プルーンの腸内環境を整える効果、イギリスで新たな研究結果を発表
このほどキングス・カレッジ・ロンドン(栄養と消化器の健康の分野における有名な中核的研究拠点)の研究者が新たに行ったイギリスの科学的研究(*1)で、既にEUが認める乾燥プルーンの栄養機能表示(腸機能を正常に維持するには1日100グラムのプルーン(乾燥)の摂取が効果的である)をさらに強調する有望な結果が得られました。
キングス・カレッジ・ロンドンのケヴィン・ウィーラン教授とロンドン大学クイーン・メアリー、アバディーン大学の同僚研究者らは、カリフォルニア プルーン協会によって資金提供された独自の調査を行い、2018年1月にオンライン雑誌「Clinical Nutrition」でその調査結果を発表しました。この最新の調査結果では、プルーンの摂取量が、以前の研究の中で理想とされた100グラム(約10個)ではなく、それよりも少ない80グラム(約8個)でも、効果があることを明白に示しました。摂取量が少なくても同じ効果が期待できるのであれば、当初の欧州食品安全機関(EFSA)の栄養機能表示で必要とされるプルーン100グラムの摂取に躊躇していた人たちには朗報かもしれません。
この調査は、食物繊維の摂取量と排便回数が少ない(週に3~6回)健康な成人を対象として行われましたが、対象者のうち、80グラム又は120グラムのプルーンと水を摂取した人については、毎日の食事に水だけを追加した人と比較して、排便量と排便回数に明らかな増加が認めらました。排便量が少なく、消化管通過時間が長いと、大腸がん、痔、便秘などの病気を引き起こす危険性が高まりますが、食物繊維の摂取量を増やすことがこれらのリスクを減らすのに理想的な方法であるとされています。
日本人成人の食物繊維の平均摂取量は、厚生労働省の平成28年「国民健康・栄養調査」によれば、1日あたり約15グラムで、同省が策定した目標量の18グラムを下回っています。しかし、プルーンを50グラム(5、6粒)食べれば、約3.6グラムの食物繊維を摂取でき、一日あたりの目標量に達することができます。また、イギリスでの研究結果のように、プルーンの1日あたりの摂取量が80グラムの場合には、現代の日本人の食事に不足している水溶性食物繊維を約2.7グラム摂ることが可能になり、「不溶性:水溶性=2:1」というバランスが良いとされる食物繊維の摂取から考えた場合に必要な6グラムの水溶性食物繊維の約半分を満たすことができます。
さらに、今回のイギリスの研究論文は、プルーンを多く含む食事を続ける成人がどのようにしてビフィズス菌(健康促進に役立つ菌で、プレバイオティクス(腸内の善玉菌の活動および増殖を促進する食品成分)はビフィズス菌を増やす効果がある)を増殖させるかを明らかにしています。
今回の調査結果について、カリフォルニア プルーン協会の欧州マーケティング・ディレクターのEsther Ritson-Elliottは、「信憑性に欠ける「消化管の健康」に関する新たな発見が日々報告されているが、この研究論文は、事実に基づき得られた確固たる結果によって、カリフォルニア産のプルーンを多く含む食事をとることが、腸内環境を改善し、腸機能を維持する点で明らかに目に見える効果をもたらすという長年にわたる考えを裏付けている。」と述べています。
研究やレシピなどの詳細情報については、以下をご参照ください。
カリフォルニア プルーン協会: http://www.prune.jp
*カリフォルニア プルーン協会とは
1952年に設立、カリフォルニア産プルーンの900の生産者及び26の加工業者を代表する機関で、カリフォルニア州農務省の管轄のもとに活動を行っています。現在カリフォルニア州は全米の約99%、世界全体の約40%のプルーンを生産。協会は22名の理事で構成されています。
対日活動は1987年に始まり、その活動内容は、プルーンに関する各種研究調査のほか、カリフォルニア産プルーン全般の需要拡大を目的とする宣伝・販売販促・PRを企画実施しています。
(*1) Lever E, Scott M, Louis P, Emery P, Whelan K(2018)「The effect of prunes on stool output, gut transit time and gastrointestinal microbiota: A randomised controlled trial」『Clinical Nutrition』
http://www.clinicalnutritionjournal.com/article/S0261-5614(18)30003-7/fulltext?rss=yes