<パパとママの育児・授乳実態調査> 自分が親であることの自覚を芽生えさせてくれる育児は「授乳」 ママだけでなくパパも、「授乳」で育児を通じた幸せを 感じていることが判明
・半数以上のパパ・ママが、「授乳」は自分が親であることの自覚を 芽生えさせてくれる育児であると回答。(パパは55.0%、ママは79.2%) ・毎日授乳・調乳しているパパの85.9%が、 「育児」を通して幸せを感じていると回答。 経験が少ない、または全く経験がないパパは64.7%にとどまった。
江崎グリコ株式会社は、厚生労働省「イクメンプロジェクト」の推進委員会委員であり、男性学の第一人者としてご活躍されている社会学者の田中俊之先生のご監修の元、現在授乳中(0~12か月)の子を持つパパ・ママ計1,000名を対象に「育児と授乳の実態調査」を実施致しました。
2018年8月8日に、厚生労働省が『乳児用液体ミルク』についての製造・販売の規格基準をまとめ、省令を改正したことで、日本においても『乳児用液体ミルク』の製造販売が可能となりました。赤ちゃんにとって母乳が最良の栄養であるのは言うまでもない事ですが、乳児用液体ミルクは常温保存が可能で、封を開ければ赤ちゃんにすぐに飲ませることができるので、災害用途として、また、育児の負担軽減や育児シェアの広がりなどをサポートするアイテムとして期待されます。
調査では、半数以上のパパ・ママが、「授乳」※1は自分が親であることの自覚を芽生えさせてくれる育児であると回答(パパは55.0%、ママは79.2%)。また、毎日授乳・調乳※2を行っているパパの85.9%が「育児」を通して幸せを感じていると回答し、授乳・調乳の経験が少ない、または全く経験がないパパの64.7%よりも高い結果となり、「授乳」は親であることの自覚を芽生えさせてくれると共に、幸せを感じさせてくれる育児であると思っていることが明らかになりました。
また、直接的に育児に関わっている※3パパが多く、育児への積極的な関わりが見受けられる一方、その中でも「授乳」をしている人は半数程度に止まり、推奨されている粉ミルクの作り方ができている人も少ないことが判明しました。乳児用液体ミルクは、誰もが簡単に授乳できるため、楽しい育児をサポートしてくれるアイテムとして、ママだけでなくパパや家族のより積極的な育児への関わりが期待できます。
江崎グリコ株式会社では、赤ちゃんに最良の栄養は母乳と考えていますが、その前提のもと、これからの育児の新たな選択肢の一つとして『乳児用液体ミルク』の研究・開発を進めてまいりました。その結果、このたび乳児用液体ミルク製品化に成功し、今後は発売に向けての準備を進めながら、『乳児用液体ミルク』の正しい理解を広めていくための情報発信に努めてまいります。
※1:「授乳」とは、母乳あるいは粉ミルクを赤ちゃんに与えることを指します。
※2:「調乳」とは、粉ミルクを湯で溶いて、乳児の飲用に適した状態のミルクを作ることを指します。
※3:「直接的な育児」とは、家事を除く、直接子供と触れ合っている育児を指します。
調査概要
■調査対象 :現在授乳中(0~12か月)の子を持つ人
(パパ:300名、専業主婦:350名、
有職ママ(※育休を含む):350名)計1,000名
■調査日 :2018年10月5日(金)~10日(水)
■インターネット調査:全国
■調査主体 :江崎グリコ株式会社
調査トピックス
- 半数以上のパパ・ママが、「授乳」は自分が親であることの自覚を芽生えさせてくれる育児であると回答(パパは55.0%、ママは79.2%)
・半数以上のパパ・ママが、「授乳」は自分が親であることの自覚を芽生えさせてくれる育児であると回答。パパは55.0%(非常にそう思う15.3%、そう思う39.7%)、ママは79.2%(非常にそう思う31.1%、そう思う48.1%)%にも及んだ。
・「育児」において大変だと感じていることを「授乳」と答えたパパの中で、「親になった実感を持てた」育児を「授乳」と選択したパパは最も多く55.7%。大変だけれども幸せであると感じていることが明らかに。
- 毎日授乳・調乳を行っているパパ※4は、授乳・調乳の経験が少ない、または全く経験がないパパ※5よりも
「育児」を通して幸せを感じている
・2人に1人のパパが、粉ミルクを自分で作って赤ちゃんに飲ませている※4。
