越龍山董事長 孫愛保のインタビュー記事を「人民日報海外版日本月刊」にて公開します。

中国紹興黄酒集団、古越龍山董事長 孫愛保

時代という巨大な歯車が止まることはない。かつて輝いたものは、いつかまたその輝きを取り戻す。それは中国文化の偉大なる復興の夢であり、また、紹興酒復興の夢でもある。
新中国が成立して以来、紹興酒はその身に外交という使命を帯びてきた。これまでジュネーブ会議、中米国交樹立、北京オリンピック、上海万博、G20杭州首脳会談といった重大な局面で贈り物として用意され、日本の天皇やカンボジア国王などにも贈呈されてきた。それは友情の証にほかならず、双方の理解を深めるための橋渡し、あるいは関係性をよりよくするための潤滑油であった。
そしていま、古越龍山は紹興酒の代表として、「越酒が再び天下を駆けめぐる」の旗幟も鮮明に、世界へ旅立つ航路の最初の港として日本に上陸した。先日、2023紹興酒と文化都市紹興を知る会・古越龍山を楽しむ会が帝国ホテル東京で盛大に挙行され、各界の著名人が一堂に詰めかけた。中日両国の政界、財界、芸能界から百名を超える出席者が参集し、まさに紹興酒が世界各国へと出航する里程標として記録された。
会場には中国紹興黄酒集団、古越龍山の孫愛保董事長の姿もあり、本誌の独占インタビューに答えてくれた。

東アジア文化の都に生まれて

古(いにしえ)の越は千歳(ちとせ)の都、世界に冠たる一壺の酒。紹興は建城以来2500年、その城址は変わらずあり続け、その精神は変わらず脈打っている。越王句践が献上された酒を川に流して兵卒たちと分かち合ってより、史上、紹興に伝わるあまたの物語や出来事、人物にまつわる逸話で、黄酒と無関係のものはないと言ってよい。紹興酒は千古不変であると同時にいよいよ新しく、中国が誇る酒の文化を世界に広める伝道師なのである。
孫愛保董事長は紹興酒がもつ四つの魅力をわれわれに教えてくれた。
第一の魅力、それは優れた環境にある。紹興は、世界的に見ても著名な酒の醸造地が存在する北緯30度というラインに位置している。中国の茅台酒などの蒸留酒、ヨーロッパのワイン、日本の清酒、そのいずれもがこの北緯30度という帯のなかで生まれているのである。亜熱帯モンスーン気候に属し、気候は湿潤で四季は明確、周囲には川や湖が多くあって微生物も豊富で、鑑湖水系の透き通った水は酒造に非常に適している。
第二の魅力、それは重厚な文化的背景である。紹興酒は、いまを遡ること9000年以上も前の上山(じょうさん)文化期に生まれた、世界最古の穀物醸造酒である。2500年前の春秋時代、越王句践は酒によって国を治め、一方の覇者となった。1600年前の東晋の時代、書聖王羲之は友人らと酒を楽しみ、その興に乗って天下に名だたる行書「蘭亭序」を揮毫した。800年前の南宋の時代、生涯に9000首以上もの詩を残した愛国詩人陸游は、酒を題材にした多くの詩を詠み、やはり天下にその名は轟いている。また、日本人によく知られている魯迅先生の多くの作品のなかにも、酒の郷である紹興に対する思いが吐露されている。教育者として高名な蔡元培先生も故郷の紹興酒を愛しており、毎日食事の際は紹興酒が欠かせないというほどであった。
第三の魅力、それは卓越した技術にある。紹興酒の醸造技術は、第一次の中国非物質文化遺産(無形文化財)に選出された。毎年夏になると酵母菌や麹菌が含まれる酒薬(しゅやく)作りがはじまるが、これこそ紹興酒の魂ともいえるもので、代々続く菌株の接種は2023年で360代目になるという。秋には上質の小麦を使って自然発酵で麦麹を作り、そして冬になると本番の酒造りに入る。長く厳しい冬を越えて発酵させた翌年の春、圧搾をかけて酒と酒粕を分離し、酒を酒がめに移して封をするが、一粒の米から一滴の美酒ができるまで、実に280日と222の工程を必要とする。
第四の魅力、それは健康の促進である。紹興酒にはアミノ酸、ポリフェノール、ポリペプチド、オリゴ糖、そして必須微量元素という、人体に有益な5種類の成分が含まれている。東洋医学においても紹興酒の有益性はきわめて高く評価されており、「温める、潤す、やわらげる、胃を温める、体を温める」といったその特長により、古来、飲用と滋養の側面から愛飲されている。

