【千葉科学大学・神栖市】海生哺乳類研究の貴重な発見:利根川河口域で恒常的なスナメリの集合を発見!
利根川河口域におけるスナメリの集合(2023年5月撮影)
2025-01-28 13:00
貴重な発見
千葉科学大学(小濱研究室)は、神栖市自然環境調査において、利根川河口域に集群するスナメリの空撮に成功した。また、定期観測を通じて、このようなスナメリの集合が恒常的に起きていることを明らかにした。
スナメリについて
スナメリは、ハクジラ亜目ネズミイルカ科の属する小型の鯨類(イルカ)です。その特徴は以下の通りです:
- くちばしが短く、背びれがない
- 体色は子供が暗灰色、大人が明灰色
- 主に魚類や頭足類を食べる
調査結果のハイライト
千葉科学大学危機管理学部動物危機管理学科の学生による継続的な調査により、以下の重要な結果が得られました:
- 利根川河口域におけるスナメリの出現率:
- 2022年:94.1%
- 2023年:87.9%
- 出現個体数:
- 2022年:0~81頭(平均15.5頭)
- 2023年:0~65頭(平均16.4頭)
利根川がそそぐ豊かで貴重な海域
利根川河口周辺域は、漁船の往来や洋上風力発電に代表されるように、人間活動の活発な海域です。一方、この海域では、利根川からの豊富な栄養分や黒潮、親潮といった海流の恵みをもとに、とても豊かな生態系が育まれています。今回の調査で見られたように、人間活動が活発な海域において、スナメリが高頻度かつ高密度に出現する事例は、世界的にも貴重といえます。
今後の展望
共同研究チームは、スナメリを含む利根川河口域の豊かな生態系を保全すべく、調査研究を継続して進めていく方針です。今回の調査における発見が、海洋環境保全に対する意識向上や、人と動物共存のモデルケースにつながることを期待しています。
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