・毎日授乳・調乳を行っているパパ※4のうち、85.9%もの人が「育児」を通して幸せを感じていると回答(「とても幸せを感じている」51.9%、「やや幸せを感じている」34.0%)し、授乳・調乳の経験が少ない、または全く経験がないパパ※5は64.7%(「とても幸せを感じている」35.3%、「やや幸せを感じている」29.4%)にとどまった。
・授乳・調乳の経験が少ない、または全く経験がないパパ※5も2割近くおり、その理由として、「自分の役割ではない」と回答した人が31.4%。次いで、「粉ミルクの作り方がわからない」「粉ミルクの計り間違いが心配」が15.7%と並んでいる。
※4:「毎日授乳・調乳を行っているパパ」とは、1日に1回以上の頻度で「粉ミルクを自分で作って赤ちゃんに飲ませたこと経験がある」と回答したパパを指します。
※5:「授乳・調乳の経験が少ない、または全く経験がないパパ」とは、月1回程度など週1回程度以下の頻度で「粉ミルクを自分で作って赤ちゃんに飲ませた経験がある」、または、「全くしたことがない」と回答したパパを指します。
- 休日のパパは、育児時間が5時間39分と自分の時間(3時間58分)よりも長く、休日は積極的に育児に参加。
「育児」の内容も、8割のパパが「お風呂に入れる」や「オムツ替え」に関わっているなど、直接的な育児※2に関わっているパパが多いことが判明したが、一方で「授乳」をしているパパは約5割と半数に止まる。
・パパの平日の育児時間が2時間11分に対し、休日の育児時間は5時間39分とその差は3時間28分にも及び、休日のパパの育児時間は自分の時間(3時間58分)を上回っている。
・パパが現在関わっている「育児」の内容として、「子供をお風呂に入れる」81.0%、「子供と一緒に遊ぶ」80.7%、「オムツ替え」80.0%が挙げられ、直接的に育児に関わっているパパが多いことが明らかに。一方で、「授乳」をしているパパは54.3%で約2人に1人に止まっている。
- 粉ミルクを正しく作れていると思っているパパ・ママは75.7%。しかし、「赤ちゃんの味覚や栄養の状態によって粉ミルクの量を加減する」など、パパ・ママともに推奨されていない作り方も多く見られ、また、3人に1人のパパが「粉ミルクをスプーン山盛り1杯で計る」などの推奨されていない作り方をしていることが明らかに。
・粉ミルクを正しく作れていると思うパパ・ママは75.7%(「非常にそう思う」19.8%、「そう思う」55.9%)にも及ぶ(パパは78.7%、ママは74.5%)が、パパ・ママともに、推奨されていない作り方も多く見られる。また、ママに比べてパパのほうが推奨されていない作り方を行っている
行っている人が多かった推奨されていない作り方
・粉ミルクをお湯で溶いて、水を加えて冷ます。(51.2%が行っていると回答(パパは54.6%、ママは49.8%)
・赤ちゃんの味覚や栄養の状態によって粉ミルクの量を加減する。(42.7%が行っていると回答(パパは42.6%、ママは42.7%)
・哺乳瓶には、粉ミルクより先にお湯を入れる。(22.6%が行っていると回答(パパは26.9%、ママは20.8%)
多くのパパが行っている推奨されていない作作り方
・スプーン一杯は山盛り1杯のことである。(パパの29.7%、ママの17.3%が行っていると回答)
・粉ミルクを水で作り、電子レンジで温める。(パパの20.1%、ママの7.1%が行っていると回答)
・ミルクを作り置きして保存しておく。(パパの19.7%、ママの7.7%が行っていると回答)
・粉ミルクを作るのにかかる時間は、ママが7分28秒、パパが12分26秒で、パパはママよりも約5分多くかかっている。
- 半数以上のパパ・ママが、「授乳」は自分が親であることの自覚を芽生えさせてくれる育児であると回答(パパは55.0%、ママは79.2%)
パパ・ママの“授乳についての考え”を調査したところ、半数以上のパパ・ママが、「授乳」は自分が親であることの自覚を芽生えさせてくれる育児であると回答しました。パパは55.0%(非常にそう思う15.3%、そう思う39.7%)、ママは79.2%(非常にそう思う31.1%、そう思う48.1%)%にも及びんでいます。
また、「育児」において大変だと感じていることを「授乳」と回答したパパの中でも、「親になった実感を持てた」育児を「授乳」と選択したパパは最も多く55.7%となり、「授乳」は大変な育児でありながらも、ママだけでなくパパも、「授乳」によって自分が親であることの自覚を感じていることが明らかとなりました。
