[奈文研コラム]ところ変われば箕 (み)も変わる? カンボジアの発掘道具

 奈良文化財研究所は様々な国や地域と共同で文化財の保存修復や技術協力・研究調査を通じた事業を行っていますが、カンボジアとは30年来のお付き合いがあります。現在、奈文研ではアンコール遺跡群の中の西トップ遺跡の調査修復プロジェクトを2002年から行っています(参考:なぶんけんブログ「アンコール遺跡群西トップ寺院遺跡保全プロジェクトのこれまでの活動」https://www.nabunken.go.jp/nabunkenblog/2021/01/cambodia-past.html)。2023年2月にはコロナ禍以来約3年ぶりの現地での発掘調査が行われました。最近、西トップ遺跡最寄りのアンコール・トム西門の修復がすすみ、歩行者やバイクが通行できるようになりました。近い将来、車で通行できるようになれば、シェムリアップの街から遺跡へのアクセスはより良くなることでしょう。今は三つある祠堂のうち、中央祠堂が修復作業中のため、観光の際にはあまり近づいてもらうことができませんが、足場が組まれ修復の進む作業風景もおそらく今年までしか見られない貴重な姿。アンコール遺跡に足を運ばれた際には、ぜひ西トップ遺跡へもお立ち寄りください。

 さて、私はふだん、縄文時代のかごや編み物について研究をしているのですが、カンボジア現地ではラピアとよばれる藤の一種を使ったかごが今でも生活の様々な場面で使われています。そして、もとの植物素材の形の名残を残したプラスチックのカゴやザルもあちこちで見ることができます。プラスチック製なのだからどのような形にでも成形できるはずなのですが、実は、地域によって少しずつ形が違い、元の姿を残しているようです。

 ここでは、発掘現場で使われている箕を例にあげてみます。日本の発掘現場でよく見るプラスチック製の箕は、直線的で幅広、全体のラインもまっすぐです【写真1】。

【写真1】奈良文化財研究所発掘現場で使われているプラスチック製の箕(高野麗氏提供)
【写真1】奈良文化財研究所発掘現場で使われているプラスチック製の箕(高野麗氏提供)

AIが記事を作成しています