第17回「格付ロジック改定によるRM格付変動の影響」調査  ~景況感改善や2024年問題を踏まえた分析強化の結果、 全ての業種で格上げ進む~

法人会員向けに与信管理クラウドサービスを提供するリスクモンスター株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:藤本 太一、以下 リスモン)は、2023年12月に実施した格付ロジック改定によるRM格付変動状況を集計しましたので、その結果を発表いたします。

RM格付の変動内訳としては、格上げは138,196件、格下げは10,844件となり、前回のロジック改定(2023年6月実施)に続き、格上げ企業数が格下げ企業数を大幅に上回る結果となりました。
今回の「格付ロジック改定」では、日銀短観12月調査にみられる幅広い業種での景況感改善や、物流業界が抱える2024年問題などの経済・政治情勢の変化を考慮し改訂を行いました。特に企業の収益性分析に注力して格付評価の適正化を図った結果、低格付企業が再評価され、「F格からE格」および「E格からD格」となる企業が格上げ企業数の9割を占めました。

リスモンの「格付ロジック」は、与信審査のプロであるアナリストの知見とAI技術を組み合わせることにより、企業の倒産予兆を正確に捉えるための改定を常に行っています。
今後も定期的な格付ロジック改定を実施し、時勢に合った分析手法を取り入れることで、より高い倒産判別精度を目指し、安全な取引の拡大による経済への貢献に努めてまいります。

RM格付とは

リスモンでは、企業の信用力をA、B、C、D、E、Fの6段階に格付けしています。この格付は、倒産実績に裏付けられた独自指標(RM格付)で、A格の企業は倒産確率が低く倒産しにくい企業、F格の企業は倒産確率が高く倒産に近い企業といえます。
500万社超の膨大な企業群を対象に格付けし、統計的に格付ごとの倒産確率を算出して提供しています。定期的な企業データ、倒産データの更新・蓄積に留まらず、毎日の特種情報の収集分析により格付補正を続けているのもRM格付の大きな特長です。
与信管理の現場は「早い者勝ち」です。RM格付を利用することで、取引先の「今」の信用力を把握し、適時に対策を施すことができます。

[調査結果]
(1)格付変動は149,040件、格下げ企業を格上げ企業が上回る。
2023年12月17日に実施された「格付ロジック改定」により、RM格付の分布は、A~C格230,243件(構成比 17.7%)、D格194,157件(同 15.0%)、E~F格870,806件(同 67.3%)となりました。(図表A)

格付遷移状況について、2023年11月と12月の格付を比較したところ、格付変動が生じた企業は149,040件(構成比 11.5%)となりました。変動幅としては1ランクの変動が146,688件、2ランク以上の変動が2,352件、格付変動無しが1,146,166件(同 88.5%)となっています。

格付変動企業のうち、格上げは138,196件、格下げは10,844件となり、「格付ロジック改定」により格付評価の適正化を図った結果、格上げ企業数が格下げ企業数を大幅に上回りました。特に、低格付企業の再評価により、「F格からE格への格上げ」や「E格からD格への格上げ」が多くみられる結果となっています。(図表B)

図表A
図表B

(2)収益性分析強化の結果、全ての業種で格上げ進む
地域別の格付遷移状況を調査したところ、全地域において、高格付(A~C格)企業およびD格企業が増加し、低格付(E・F格)企業が減少しました。特に「関東」においては、同様の変動が顕著に表れており、ロジック改定前後において、16,528件がE・F格(旧311,612件/新295,084件)からA~D格(旧125,973件/新142,501件)に格上げされています。(図表C)

また、業種別の格付遷移状況においても、全ての業種において、A~D格企業が増加し、低格付企業が減少しました。「卸売業・小売業」や「サービス業」においては、それぞれ約1万件が低格付からD格に格上げとなっています。(図表D)

日銀短観12月調査では、大企業・中小企業の「業況判断DI(「良い」-「悪い」社数割合)」が、製造業・非製造業ともに改善しました。特に、中小企業の非製造業においては、7四半期連続で改善しています。一方で、人手不足深刻化を踏まえて、「先行き」に対して慎重な見方が示されました。特に、物流・運送業界においては、「2024年問題」と称されるドライバー不足が懸念されており、DX推進やM&Aなど、業務・事業効率化による収益構造の改善が不可欠です。

今回の「格付ロジック改定」では、「2024年問題」の影響を直接的に受ける道路貨物運送業(中分類業種コード44)についても、競争力を有する企業を判別するための収益性分析を強化し、これまで過小評価されていた企業に対して、評価適正化を図っております。

図表C
図表D-1
図表D-2

[総評]
今回の「格付ロジック改定」は、経済・政治情勢の変化を考慮し、企業の収益性分析に注力いたしました。今回の調査結果により、概ね格付ロジック改定の趣旨に沿った格付変動となっていることが確認されたといえます。
また、「格付ロジック改定」の研究開発を実施するうえでは、アナリストの精緻な分析に加えて、AIによる分析も活用いたしました。与信審査のプロであるアナリストの知見とAI技術を組み合わせることにより、企業の倒産予兆を正確に捉え、RM格付の判別力向上を見込んでおります。

リスモンは、今後も定期的な格付ロジック改定を実施し、時勢に合った分析手法を取り入れることで、より高い倒産判別精度を目指し、安全な取引の拡大による経済への貢献に努めていく所存です。

※ 本編はダイジェスト版です。詳細な内容は、以下掲載サイトよりご覧いただけます。
https://www.riskmonster.co.jp/study/research/

[実施概要]
・調査名称  :第17回「格付ロジック改定によるRM格付変動の影響」調査
・調査方法  :RM格付の遷移状況調査
・遷移調査時点:2023年12月17日(日)
・調査対象企業:2023年12月17日時点でRM格付がA~F格である1,295,206社

■リスモンの概要(東京証券取引所スタンダード市場上場 証券コード:3768)
2000年9月設立。同年12月よりインターネットを活用した与信管理業務のアウトソーシングサービス、ASPクラウドサービス事業を開始しました。以来、法人会員向けビジネスを要として、教育関連事業(定額制の社員研修サービス「サイバックスUniv.」)やビジネスポータルサイト事業(グループウェアサービス等)、BPOサービス事業、海外事業(利墨(上海)商務信息咨詢有限公司)にサービス分野を拡大し、包括的な戦略で事業を展開しております。
リスモングループ法人会員数は、2023年9月末時点で13,851(内、与信管理サービス等7,315、ビジネスポータルサイト等3,096、教育事業等2,988、その他452)となっております。

ホームページ: https://www.riskmonster.co.jp/

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