全国初！歯科技工所と地元運送業者のコラボによる歯科専門集配サービス「TDS」を開発　～歯科技工士の長時間労働解消に向けた実証実験を実施～

離職率7割の歯科技工士の現状、長時間労働解消に向けた実証実験を実施

2021-12-21 09:30

歯科技工業務を行うスマイルケア株式会社(所在地：香川県高松市、代表取締役：細川直哉)は、2021年5月～11月に香川県下の歯科技工所(以下ラボという)10軒を対象に「歯科における集配業務を外部委託することで歯科技工士の週80時間以上という慢性的な長時間労働を解決できるか」という実証実験を実施しました。なお、この事業は厚生労働省『歯科技工所業務形態改善等調査に係る検証事業』にも選ばれている。

サービス開発の背景

歯科技工業界には、かねてより「新卒5年以内の離職率7～8割」と言われています。その原因となっているのが「慢性的な長時間労働」です。政府が進める「働き方改革」に関連する法改正も順次スタートしてきた今、技工業界も抜本的な改革の必要性があります。
個人ラボと歯科医院間の歯科技工物の集配業務は、約8割の歯科技工士が自ら行なっているのが通常でありますが、ここに大きな時間の無駄がありました。実は法的にも集配業務を歯科技工士が行わなくても良いのです。そこで、「歯科技工士を人気職に！」を合い言葉に競合する個人ラボの有志に声かけし、地元運送業者とコラボによる集配業務のみを外部委託するという「ありそうでなかった」ライドシェア型の歯科専門集配サービス「TDS」(以下TDSという)の誕生に至りました。

サービスの独自性

技工業界ではこれまでに、営業代行も併せて行う業者はあるようですが、配送業務のみのサービスは全国初(※当社調べ)です。営業マージンを取られることもなくお財布にやさしいサービスです。

実証実験の結果

有志の技工士たちが、TDSを利用することにより歯科技工士の長時間労働問題を解消することができるのか実験を試みました。

・A社
取引先軒数　　　　　　　：11軒
TDS利用額(月平均)　　　：約￥50,000
過去のガソリン代(月平均)：約￥35,000
過去の集配時間(1日平均) ：5,5時間

・B社
取引先軒数　　　　　　　：9軒
TDS利用額(月平均)　　　：約￥20,000
過去のガソリン代(月平均)：約￥15,000
過去の集配時間(1日平均) ：2時間

・C社
取引先軒数　　　　　　　：6軒
TDS利用額(月平均)　　　：約￥12,000
過去のガソリン代(月平均)：約￥12,000
過去の集配時間(1日平均) ：4時間

結果は、利用するラボの規模によって違いはありますが、これまでに集配業務に費やしていた2～5時間が、そっくり技工作業に充てられています。またTDSにおけるコストは、これまでのガソリン代や車の維持費、時短分の光熱費の減少とトータルで考えると増減ゼロになっていると言えます。

サービスの特徴

とにかく簡単に取り組めて、貴重な時間が得られるシステムです。
歯科医院においての対面でのやり取りをなくすことで、コロナ禍においての感染拡大のリスクを軽減でき、診療時間への影響も減らすことが可能となります。
大手宅配業者に見られる繁忙期の遅延や、一件の荷物につき複数の作業員が関わるために起こる誤配送などの人的ミスが起こりにくいと考えられます。
集荷、配達の依頼を電話または、LINE公式アカウントのチャットにて直接ドライバーに伝えることで、タイミングが合えば当日の集荷や配達も可能です。
煩わしい配達用の伝票を必要としません。

今後の展望

県下の約170軒全てのラボが「TDS」をシェアすることになれば「長時間労働」から脱却でき、技工士の成り手、担い手不足(近年最多の1995年の3,199人以降、右肩下がりで2018年では823人：歯科技工士養成施設入学者数)が解消し、「なりたい職業」になると期待します。
付け加えると、このサービスの利用者の数だけ、勤務中における車の稼働がなくなるわけで、近い将来「TDS」がEV車を導入することで、世界的な目標であるカーボンニュートラル実現に向けた取り組みにもなると考えられます。