▼図1:「授乳」が、自分が“ママ”あるいは“パパ”であることの自覚が芽生えるきっかけのひとつであったか
▼図2:育児において大変だと感じていることが「授乳」である人について、あなたは、どの「育児」をしたときに「親になった」と実感が持てましたか。(パパN=61)
- 毎日授乳・調乳を行っているパパは、授乳・調乳の経験が少ない、または全く経験がないパパよりも「育児」を通して幸せを感じている
粉ミルクを自分で作って赤ちゃんに飲ませている頻度を調査したところ、2人に1人のパパが、毎日、粉ミルクを自分で作って赤ちゃんに飲ませている(「1日に複数回以上」25.0%、「1日1回程度」29.0%)ことが明らかとなりました。
毎日粉ミルクを自分で作って赤ちゃんに飲ませているパパのうち、85.9%もの人が「育児」を通して幸せを感じていると回答(「とても幸せを感じている」51.9%、「やや幸せを感じている」34.0%)しているのに対し、飲ませた経験が少ない又は全くないパパは64.7%(「とても幸せを感じている」35.3%、「やや幸せを感じている」29.4%)にとどまる結果となりました。
粉ミルクを自分で作って赤ちゃんに飲ませた経験が少ない又は全くないパパは2割近くおり、その理由として、「自分の役割ではない」と回答した人が31.4%。次いで、「粉ミルクの作り方がわからない」「粉ミルクの計り間違いが心配」が15.7%と並んでいます。
授乳は、親である自覚を芽生えさせてくれると共に、幸せを与えてくれる育児であることがうかがえる一方で、授乳が「自分の役割ではない」と感じているパパも多く、性別意識が強く残っている育児であるということも考えられます。
▼図3:あなたは、どの程度の頻度で、粉ミルクを自分で作って赤ちゃんに飲ませてあげていますか
▼図4:あなたは、お子様の「育児」を通して、どの程度幸せを感じていますか。
▼図5:あなたが、粉ミルクを自分で作って赤ちゃんに飲ませたことがない理由はなんですか。(パパN=51)
- 休日のパパは、育児時間が5時間39分と自分の時間(3時間58分)よりも長く、休日は積極的に育児に参加。「育児」の内容も、8割のパパが「お風呂に入れる」や「オムツ替え」に関わっているなど、直接的な育児に関わっているパパが多いことが判明したが、一方で「授乳」をしているパパは約5割と半数に止まる。
パパの平日の育児時間が2時間11分に対し、休日の育児時間は5時間39分とその差は3時間28分にも及び、休日のパパの育児時間は休日の自分の時間(3時間58分)をも上回っていることが明らかとなりました。平日は仕事などにより十分な育児時間が確保できない分、休日は積極的に育児に参加していることがうかがえます。
また、パパが現在関わっている「育児」の内容の上位に、「子供をお風呂に入れる」81.0%、「子供と一緒に遊ぶ」80.7%、「オムツ替え」80.0%が挙げられ、休日の育児時間のみならず、直接的に育児に関わっているパパが多いことが明らかとなりました。一方で、「授乳」をしているパパは約5割(54.3%)と半数に止まっています。
▼図6:あなたの、平均的な一日の過ごし方について教えてください。(パパN=300)
▼図7:あなたの、現在関わっている「育児」の内容として、あてはまるものをすべてお選びください(パパN=300)
- 粉ミルクを正しく作れていると思っているパパ・ママは75.7%。しかし、「赤ちゃんの味覚や栄養の状態によって粉ミルクの量を加減する」など、パパ・ママともに推奨されていない作り方も多く見られ、また、3人に1人のパパが「粉ミルクをスプーン山盛り1杯で計る」などの推奨されていない作り方をしていることが明らかに。
粉ミルクを正しく作れていると思うパパ・ママ全体で75.7%(「非常にそう思う」19.8%、「そう思う」55.9%)にも及んでいる一方で、パパ・ママともに、「粉ミルクをお湯で溶いて、水を加えて冷ます」(「行っている」51.2%)、「赤ちゃんの味覚や栄養の状態によって粉ミルクの量を加減する」(「行っている」42.7%)、「哺乳瓶には、粉ミルクより先にお湯を入れる」(「行っている」22.6%)などの推奨されていない作り方をしている人も多く見受けられました。