紹興酒の鑑たる古越龍山

紹興酒と聞いて、古越龍山を知らない人はいない。古の越の国が王宮を置いた地――龍山、そこに本拠を置く古越龍山は中国の穀物醸造酒業界のトップリーダーである。中国軽工業醸造酒業界の十強に選ばれており、中国酒業協会黄酒分会理事長の所在にして中国非物質文化遺産――つまりは醸造技術を継承する紹興酒のメッカなのである。
古越龍山――この四字を口に出して言うほどに、人はその響きに憧憬の念を抱き、そして酔いしれる。この四字にもし色があるなら、それは琥珀の輝き。この四字にもし味があるなら、それは芳醇なる深み。この四字にもし重みがあるなら、それは中国四千年の歴史そのものと言ってよい。
この四字を口にするとき、目の前にいる孫愛保董事長の表情は自然と栄光に満ち溢れる。すると、孫愛保董事長がおもむろに掌をこちらに向け、五を示したあと指を一本また一本と屈しながら、面白い話を聞かせてくれた。「これです。われらが古越龍山には五つの優位があるのです」。
五は、五大ブランドの品揃え。すなわち古越龍山、鑑湖、状元紅、女児紅、沈永和である。それぞれが市場において確乎たる地位を築いているだけでなく、実はこの五つの名前には、「一山一水、一男一女、永(とこし)えに相和す」という郷土愛と調和の精神が込められている。
四は、四つのハイライト。一つ目のハイライトは1959年10月1日、新中国成立10周年を祝って盛大に挙行された国慶節の式典である。当日夜のパーティー会場には各国の来賓が集い、その賓客たちをもてなしたのが古越龍山の用意した500甕にも上る上等の紹興酒であった。釣魚台国賓館の瞿館長の紹介によると、周恩来総理が掲げた最初の一杯こそ古越龍山であったという。二つ目のハイライトは1985年9月6日、鄧小平とアメリカの元大統領ニクソンが昼食をともにしたときのことである。ニクソンは古越龍山をたいそう気に入ったので、昼食後、鄧小平は丁寧に包装した古越龍山4本をプレゼントした。三つ目のハイライトは1995年5月15日、江沢民主席が紹興黄酒集団の視察に訪れたときである。興味津々で四種の代表的な紹興酒を味わったあと、江主席は古越龍山加飯酒を指さして付き添いに言った。「覚えておきなさい。これが最高の紹興酒だ」。そして四つ目のハイライトは2003年1月7日、ときに浙江省の党委員会書記であった習近平同志が黄酒集団を視察したときである。醸造の過程について説明を受けたあと、こう答えた。「紹興酒は、紹興の経済発展における財産であり、文化発展の宝であるから、よりいっそう保護を進め、さらなる発展を促していかねばなりません」。
三は、三つの「唯一」である。全国で唯一の国家黄酒テクノロジーセンター、唯一の国家産業遺産である鑑湖酒坊、そして唯一のポストドクターのためのワークステーション。これら三つの「唯一」を備えていることは、古越龍山の研究開発における技術力、伝統文化の継承力、そして人材の育成力を雄弁に物語っている。
二は、業界でも最大規模を誇る二つ。すなわち最大規模の生産力と最大規模の市場である。目下、古越龍山は黄酒業界で最大の生産力を誇り、年産は17万トンにも上る。加えて、いままさに新たな黄酒工業団地の建設を進めており、最新設備による生産の規模をさらに拡大しつつある。それと同時に、業界最大規模のマーケティングネットワークを構築しており、国内31の省市自治区ばかりか、そのネットワークはすでに40以上もの国と地域に及んでいる。
そして最後に一は、世界第一の中央貯蔵庫である。古越龍山の中央貯蔵庫は20万平方メートル(東京ドーム4個分)を超える広さがあり、貯蔵量は26万キロリットル、1100万以上の原酒の酒がめを蓄えている。その一つ一つを並べれば、実に日本の本州を一周できるほどである。

只此青玉が世界を駆ける

千里の江山、只此れ青緑。千年の国醸、只此れ青玉。孫愛保董事長は爽やかな笑い声とともに、一本の酒瓶を取り出した。古玉のように全体が美しい青緑で染められた、これこそ古越龍山の「国醸シリーズ」に名を列ねる逸品にして、中国紹興黄酒集団と中国東方演芸集団のコラボレーションから生まれた「只此青玉」(ヅーツーチンユー)である。
孫愛保董事長によると、「只此青玉」は中国醸酒大師である胡志明氏が直々に製造指揮を執った製品である。江南大学と国家黄酒工程技術センターの鑑定では、400種以上の旨み成分が検出され、そのうちの29種の比率は黄金比を成しており、飲む喜びと飲んだあとの酔い心地はえも言われぬほどであるという。
2022年、この「只此青玉」のために、アジア、ヨーロッパ、オセアニアなどの各国で20回近くに及ぶメーカーズディナーが開かれた。とりわけ9月30日には上海で、「只此青玉」国際友人品評会が挙行され、その際は19の国家を代表する30数名の外交官が一堂に集って美酒に酔い、国慶節を祝った。黄酒業界によるこれほど重要な外交活動は初めてのことで、「只此青玉」と紹興酒の魅力を国際的に大いにアピールした。

