1セル用バッテリー保護IC「S-82D1Aシリーズ」を発売

温度保護機能・充放電制御機能を備え、高い安全性と業界トップクラスの低消費を実現

2020-07-27 10:00

エイブリック株式会社（社長：石合信正、本社：東京都港区、以下：「ABLIC」)は本日より、1セル用バッテリー保護IC「S-82D1Aシリーズ」の販売を開始しました。
リチウムイオンバッテリーは、スマートフォンやウェアラブル機器などの携帯端末をはじめ、様々なアプリケーションに用いられています。
しかし、リチウムイオンバッテリーは充電や放電中に何等かの異常が発生して温度上昇が放置されると、発熱して最悪発火のリスクが生じます。このリスクを回避するため、保護ICによる充電・放電の正確な管理により、安全性を確保することが大変重要です。

新製品「S-82D1Aシリーズ」は、1セル用のリチウムイオンバッテリーの保護ICで、(1) 一般的な過充電・過放電・過電流保護機能に加えて温度保護機能を備えています。この温度保護機能により、温度上昇（あるいは下降）を監視することが可能となり、より安全性の高い保護回路を構成できます。 (2) 充放電制御機能により、外部信号を用いてバッテリーパックを充放電禁止にできます。(3) 過充電検出電圧精度が±15mVと高精度化、さらに保護機能を備えながらも動作時消費電流が5μA maxと業界トップクラスの低消費電流を実現しています。

ABLICは、今後もリチウムイオンバッテリー保護ICにおいて、さらなる高精度・高機能化を目指すとともに、幅広い分野のアプリケーションに対応できる製品展開を図っていきます。

主な特長

温度保護機能による4温度の監視が可能で、ノイズにも強い
　TH端子に1つのNTCサーミスタ（※1）を接続することで、高温・低温にそれぞれ2温度を監視することができます（計4温度監視）。温度検出回路は間欠で動作しており、100kΩもしくは10kΩのNTCサーミスタを使用することも可能です。1セル用保護ICで、10ｋΩのNTCサーミスタを使用できるのはABLICの製品だけ(※2)であり、100kΩのNTCサーミスタ使用する場合と比較してノイズに強く、低消費電流で温度監視機能を実現できるので保護回路設計の自由度が格段に高まります。
外部信号入力端子による充放電制御が可能
CTL端子に外部から信号を入力することで、充放電制御ができます。
過充電検出電圧精度は±15mV、高機能でありながら5μAmaxの低消費電流を実現
過充電検出電圧精度は±15mVと、業界トップクラスの検出電圧精度を実現しました。過充電検出電圧を高精度化することにより、安全性を確保しながらバッテリー性能を最大限に引き出すことができます。
さらに、温度保護機能や充放電制御機能など、高機能化を図りながらもトップクラスの低消費電流5μAmaxを実現しています。

（※１）サーミスタとは、温度（熱）に反応する抵抗体を指し、温度が上昇した時に抵抗値が下がるタイプのものをNTC（Negative Temperature Coefficient）サーミスタと言う
（※２）2020年7月現在、当社調べによる

主な仕様

　・過充電検出電圧：3.50 ～ 4.60V ±15mV
　・過放電検出電圧：2.00 ～ 3.00V ±50mV
　・放電過電流検出電圧1：0.003 ～ 0.100V ±1.5mV
　・放電過電流検出電圧2：0.01 ～ 0.100V ±3mV
　・負荷短絡検出電圧：0.020 ～ 0.100V ±5mV
　・充電過電流検出電圧：-0.100 ～ -0.003V ±1.5mV
　・0V電池への充電（可能、禁止）
　・動作時消費電流：5μA max.
　・パワーダウン時消費電流：0.1μA max.
　・温度保護機能(高温２温度＋低温２温度=4温度検出）
　・最大定格:28V
　・動作温度：-40～85℃
　・パッケージ：HSNT-8(1616)