「虐待した親」を支援する先駆者による初の著書 『虐待したことを否定する親たち』で親子関係再生の道を示す

『虐待したことを否定する親たち』書影
『虐待したことを否定する親たち』書影

株式会社 PHP 研究所(京都市南区・代表取締役社長瀬津要)は、2022年12月19日に『虐待したことを否定する親たち——孤立する親と子を再びつなげる』(宮口智恵 著/税込1133円)を発売します。
本書は、これまで見過ごされてきた虐待する「親」への支援として、「親子関係再構築プログラム」を提供しているNPO団体「チャイルド・リソース・センターの代表である、宮口智恵氏の初の著書です。宮口氏は、これまで250組以上の親子関係の修復に尽力してきました。 虐待が起こる理由や親の心理、そして虐待を止めるプロセスを、リアルな事例をもとに解説します。  

子どものために親を支える場所が必要

令和3年度中に、全国225か所の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数(速報値)は207,659 件で、過去最多を記録しました。これは、前年度比で5.8%増、20年前との比較では、なんと11.5倍以上です。
本書の著者である宮口氏は、かつて児童相談所の児童福祉司として15年間勤務していました。そこで出会った「虐待する親」の多くは、誰にも支えてもらえず、たった一人で子どもを育てているという過酷な状況でした。しかし、子どもの安全が最優先となる児童相談所では、親への支援が乏しいのが現状です。支援する側にとっても、「虐待の問題」に一人で立ち向かうのは容易ではありません。親子支援の活動を始めて15年経ても、「親への支援」は未だに市民権を得ていません。この問題に、社会全体で取り組むきっかけになればとの強い思いから、本書を上梓したのです。

「子どもを育てるのは一人では無理、親が子どもを支えられるように、誰かが、そして社会が親を支える——。」これが社会の共通認識になってほしいと、切に願うのです。 (「はじめに」より)

虐待した親とされた子どもをつなぐプロセスを解説

虐待した親の多くは、「これはしつけです」と口をそろえます。自分が手を上げてしまったのにも関わらず、いざわが子が児童相談所に預けられてしまうと、孤独と恐怖に襲われ、「私は虐待していません」と言い張るのです。宮口氏は、この言葉の裏にある親のニーズに意識を向け、子育てをやり直したい、いい親になりたいという思いに寄り添います。
宮口氏が立ち上げたNPO団体チャイルド・リソース・センターは、児童相談所では見過ごされてきた虐待する「親」への支援として、「CRC親子プログラムふぁり」を提供しています。このプログラムは、関係が崩壊した親と子の対話と交流を、第三者がサポートするものです。
本書では、著者が実際に関わった事例をもとに、新たな親子関係が構築されるプロセスを紹介します。

本書で取り上げる虐待のケース

・ずっと泣き止まない2歳の男の子を母親が叩き、布団をかぶせる。
(背景)夫の激務、親も頼ることができず、ずっと一人で子育てをしてきた。

・食事中にふざけていた4歳の女の子を母親が拳で殴り、その勢いで椅子が倒れて額を床にぶつけ、
目が開かなくなる。
(背景)育児への疲弊、夫や姑からの理解なし。

・栄養状態が悪く、皮膚トラブルも多い生後9か月の女の子へのケアができず、育児放棄を繰り返
す。
(背景)夫が非協力的、母の精神不安定状態。 ほか

『虐待したことを否定する親たち』について

【著者】 

宮口智恵(みやぐち ともえ)
神戸大学大学院総合人間科学研究科前期博士課程修了。児童相談所で勤務後、2007年に(特)チャイルド・リソース・センターを設立。21年より認定NPO法人。同法人は設立時より、児童相談所の委託を受けて、虐待などの育児に困難を抱える親とその子どもに「親子関係再構築プログラム」を提供する活動を開始。日本初の取り組みであり、これまで250組以上の親子にプログラムを提供した。著書に『虐待する親への支援と家族再統合』(共著、明石書店)。

【書誌情報】

タイトル:虐待したことを否定する親たち
サブタイトル:孤立する親と子を再びつなげる
著者:宮口智恵 
定価:1133円(10%税込)
発売日:2022年12月19日
判型:新書版並製
ページ数:264頁
ISBN:978-4-569-85366-6
発行:株式会社PHP研究所             


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