[奈文研コラム]「みりょくはっくつ西大寺」の開催

 2024年2月、奈良文化財研究所は新たな試みとして、なら産地学官連携プラットフォームに参画し、遺跡から地域のまちづくりを考えるイベントを開催しました。産業、地域、大学(学生)、そして官(奈良市、奈文研)が一体となって何かができるチャンス。折角なので、奈良時代の西大寺と西隆寺を知ってもらう機会になればと考えました。

 イベントのタイトルは「みりょくはっくつ西大寺」。普段は遺跡の発掘調査をしている我々ですが、現在の「西大寺(地区)」の魅力を発掘したい、という思いを込めました。イベントの会場は、「ならファミリー」のご協力もあり、かつて西隆寺が建立されていた「ならファミリー」でおこなうことができました。

 イベントの目玉の一つは、宗教法人西大寺のご協力のもとにおこなった『百万塔カードに願いをかこう!』です。奈良時代の僧寺である西大寺や、尼寺である西隆寺を建立した称徳天皇が、国家の安寧のために作らせた木製の三重小塔があります。百万基作られたことから百万塔と呼ばれています。このうち、十万基が奈良時代の西大寺に奉納されました。かつて称徳天皇が祈りを込め、西大寺に奉納された百万塔になぞらえて、百万塔のカードを作成し、ならファミリーに来られた方に願いごとを書いていただき、西大寺に奉納しました。十万枚...とはいきませんでしたが、多くの祈りを西大寺に奉納することができました。百万塔カードは、3月7日西大寺の初午のお焚き上げで、無事お焚き上げされました(写真1)。

写真1 百万塔カードのお焚き上げ
写真1 百万塔カードのお焚き上げ

 もう一つの目玉は、ならファミリー1階のらくだ広場で、『らくだの彩絵体験をしよう!』です。ならファミリーのらくだ広場の由来は、かつて唐三彩を模したらくだの像があったことによるものです。今は、屋上でその姿を見ることができます。シルクロードの中継地点である唐の都から奈良の都へやってきた唐三彩に思いをはせながら、思い思いにらくだの置物に色付けを体験していただきました(写真2)。

写真2 ワークショップ体験中
写真2 ワークショップ体験中

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