組織の生産性向上につながる労使の信頼関係の再構築を 新型コロナウイルス感染症が働く人の 意識に及ぼす影響を継続調査~第2回「働く人の意識調査」
調査研究や提言、実践活動により生産性向上をめざす公益財団法人 日本生産性本部(東京都千代田区、会長:茂木 友三郎)は7月21日、新型コロナウイルス感染症が組織で働く人の意識に及ぼす影響の継続調査(第2回「働く人の意識調査」)結果を取りまとめ、公表しました。
感染症のリスクを織り込んだ「新しい日常」が動き出し、日々の暮らしや働き方、組織の業務内容や運営形態などが見直され、その影響は社会・経済の仕組みや人々の意識・価値観の変遷にまで及ぼうとしています。このような状況の下、経営者・労働者・学識経験者の三者構成による日本生産性本部は、組織で働く雇用者を対象に、所属組織に対する信頼度や雇用・働き方に対する考え方などについて、継続的にアンケートによる意識調査を実施しています。
今回の調査は、5月22日に公表した第1回(調査期間:5月11~13日)に続く2回目で、緊急事態宣言が解除され、新型コロナウイルス感染防止対策と経済活動の両立を模索する約1か月半を経た7月6日(月)~7日(火)、20歳以上の日本の雇用者(就業者から自営業者、家族従業者等を除く)1,100名を対象にインターネットを通じて行ったものです。今回は、「安全という価値」の対価としてのセイフティ・チャージ(サービスの安全・衛生への消費者の一部負担)やワークシェアリング、兼業・副業に関する設問を新たに追加しました。主な特徴は以下の通りです。
第2回「働く人の意識調査」主な特徴
(詳細や図表は別添「調査結果レポート」参照)
- コロナ対策費用の一部負担(セイフティ・チャージ):6割が消極的だが性・年代で強弱(図7~9)
・サービスの安全・衛生への取り組みの一部を消費者が負担するセイフティ・チャージについて、容認は約4割(「負担してもよい」7.0%、「どちらかと言えば負担してもよい」32.5%)、容認しないは約6割(「どちらかと言えば負担したくない」36.9%、「負担したくない」23.5%)(図7)
・性・年代で見ると、容認意向が比較的多いのは男性の50代・60代・70代。男性・70代以上の68.8%(「負担してもよい」6.3%、「どちらかと言えば負担してもよい」62.5%)が最多(図8)
・容認意向がもっとも少ないのは女性・30代で28.7%(「負担してもよい」7.4%、「どちらかと言えば負担してもよい」21.3%)(図9)
- 勤め先への信頼感:信頼は低下傾向、健康配慮が大きく影響(図10~16)
・「信頼していない」が5月調査の8.5%から11.7%に増加。「信頼している」(15.8%→13.0%)、「まずまず信頼している」(51.7%→48.4%)の合計は5月調査の67.5%から61.4%に低下(図14)
・勤め先への信頼の程度に最も大きな影響を与えているのは、健康への配慮(図15)
・テレワークをはじめとする柔軟勤務の導入・維持は、従業員への健康配慮のメッセージ(図16)
- ワークシェアリング:4割が是認、勤め先への信頼度と相関(図17~19)
・ワークシェアリングについて、「給与を減らしてでも、雇用を維持するべきだ」(是認・40.5%)、「給与は減らさず、雇用を削減するべきだ」(否認・19.5%)、「わからない」(39.9%)(図17)
・勤め先への信頼の程度が高いほどワークシェアリングを是認する意見が多く、「信頼している」では是認は51.0%。処遇が低下しても信頼できる勤め先で働きたいとの気持ちの表れ(図19)
- 兼業・副業:5割弱が前向き、性・年代別で差異(図20~22)
・兼業・副業について、前向きな意見が5割弱(「現在、兼業・副業を行っている」8.7%、「現在は行っていないが、将来的には兼業・副業を行ってみたい」40.2%)(図20)
・性・年代で見ると、女性・30代の63.9%(「現在行っている」16.0%、「将来的に行ってみたい」47.9%)がもっとも積極的(図21・22)
- 自己啓発の取り組み:引き続き低調、勤め先への信頼度が目的に影響(図23~26)
・自己啓発の取り組みを「始めた」は6.1%と低調。「まだ始めていないが、始めたいと思っている」31.3%、「特に取り組む意向は無い」62.6%と、5月調査と同じ傾向が継続(図23)
・勤め先への信頼の程度別に自己啓発の目的を見ると、信頼度が高い者は「現在の仕事に必要な知識・能力を身につけるため」の割合が多く、信頼度が低い者は「転職や独立のため」の割合が多い(図25・26)
- 働き方の変化:在宅勤務は効率・満足度とも上昇、労務管理上課題も(図27~38)
・柔軟な働き方(時差出勤やテレワーク等)の実施率は、殆どの施策で5月調査より減少(図27)
・テレワークの実施率も5月調査の31.5%から20.2%へと減少、オフィスへの回帰が進行(図28)
・職種別に見ると、「事務的な仕事」「専門的・技術的な仕事」「販売の仕事」で特に大きく低下、「管理的な仕事」でも低下している(図29)
・直近の1週間の出勤日(営業日ベース)は、5月調査では「2日以下」が69.4%を占めていたが、7月調査では「3日以上」が51.4%で逆転(図30)
・在宅勤務の効率について、5月調査の33.8%(「効率が上がった」7.2%、「やや上がった」26.6%)に対し、7月調査では50%(「効率が上がった」9.9%、「やや上がった」40.1%)が上昇(図31)
・在宅勤務への満足度は、70.3%が「満足」(「満足している」22.3%、「どちらかと言えば満足している」48.0%)で5月調査の57.0%(「満足している」18.8%、「どちらかと言えば満足している」38.2%)より向上(図32)
・テレワークを行う上での労務管理上の課題について、「仕事の成果が適切に評価されるか不安」27.9%、「オフィスで勤務する者との評価の公平性」27.9%、「業務報告がわずらわしい」27.5%、「仕事振り(プロセス)が適切に評価されるかどうか不安」19.4%、などが示された(図34)
・コロナ禍収束後もテレワークを行いたいかについて、積極的な意向は75.6%(「そう思う」27.9%、「どちらかと言えばそう思う」47.7%)と5月調査の62.7%(「そう思う」24.3%、「どちらかと言えばそう思う」38.4%)を上回った(図35)
【別添資料】(資料1)調査結果レポート、(資料2)調査票、(資料3)単純集計表
*調査結果レポート本文は、日本生産性本部の調査研究・提言活動サイト
< https://www.jpc-net.jp/research/detail/004518.html >をご参照ください。