NTTデータ経営研究所とIFTFの共同調査の結果を公開 AIを活用した「組織と仕事の未来」について
株式会社NTTデータ経営研究所(所在地:東京都千代田区、代表取締役社長:山口 重樹、以下 当社)および未来志向のアプローチにおける研究・教育で著名な非営利組織「Institute for the Future(所在地:米国カルフォルニア州、以下 IFTF)」は、2023年9月に共同研究を実施し、このたびその成果をまとめましたのでお知らせします。この共同研究は、当社の所有する経験豊富な国内の知見と、IFTFの先見性のあるツールや研究の専門知識を活用し、仕事の未来を形作る人工知能(AI)の変革的な役割について調査したものです。この研究調査では、特に日本の組織に焦点を当て、6つの主要産業(鉄道、航空、不動産、保険、通信、テレビ・メディア)について詳細な分析を行いました。ここではAIの現在の能力、今後5年間に予想される進化、そして今後10年間のビジョン予測に関する重要な洞察を明らかにしました。また対話型ワークショップを行うことにより、日本特有の洞察とAIがどのように仕事と労働者を再形成しつつあるのか、そしてこのことが日本のビジネス・エコシステムの将来にとって何を意味するのかについて、独自の視点をまとめています。
背景
人工知能(AI)の台頭は、単に産業に革命をもたらすだけでなく、可能性の限界そのものを再定義する可能性を秘めています。5年前には想像もできなかったことが、AIの変革力により、今や新しい常識となっています。当初は革新的なツールと見なされていたAI技術は、革命的な力へと進化し、仕事、コミュニケーション、意思決定などの方法を再構築しています。この急速な変化は、企業、政策立案者、労働者すべてに「適応すること」を迫っています。AIはビジネスの効率化と労働者の能力を向上させていますが、同時に雇用の喪失も招き、これらのテクノロジーを取り込むことに疑問の声も出ています。現在の課題は、AIが企業や労働者に与える多面的な影響をバランスよく認識し、統合・適応させることにあります。また、倫理的な意味合い、社会への影響、長期的な持続可能性についての課題も、この新しい状況を乗り切る上で最も重要です。このような課題があるにもかかわらず、否定できない真実は、AIテクノロジーはここにとどまり、そして私たちの世界を形成する上で重要な役割を果たし続けるということです。
共同研究の概要
当社とIFTFは、人工知能(AI)の視点を通して仕事の未来についての再定義を行いました。また、IFTFの持つPrepare-Foresight-Insight-Action(「準備-予見-洞察-行動」)の手法を活用し、日本の6つの重要な産業において、実行可能な洞察と実践的な戦略を提供することに焦点を当てました。
図表1では、IFTFの手法の詳細を示しています。
IFTFの「3つのホライゾンフレームワーク」:実践的アプローチ
当調査は、IFTFの「3つのホライゾンフレームワーク」に基づいて構成されています。このフレームワークは、さまざまな時間軸でAIの影響を想定するための戦略ツールです。
ホライゾン1 - 現在:このフェーズでは、現在のAIエコシステムの全体像を提供しています。主要な要素と変化のシグナルを特定し、さまざまなビジネスにおけるその影響を紹介。実際のケーススタディでは、企業がすでにどのようにAIを活用して能力を高めているかを確認し、将来起こりうるイノベーションの例を示しています。
ホライゾン2 - 移行期(今後5年間):このフェーズでは、直近の洞察に基づき、今後5年間の予測を行いました。AI導入の過渡的な性質に焦点を当て、特に組織文化と価値観における課題と機会を特定しています。
ホライゾン3 - 長期的な未来(10年後以降):10年先を見据えたこのフェーズでは、急進的なイノベーションとその変革の可能性を探りました。日本の主要6産業(鉄道、航空、不動産、保険、通信、テレビ・メディア)について詳細なシナリオを予測し、AIがこれらの分野にもたらすだろう重大な影響をマッピングしています。
共同ワークショップ理論と実践の架け橋
調査の中心となったのは、当社とIFTFが共同で行ったワークショップです。このワークショップは、IFTFの先見的な専門知識と当社の実践的なアプローチを融合させ、本報告書の基礎となる内容を生み出す上で重要な役割を果たしています。ワークショップを通じて、我々の理解を深めただけでなく、特にAI変革の最前線にある上記6業界における醸成された将来像のアイデアが現実世界に適用可能であることを確認できました。
6つの産業:AIが牽引する未来を垣間見る
当調査では、AI革命の岐路に立つ日本の6つの主要産業について掘り下げました。鉄道分野では、AIが安全性と効率性に革命をもたらし、予知保全と乗客体験を強化すると予測されています。航空業界では、AIがフライトオペレーションを最適化し、顧客サービスを向上させるなど、変革の渦中にあります。不動産業界では、不動産管理プロセスの合理化と、居住空間との関わり方の変革という2つの影響があります。保険業界では、より正確なリスク評価とパーソナライズされた保険提供のためにAIが活用されています。通信業界では、AIがネットワークの最適化と顧客中心の新サービス開発の原動力となっています。テレビ・メディア業界では、AIが厳選されたコンテンツやパーソナライズされた視聴体験によるパラダイムシフトが起きています。これらの業界においては、AIは単なる漸進的な変化のためのツールではなく、ビジネスモデル、顧客体験、業務効率を再定義するための大きなきっかけとなっているのです。
未来について、より広い視点から
AIの進化という複雑な状況をナビゲートするには、特定業界の枠を超えた、より広い意味を認識することが不可欠です。本調査の結果はマクロな視点から、AIが社会規範を再定義し、既存のパラダイムに挑戦し、前例のないイノベーションの機会を促進するという可能性を示唆しています。
変革の時代において、AIの未来は業界の枠を超え、波及効果は世界全体に及ぶため、イノベーションへの協力的なアプローチが必要となります。また、企業、政策立案者、技術者、そして社会全体が一丸となって取り組むべき行動を呼びかけるものです。
さらなる追求へ
本リリース内容は、全調査レポートの一部に過ぎません。全レポートをご覧いただくことで、AIが産業の未来をどのように形成しつつあるのか、また、将来の成功の原動力となる革新的な戦略についてより深くご理解いただけます。
インスティテュート・フォー・ザ・フューチャー(IFTF)について
インスティテュート・フォー・ザ・フューチャー(IFTF)は、世界をリードする未来団体です。55年以上にわたり、企業、政府、社会的影響力のある組織は、複雑な変化をナビゲートし、未来に対応した戦略を開発するために、IFTFのグローバル予測、カスタムリサーチ、先見トレーニングを提供しています。私たちの使命は、変革の可能性のビジョンをもつことで短期的思考をディスラプトし、より良く、より公平な未来を創造する世界に備えることです。インスティテュート・フォー・ザ・フューチャーは、カリフォルニア州パロアルトを拠点とし、マリーナ・ゴルビス女史が主導する非営利団体で、501(c)(3)団体に登録されています。
株式会社NTTデータ経営研究所について
株式会社NTTデータ経営研究所は、日本最大のシステムインテグレーターである株式会社NTTデータの100%子会社として1991年に設立しました。約400名のプロフェッショナルとスタッフを擁し、公共、金融、産業などの分野で最先端のコンサルティングとアドバイザリーサービスを提供しています。私たちは、戦略的な先見性を提供し、先進的な戦略で組織を強化し、複雑な課題を乗り越えて、変革的な変化と持続可能な成長を推進することをお約束します。
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