【緊急出版】旧統一協会信者救済のために急遽作られた「新法」に警鐘を鳴らす本

『旧統一協会被害者救済法案を解説する 寄付の不当勧誘防止法 その意味と問題点』2月7日発売

桜の花出版株式会社 (本社:東京都町田市)は『旧統一協会被害者救済新法を解説する 寄附の不当勧誘防止法 その意味と問題点』(櫻井圀郎/著)を2023年2月7日に発売いたしました。
本書は、法律の専門家(司法書士、行政書士ほか)であり、宗教法に精通する著者が、1月5日に施行された新法『法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律』をやさしく解説したものです。

被害者救済法としては穴だらけ、一方であらゆる法人が規制の対象に

「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律」は、いわゆる「統一協会問題」に端を発し、内閣が「被害者救済新法」という触れ込みで、12月10日に成立、2023年1月5日から施行されています。
旧統一協会へ多額の寄付をした「被害者」を救済するというのが、この法律の目的ですが、その内容は「被害防止という観点からも被害者救済という観点からも、余りに不十分なもの」という意見が聞かれます。
一方で、対象を「法人等」としたことで、すべての法人等がこの法律によって不当な寄附と指摘され返還を求められる可能性が出てきました。

寄附で運営している全ての団体、学校法人、政治家の支援団体などは正しい理解が必須

国や都道府県市町村も法人ですし、人格のない社団・財団も含まれるので、PTA、町内会、スポーツクラブ、ボーイスカウトなど、ありとあらゆる団体がこの法律の対象となります。
つまり、寄附を受けるあらゆる法人は、不当な寄付の勧誘をされたとして返還請求をされる可能性がありますし、面白半分の訴訟の増加なども危惧されます。
何が不当な寄附の勧誘に当たるのか、避けるべき行為や、言いがかりを避けるための備えなど、無用なトラブルを避けるために事前に準備しておくことが大切です。
そのためには、まずはこの『法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律』を正しく理解しておくことが必要です。

まえがき(一部)

 この法律は、統一協会による被害者を救済するための新法ということですが、必ずしも、現実の被害の実態に即したものではありませんし、現在の被害者の救済に資するものとも思われません。
 「オウム真理教」を対象にした「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」においては、「例えばサリンを使用するなどして、無差別大量殺人行為を行った団体」として「オウム真理教」を特定していますが、統一協会問題に対する「被害者救済新法」とされているこの法律では、統一協会を特定する用語はありません。
 それどころか、「宗教」「宗教活動」「宗教団体」「宗教法人」などの表記もなく、すべての法人や法人でない団体が対象とされています。
 その意味で、問題とされた統一協会にかかる寄附のみならず、宗教団体や宗教活動に関する寄附にも限られず、学校法人、社会福祉法人、医療法人、市町村、町内会などにかかる寄附にも適用される一般法とされています。
 したがって、宗教法人、学校法人、社会福祉法人、医療法人、株式会社、市町村などあらゆる法人や、信徒会、崇敬会、護持会などや、PTA、町内会、同好会、スポーツクラブなど、あらゆる団体の関係者は、この法律に関する知識が必要となります。
 もちろん、信者、崇敬者、会員、社員など、寄附の勧誘を受ける側にとっては、寄附の勧誘が不当であれば寄附を取り消し、寄附した金品を取り戻すことができる条項を含むものですから、重要な法律です。
 とはいえ、あまりにも拙速に制定された法律であり、国会における審議が十分に尽くされたとは言い難く、関係者の意見を聴取するなどの手続きも踏まれていないことから、不十分な点や不適切な規定も認められます。
 この法律の制定により、宗教団体や宗教活動に対する誤った理解が広がることが懸念され、宗教団体や宗教活動にとって不適切な適用もなされないか心配されます。
 特定の宗教団体の被害者の救済という点に傾注するあまり、宗教や宗教活動、宗教団体、宗教法人について、必ずしも正しい理解と対応が考察されているとも思えません。
 そのため、一刻も早く、この法律の全貌と問題点について、今後の考察を進めるための基礎を提供する必要を感じ、不十分を承知の上、緊急に、本書を上梓する次第です。
 関係各位の論議と対応を期待するものです。

この本で取り上げる主な内容

対象となる「法人等」とは誰か
宗教法人の特殊性
個人としての活動は対象外
対象となる「寄附」とは
法人等がなすべき「配慮義務」とは
扶養する家族のための特則
懸念される宗教活動への影響
宗教行為としての「献金」と「寄附」の違い
「霊感」すべてを不当な勧誘とし宗教を侮蔑する危険性
神道や寺院など、日本の伝統的小規模団体の危機
面白半分の訴訟乱立の恐れ

著者略歴

〇現職: 宗教法および宗教経営研究所・所長教授、宗教に特化した司法書士・行政書士、日本長老教会・神学教師、日本キリスト教連合会・常任委員法務顧問、東京都宗教連盟・参与、東京都神社庁・行政実務相談役、京都仏教会・顧問、ほか。
〇元職: 東京基督教大学・教授(法学、神学)、共立基督教研究所・所長、宗教法学会・理事、宗教法人審議会・委員、東京高等教育研究所・研究員、ほか。
〇学歴: 名古屋大学法学部、同大学院博士課程(民法専攻)、東京基督神学校、米国・フラー神学大学神学高等研究院(組織神学専攻)、高野山大学大学院(密教学専攻)、ほか。
〇関連の著作:
消費者保護 『広告の法的意味 広告の経済的効果と消費者保護』(勁草書房)
宗教法人 宗教法人法制の検証と展開」『21世紀民事法学の挑戦』(信山社)
宗教活動 『教会と宗教法人の法律』(キリスト新聞社)
献金等 「キャッシュレス化社会における宗教活動と宗教団体の責任」『キャッシュレス社会と宗教活動』(京都仏教会)
神学 『神と人間の神学』(「法と神学」のミニストリーズ)
宗教の制約  『中国の宗教法令』(宗教法および宗教経営研究所)


書籍情報

著者:櫻井圀郎(さくらいくにお)
価格:1,300円(税込1,430円)
ページ数:144ページ
ISBN-10:4434316974
ISBN-13:9784434316975
サイズ:四六判並製本 12.8 x 18.8 x 1.1㎝
発行:桜の花出版/発売:星雲社
URL:https://www.sakuranohana.jp/books/9784434316975/

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