「マスク」と「うがい」のどっちが効果的? 元気に冬を乗り越えるためのヒントをキャスター草野仁さん推薦の本より紹介
暦の上では立春を過ぎましたが、まだまだ寒い日が続きますね。
今回は、健康を保ちながら元気に冬を乗り越えるためのヒントを、「長生きする習慣」と「長生きしない習慣」との対比形式で比較しながらわかりやすく解説する『100歳でも元気なのはどっち? 長生きする人・しない人の習慣』よりご紹介します。
巷にあふれる沢山の情報から「正しい健康知識を見極めるコツ」を学んでいきましょう。
正しい健康知識を見極めるコツとは!?
①まず、目の前の情報を疑ってみる
②次に、根拠のある情報を探してメリット・デメリットを比べる
③そして、これまでの習慣を見直す
本書は①②③の順番で書いてあるため、読んでいるうちに「正しい情報の見分け方」が身につくようになっています。
ではさっそくクイズをしながら、健康のヒントを確認していきましょう。
Q1 風邪予防には「マスク」と「うがい」のどっちが効果的?
感染症の予防効果をめぐって多くの情報が飛び交いました。
たしかに市販のマスクには、くしゃみで飛んでくる唾液などの飛沫をブロックしてくれる効果はありますが、空中に浮かんでいるウイルスまで防ぐことはできません。
しかし、マスクが有害だとする説にも科学的根拠はないのです。対面で1m以内に人がいる状況ではマスクを着用するのが効果的でしょう。
どちらかの意見を100%信じてしまうのではなく、どちらも確かな根拠はないのだと理解しながら、状況に応じてマスクの着用を判断することが大切です。
うがいについては、風邪予防の効果を示す研究結果が2005年の米国予防医学会機関誌に発表されました。
「うがい無し」と「ヨード液うがい薬でうがい」、「普通の水でうがい」を比較した実験では、うがい無しのグループは100人中26.4人が風邪にかかったのに対し、ヨード液うがいでは23.6人、水うがいでは17.0人との結果が出ました。つまり、うがい無しに比べ、水うがいをしたグループでは発症率が約40%低下していたのです。
また、ヨード液うがい薬の予防効果はほとんど認められませんでした。
これは、うがい薬を使うと、喉が無菌状態になりますが、喉にいる常在善玉菌も死んでしまうため、悪い菌が喉を通って体内に入ってしまったことが原因と考えられます。
A1 マスクは状況に応じて着用を判断しましょう。予防効果が認められているのは「うがい」。
Q2 認知症を引き起こすのはどっち? 難聴or白内障
寒い時期には血行が悪くなり、難聴が悪化しやすいといいます。
難聴になると、人の話を何度も聞き返すことになります。
聞き返すだけなら問題ないのですが、生返事をしたり、とんちんかんなことを答えたりして、コミュニケーションに支障をきたすことがあります。
そうなると、「あの人はどうせ聞こえないから」と、周囲の人から声をかけられる機会が減り、本人も自信をなくして引っ込み思案になって、どんどん孤立していってしまうのです。
テレビを観たいと思っても、家族と同じ音量では聞こえません。
最近は字幕が出るようになったといっても、字を追うのに疲れて、ただ画面を眺め
ているだけという状態にもなってしまいがちです。
このように、聴力が落ちると、それまで当たり前に得られていた情報が入ってこなくなるため、認知機能低下につながるのです。
難聴に対策がないのなら、あきらめるしかないでしょう。
しかし、難聴は、補聴器を使うことで聴力を補うことができます。補聴器は値段が高いから、ピーピーと異音がするから、見た目がかっこ悪いからといった理由でつけるのを嫌がる人がいますが、最近の補聴器は高級品でなくても性能が上がっていますし、目立たないものもあります。
加齢や認知機能の低下が進行して、機械で補助することができなくなる前に使い始めたほうがいいのです。
A2 認知症にならないようにするためには、難聴と診断されたら補聴器を必ずつけるようにしましょう。
情報が今まで通りに入ってくるように心がけることが大切です。
Q3 ハンドソープは除菌・抗菌作用のあるものとないもの、どっちが良い?
日々の手洗いが風邪予防に効果的であることは証明されています。しかし、ハンドソープの使い方を知らないと、予防効果を薄めてしまいます。
皮膚には、さまざまな種類の菌が仲良く暮らしており、これを常在細菌叢、もしくはフローラとよびます。腸活をしている人は「腸内フローラ」という言葉に馴染みがあると思いますが、皮膚や口、鼻、膣にも同じようにフローラがあります。
消毒や除菌・抗菌で一部の菌を殺してしまうと、フローラのバランスが崩れて健康を害する可能性があります。菌は私たちの味方であって、敵ではないのです。
そもそも、ハンドソープを使う目的は、菌を殺すことではありません。
洗剤に含まれる界面活性剤の働きによって、油と結合している皮膚の汚れを浮き上がらせて、水に流して落としやすくすることが目的です。
つい「除菌・抗菌」とラベルのついた商品を選びたくなってしまいますが、肌フローラを保つためにも除菌・抗菌作用のないものを選ぶようにしましょう。
また、ハンドソープなしで手洗いをすると、短時間で洗い終えてしまいますが、ハンドソープをつけると一定の時間、流水で洗うようになることもポイントです。
手を洗うだけで風邪予防の効果はしっかりあります。手に付着するウイルスの数は、15秒の流水での手洗いだけで1/100に減るとの実験結果が出ているほどです。
無菌・清潔神話を信じていた人も、除菌・抗菌を正しく理解して効果的な風邪予防をしていきましょう。
A3 除菌・抗菌効果のないハンドソープを使って、肌フローラを守りましょう。
寒さと共に毎年訪れる健康への悩みに対処するための知識を身につけ、100歳でも元気なカラダを目指しましょう!
書籍情報
タイトル:100歳でも元気なのはどっち? 長生きする人・しない人の習慣
著者:秋津壽男
ページ数:216ページ
価格:1,485円(10%税込)
発行日:2024年1月23日
ISBN:978-4-86667-659-3
書籍紹介ページ:http://www.asa21.com/book/b636146.html
amazon:https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4866676590/asapublcoltd-22/
楽天:https://books.rakuten.co.jp/rb/17712952/?l-id=search-c-item-text-01
目次
第1章 いちばん大事な「病気と医療」習慣
第2章 意外と知らない「薬」の習慣
第3章 100歳で差がつく「体づくり」の習慣
第4章 がんばり過ぎず健康に! 「食」の習慣
第5章 知らないと怖い「日常生活」の習慣
著者プロフィール
秋津壽男(あきつ・としお)
秋津医院院長。
日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会認定循環器専門医、日本医師会公認スポーツドクター、日本体育協会公認スポーツドクター、日本禁煙学会認定禁煙専門医。
1954年(昭和29年)和歌山県生まれ。1977年大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をし、和歌山県立医科大学医学部に入学。1986年に同大学を卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコー等を学ぶ。その後、東京労災病院等を経て、1998 年に品川区戸越銀座に秋津医院を開業。
現在、『主治医が見つかる診療所』(テレビ東京系)にレギュラー出演中。著書に『放っておくとこわい症状大全』(ダイヤモンド社)等がある。