【新知見】シャクヤク、ボタンピ、ユリに 毛髪のアンチエイジング作用(抜け毛・うねりの減少)を発見

大正製薬株式会社[本社:東京都豊島区 社長:上原 茂](以下、当社)は、植物のシャクヤク、ボタンピ、ユリの抽出エキスの組み合わせに、毛髪のアンチエイジングに繋がる作用があることを新たに見出しました。

当社はこれまでに、毛髪における細胞の若返りの鍵としてミトコンドリアに着目し、研究を行う中で、ミトコンドリアの膜に存在し、老廃物の除去に関わる酵素であるミトコンドリアユビキチンリガーゼ(以下、マイトリガーゼ)が毛髪のアンチエイジングにおいて重要な働きを有することを解明しました。さらに、そのマイトリガーゼの発現を高める成分を見つけ、これらの成分が加齢による抜け毛に有用である可能性を見出し、報告してまいりました。

このたび新たに、シャクヤク、ボタンピ、ユリの抽出エキスの組み合わせが、マイトリガーゼの発現を顕著に高め、加齢による抜け毛に対する作用があることを見出しました(発表内容①)。
さらに、加齢による毛髪のうねりに対する研究において、髪質を正常に保つ因子(LPAR6)の減少がうねりを引き起こす要因のひとつであること、シャクヤク、ボタンピ、ユリの抽出エキスがLPAR6の発現を高めることを見出し、第45回日本分子生物学会年会にて発表を行いました。(発表内容②)

当社は今後も、加齢による髪悩みに関する研究を続けるだけでなく、発毛・育毛、白髪、髪質など、頭皮・毛髪に関わるトータルでのヘアケア研究を進め、生活者の皆さまのより豊かな暮らしの実現に貢献してまいります。

【発表内容①】シャクヤク、ボタンピ、ユリの抽出エキスの組み合わせによる「加齢による抜け毛」に対する作用

抜け毛には様々なメカニズムが報告されておりますが、そのメカニズムの一つにミトコンドリアの機能異常があります。
ミトコンドリアは細胞内にあり、生命活動に必要なエネルギーの大部分を合成する小器官です。当社はこれまで、柳茂教授(学習院大学理学部)と共同で、ミトコンドリアの膜に存在し、老廃物の除去に関わる酵素であるマイトリガーゼの機能を研究し、マイトリガーゼが減少することにより、毛包幹細胞*1を維持するのに重要な17型コラーゲンなどの発現が低下し、薄毛・抜け毛といった毛髪のエイジングにつながることを見出しております(図1、2)。これを防ぐためには、毛包におけるマイトリガーゼ発現を高めることが有用だと考えられます。
 *1 毛包幹細胞:毛包上皮細胞の源となる、毛包バルジ領域に存在する細胞。17型コラーゲンが減少することで毛包幹細胞が維持できなくなり、薄毛・抜け毛、白髪などの毛髪のエイジングにつながる。

図1.マイトリガーゼの減少に伴う老化メカニズムイメージ
図1.マイトリガーゼの減少に伴う老化メカニズムイメージ
図2.マイトリガーゼの減少に伴う薄毛・抜け毛について想定されるメカニズム
図2.マイトリガーゼの減少に伴う薄毛・抜け毛について想定されるメカニズム

当社はこれまで、頭皮や毛包を構成する毛包上皮細胞においてマイトリガーゼ発現を高める作用がある成分を報告してまいりましたが、このたび新たに、シャクヤクの抽出エキスにもマイトリガーゼ発現を高める作用があることを見出しました。
さらに、シャクヤク、ボタンピ、ユリの抽出エキスの組み合わせが、マイトリガーゼ発現を顕著に高めることを見出しました(図3)。
このことから、これら3種の抽出エキスの組み合わせが、加齢による抜け毛の予防また改善に有用である可能性が示されました。

図3.毛包上皮細胞におけるシャクヤク、ボタンピ、ユリの抽出エキスによるマイトリガーゼ 発現促進作用
図3.毛包上皮細胞におけるシャクヤク、ボタンピ、ユリの抽出エキスによるマイトリガーゼ 発現促進作用


【発表内容②】「加齢による毛髪のうねり」のメカニズム解明、および シャクヤク、ボタンピ、ユリの抽出エキスによるうねりへの作用

・第45回日本分子生物学会年会にて発表(2022年12月2日/幕張メッセ)

加齢によって毛髪がうねる現象はこれまで報告されておりましたが、そのメカニズムはわかっていませんでした。当社は、毛髪がうねるメカニズム解明に取り組み、髪質を正常に保つ因子(LPAR6 *2)が減少することが、その要因の一つである可能性を見出しました。また、シャクヤク、ボタンピ、ユリの抽出エキスが、LPAR6発現を高めることを見出しました(図4)。

 *2 LPAR6:遺伝性毛髪疾患の原因遺伝子の一つ。リゾホスファチジン酸受容体6(lysophosphatidic acid receptor 6)。この受容体は毛包内に存在し、正常に機能しないと髪質を正常に保つことができず、毛髪が縮れることが報告されている。

図4.LPAR6と毛髪のうねりの関係、および抽出エキスによる毛髪への作用イメージ
図4.LPAR6と毛髪のうねりの関係、および抽出エキスによる毛髪への作用イメージ

毛包上皮細胞を老化させると、髪質を正常に保つ因子であるLPAR6の発現が低下することがわかりました(図5)。さらに、毛包上皮細胞でLPAR6の発現を低下させると、細胞が増加する能力が低下するなど、正常と異なる性質を示すことを見出しました(図6)。
以上の結果より、加齢による毛髪のうねりにはLPAR6が関わっており、LPAR6が減少することで毛髪の状態が変化する可能性が示されました。

図5.老化を誘導した毛包上皮細胞のLPAR6発現低下(左)、図6.LPAR6発現を低下させた毛包上皮細胞における増殖能の低下
図5.老化を誘導した毛包上皮細胞のLPAR6発現低下(左)、図6.LPAR6発現を低下させた毛包上皮細胞における増殖能の低下

次に、シャクヤク、ボタンピ、ユリの抽出エキスを用いてLPAR6発現量を測定したところ、有意にその発現を高めることがわかりました(図7)。
この結果により、シャクヤク、ボタンピ、ユリの抽出エキスが加齢による毛髪のうねり予防または改善に有用である可能性が示されました。

図7.毛包上皮細胞におけるシャクヤク、ボタンピ、ユリの抽出エキスのLPAR6発現促進作用
図7.毛包上皮細胞におけるシャクヤク、ボタンピ、ユリの抽出エキスのLPAR6発現促進作用

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