食欲の秋と食中毒  4割が食中毒を経験! 鶏肉の扱い方で明暗  “鶏肉に潜む薬剤耐性菌”に要注意!  ― 食中毒調査レポート発表 ―

食肉には細菌が付着していることがあり、その中には食中毒*1 を起こす細菌がいます。昨今、感染症を治療する上で重要な抗菌薬(抗生物質)が効かない薬剤耐性(AMR)の問題が世界中で深刻化していますが、食中毒を起こす細菌の中にも薬剤耐性をもつものがいます。昨年は、米国で生の鶏肉を原因とするサルモネラの薬剤耐性菌感染が広がり、少なくとも92人の患者が確認されたと報道されました*2。また、日本でも生の鶏肉の約半数から薬剤耐性菌が検出されたとの報告があります*3。
AMR臨床リファレンスセンターでは、鶏肉を中心に食中毒と薬剤耐性菌について308名にアンケートを行いました。その結果、食中毒の正しい予防方法を知っている人が多いにも関わらず、食中毒を経験したことがある人が4割にもなることがわかりました。さらに新鮮な鶏肉にも食中毒の原因菌が付着している可能性は知っているものの、鶏肉に潜む薬剤耐性菌については知らないことがわかりました。
近年の健康ブームで注目される鶏肉は、安価で食べやすく家庭でも人気の食材です。安心して食べるために、薬剤耐性対策に関する正しい知識を一人ひとりが身につけることが大切です。

*1:食中毒はウイルスや化学物質も原因となりますが、ここでは細菌による食中毒について解説します
*2:CNN.鶏肉から多剤耐性サルモネラ菌、92人が感染 米CDC(2018年10月18日)
*3:平成29(2017)年度厚生労働科学研究 食品由来薬剤耐性菌の発生動向及び衛生対策に関する研究 より

― 調査 SUMMARY <サマリー> ―
・食中毒を経験したことがある人は4割 男女、年代問わず幅広く経験!
・新鮮な鶏肉でも食中毒になることを約9割が知っている
・鶏肉に薬剤耐性菌がついている可能性があることを知っているのは33.8%だけ!

・鶏肉の取り扱い方によっては薬剤耐性菌感染のリスクがある
・食中毒の予防は薬剤耐性菌感染のリスクも回避できる

サンプル:一般人 308名
     男女 各50%、20代~60代 年代別にインターネット調査
調査期間:2019年8月

流通している鶏肉の約半数から薬剤耐性菌が検出

鶏肉は体が小さいことから食肉加工の段階で腸の中にいる菌が食肉につきやすいとされています。食肉検査所などで約550体の鶏肉を検査したところ約半数の49%の鶏肉から薬剤耐性菌を検出したことが、厚生労働省研究班の調べで分かりました。病原性大腸菌、サルモネラ菌、カンピロバクターなど食中毒を起こす菌が薬剤耐性になってしまうと、体力がない病人や高齢者の場合、抗菌薬による治療が難しくなり、重症化する危険も伴います。さらに薬剤耐性菌の拡大にもつながるため、鶏肉の正しい扱い方法と薬剤耐性菌対策の正しい知識を持つことが重要です。
そこで、国立国際医療研究センター病院 具芳明(ぐ よしあき)先生に、調査結果の考察と食中毒や危険な薬剤耐性菌を身体に取り込まないようにするための対策について伺いました。

4割が食中毒の経験者

食中毒を起こした経験がある人(病院で診断された場合だけでなく、自己判断も含む)は、男女ともに、年代も幅広く4割前後の方が「はい」と回答しました。それだけ、食中毒は身近であり、感染の危険性が常にあるということを表しています。
症状は下痢、腹痛、発熱、嘔吐などで、倦怠感、頭痛、めまい、筋肉痛が起こることもあります。食中毒は、時間が経てば症状が治まってしまうことも多いです。しかし、子ども、高齢者、病気の治療中など抵抗力が低下している場合は重症化のリスクがあり、油断は禁物です。

Q1食中毒を経験したことがありますか?
Q1食中毒を経験したことがありますか?
Q2家庭で鶏肉を調理する時、衛生上特に気を付けてることはありますか?
Q2家庭で鶏肉を調理する時、衛生上特に気を付けてることはありますか?
Q3新鮮な鶏肉でも食中毒の原因になる可能性があると思いますか?
Q3新鮮な鶏肉でも食中毒の原因になる可能性があると思いますか?
Q4鶏肉に薬剤耐性菌がついている可能性があることを知っていますか?
Q4鶏肉に薬剤耐性菌がついている可能性があることを知っていますか?
具 芳明先生
具 芳明先生

具 芳明 (ぐ よしあき)先生
国立国際医療研究センター病院 AMR臨床リファレンスセンター
情報・教育支援室長 総合内科専門医、感染症専門医
薬剤耐性(AMR)対策を推進するための教育啓発活動や医療現場の支援に従事
経歴:佐久総合病院、静岡県立静岡がんセンター、国立感染症研究所、東北大学などを経て2017年より現職。

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