また、ママに比べてパパのほうが「スプーン1杯は山盛り1杯のことである」(「行っている」パパ29.7%、ママ17.3%)、「粉ミルクを水で作り、電子レンジで温める」(「行っている」パパ20.1%、ママ7.1%)、「ミルクを作り置きして保存しておく」(「行っている」パパ19.7%、ママ7.7%)などの推奨されていない作り方を行っている人が多く、粉ミルクを作るのにかかる時間においては、ママが7分28秒、パパが12分26秒で、パパはママよりも約5分も多くかかっていることが明らかとなりました。乳児用液体ミルクであれば、誰もが簡単に授乳できるため、育児をサポートしてくれるアイテムとして、ママだけでなくパパや家族のより積極的な育児への関わりが期待できます。
▼図8:あなたは、粉ミルクを正しく作れていると思いますか。
▼図9:粉ミルクを作る工程に関する項目について、実際にあなたが行っていること/行っていないことを教えてください。
▼図10:あなたは、粉ミルクを作るのに、1回あたり平均してどのくらい時間(「授乳」の時間は含みません)がかかりますか。(N=869)
厚生労働省「イクメンプロジェクト」の推進委員会委員であり、男性学の第一人者としてご活躍されている社会学者の田中俊之先生にコメントをいただきました。
田中俊之(たなか・としゆき)先生
1975年、東京都生まれ。大正大学心理社会学部准教授。男性学を主な研究分野とする。
著書『男性学の新展開』青弓社、『男がつらいよ 絶望の時代の希望の男性学』KADOKAWA、『〈40男〉はなぜ嫌われるか』イースト新書、『男が働かない、いいじゃないか!』講談社プラスα新書、小島慶子×田中俊之『不自由な男たち その生きづらさは、どこから来るのか』祥伝社新書
日本では“男”であることと“働く”ということとの結びつきがあまりにも強すぎる」と警鐘を鳴らしている
生理的早産とも言われるように、人間の赤ちゃんは非常に無力です。生命の維持に欠かせない栄養の補給さえ、自分ではできません。ですから、赤ちゃんに授乳をすることは、親にとって根本的に重要な役割だと言えます。単に栄養の面だけではなく、赤ちゃんが安心感を得るという点からも授乳は大切な行為です。発達心理学の知見によれば、赤ちゃんは生後3カ月ぐらいまでの間に、誰が自分の世話をしてくれるのかを見極めるそうです。「お腹が空いたよ」というサインに気がついてミルクをあげれば、母乳のでないパパでも赤ちゃんは頼りにしてくれるようになります。
会社でも家庭でも、自分でやるのが億劫なことを女性に押しつける男性は少なくありません。誰がやってもいいはずなのに面倒だからという理由で女性だけにやらせていることとして、粉ミルクの調乳・授乳が考えられます。粉ミルクの調乳や授乳はパパにとって手間がかかるかもしれません。しかし、それを理由にパパがやっていないとすれば、今後の夫婦関係は危ういと言えます。育児は体力勝負の側面がありますから、ママの睡眠時間を確保するために、とりわけ夜中の授乳はパパにも期待したいところです。親子関係という観点からも問題があります。生物学的に父親であっても、授乳をしなければ、その分だけ赤ちゃんからパパとして信頼してもらえなくなってしまいます。粉ミルクを自分で作っているパパが育児に幸せを感じているのは、授乳を通じて「親になっている」手応えがあるからでしょう。
我が家では、子どもが生まれた際に、食器を紙皿と紙コップに代えました。もったいないと思われるかもしれませんが、少しでも家事が減ればそれだけ育児にかける時間を増やすことができます。産後はママが体を休めなければなりませんので、その点でも、パパが自由に動ける時間を増やすことは大切です。とりわけ第一子の場合には、想像以上に大きく生活が変わります。これまでの「常識」にとらわれず、省力化できることは何でもやってみることをお勧めしたいです。開封後すぐに赤ちゃんに授乳できる乳児用液体ミルクは、その手段の一つになります。イクメンが流行語になってから10年近くが経ち、確かに、保育園の送迎や休日の公園でパパを見かける機会は増えました。でも、残念ながら、男性の育児休業取得はなかなか進みませんし、長時間労働も相変わらずです。平日の限られた時間の中で何ができるのか。誰でも手軽に使える液体ミルクの販売は、パパがこの問題をしっかり考えるきっかけになると思います。
参考文献:森口佑介 2014『おさなごころを科学する 進化する乳児観』新曜社