世界で活躍する新戦力の育成

古越龍山は2020年12月に初めての海外事務所を東京に設置し、紹興酒のさらなる国際化に向けて第一歩を踏み出した。その後、古越龍山東京事務所所長の夏良根氏は日本各地に積極的に足を運び、紹興酒の歴史的背景を広めるため、あるいは紹興酒を日本各地の家々に届けるために、紹興酒のプロモーションイベントを開催した。その一つ一つの場において、夏氏は情と心を込めて中国の物語を語り、中国の地域的な特色や銘酒の文化を宣揚している。さらに、公式の紹興酒ソムリエ資格認定制度を設立し、持続的な教育と普及を通じて、本場の紹興酒とそれに関する知識を消費者に伝えるため尽力している。
夏良根氏の熱意溢れるこの行動は、「東京新聞」といった日本の主要なメディアでも盛んに取り上げられ、日本発酵学の第一人者である東京農業大学名誉教授の小泉武夫氏やワインの専門家田辺由美氏、横浜君嶋屋代表で日本ソムリエ協会副会長の君嶋哲至氏、国際的に著名なソムリエである伊藤寿彦氏、さらには日本の黄酒専門家である門倉郷史氏などから高い評価と多大なる称賛を得た。それからは世界トップクラスのソムリエや、ミシュランガイドに掲載されるレストランのシェフ、ベテランの日本酒専門家、中国料理協会の代表、紹興酒販売代理店の代表などが、紹興酒についての学びを深めるために古越龍山の門を叩いた。現在、第一期生の講座がすでに終わっており、今後試験に通過して紹興市黄酒業協会発行の修了証を得ることができれば、ここで学んだ人々が世界に紹興酒文化を伝える新戦力として活躍してくれるであろう。

中日友好の証人が使命を果たす

紹興は海のシルクロードの重要な都市として、日本との交流においても悠久の歴史がある。歴史と文化によって育まれた双方の絆は、過去、現在、そして未来をも結びつける。孫愛保董事長は、古越龍山もまた中日友好を見届けてきた証人であると教えてくれた。
1972年9月25日、当時、日本の総理大臣であった田中角栄氏が中国を訪れた。周恩来元総理は宴席を設けて田中元首相をもてなしたが、その際に供されたのが古越龍山なのである。また、1988年8月25日、時の竹下登首相が訪中した際の歓迎パーティーでも古越龍山がテーブルに並べられた。1992年10月23日には明仁天皇が訪中され、古越龍山を召し上がり、いたく気に入られた。そこで中国側は富士山、万里の長城、そして牡丹の花を壺に描いた古越龍山の花雕酒を国礼としてお贈りし、喜んでもらったことがある。さらに2019年5月27日、日本の元首相鳩山由紀夫氏が紹興に足を運び、中日韓の三国による「一帯一路」工商大会に参加した。そのときも古越龍山に対する称賛の声は止まず、鳩山氏は以降も日本で開催された古越龍山のプロモーションイベントに参加して、次のように述べた。「紹興酒は中日両国の国民感情を結びつける大切な媒介である」、「日本酒が製造方法を紹興酒から学んだのは間違いのないところで、その意味では紹興酒と日本酒は兄弟のようなものである。だから、より多くの日本人と中国人が一緒になって、この二人の兄弟の同じところや異なるところを利き比べてほしい」。
中国と日本、両国は古くから豊かで奥深い醸造文化を共有してきた。そして今年はちょうど「中日平和友好条約」締結45周年に当たる。日本における古越龍山の一連のプロモーションは、まさに実際の行動をもって「国の交わりは民の相親なるにあり、民の相親なるは心の相通ずるにあり」を体現してきた。その継承とさらなる発揚は、とりもなおさず古越龍山に課された新中国成立以来の外交的使命なのである。「復興」、それは中国文化のみならず、紹興酒の代表たる古越龍山にとっても重要なキーワードであると言えるであろう。

編集後記

このインタビューがまもなく上梓されようかというとき、また一つ、人々の心を奮い立たせる吉報が古越龍山にもたらされた。それは、2023年度のインターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション(IWSC)において、古越龍山のあつかう「国醸1959(青玉版)」、「古越龍山木箱十年」、そして「天純」といった多くの製品が賞に輝いただけでなく、とくに「只此青緑、只此青玉」は、ダブル金メダル受賞という輝かしい結果を見事に勝ち取ったというものである。
IWSCは1969年に創立された世界で最も歴史ある酒類のコンペティションで、業界公認の世界最高峰の国際酒類品評会であり、「酒類のノーベル賞」とも称されている。IWSCを通じて、古越龍山は醸造酒における中国の自信を世界に向けてアピールするとともに、ブランドイメージと国際的な知名度をいっそう引き上げ、世界中のすべての人に国産ブランドの実力を知らしめたと言えるだろう。

2023紹興酒と文化都市紹興を知る会・古越龍山を楽しむ会
「只此青緑、只此青玉」ダブル金メダル受賞
古越龍山本社
世界最大の中央貯蔵庫
古越龍山東京事務所所長夏良根
紹興酒の鑑たる古越龍山
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