抗酸化成分「アスタキサンチン」の新たな抗紫外線作用を確認  経口摂取により、紫外線を浴びた肌を乾燥から守る

富士フイルム株式会社(社長:助野 健児)は、優れた抗酸化力を有する成分「アスタキサンチン」をヒトが経口摂取することで、一定量の紫外線を照射した際に生じる肌の赤みが低減されること、また紫外線照射部位の皮膚の水分量の低下が抑制されることを確認しました。なお、当社は、6月6日から名古屋国際会議場(愛知県名古屋市)で開催される第118回日本皮膚科学会総会で、本研究内容を発表する予定です。

◆詳細はwebページをご覧ください。
https://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/articleffnr_1427.html?link=atp

研究背景

当社は過去に、アスタキサンチンをマウスに経口摂取させると、紫外線を長時間照射しても、(1)肌のシワ形成が抑制されること、(2)表皮からの水分蒸散が抑制されることを明らかにしました(*1)。この他にも、アスタキサンチンの経口摂取によって、アトピー性皮膚炎患者の症状が軽減されること(*2)などが報告されています。
今回当社は、紫外線の照射によって肌が赤く炎症することと、当該部位が乾燥した状態になることに着目し、一定期間継続して経口摂取した場合において、アスタキサンチンがヒトの肌にもたらす作用を検証しました。

試験内容

(1)健常な成人22名に対して、それぞれ6段階(31.8 mJ/cm2~63.9 mJ/cm2)(*3)の強さの紫外線を肌に照射。肌の防御力の指標の1つとして、どの段階の紫外線量で各被験者の肌が赤くなり始めるかを把握した。
(2)被験者を、食用オイルを主成分としてアスタキサンチン4mgを配合したカプセルを毎日摂取する「アスタキサンチン摂取群」と、食用オイルを主成分としたプラセボ(アスタキサンチンを配合していない偽薬)を毎日摂取する「プラセボ摂取群」の各11名2グループに分割。8週間後に、再度上記(1)と同じ強さの紫外線を各被験者に照射して、肌が赤くなり始める紫外線量を確認し、摂取前後での肌に影響を及ぼす紫外線量の変化を調べた。また、紫外線照射部位と非照射部位の水分量を測定した。

試験結果

(1)「アスタキサンチン摂取群」は、「プラセボ摂取群」に比べて、より強い紫外線を照射しないと肌に赤い炎症が生じないことを確認しました。(表1)
(2)「アスタキサンチン摂取群」は、「プラセボ摂取群」に比べて、紫外線照射部位における皮膚の水分量の低下が約6割抑制されることを確認しました。(図1)

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また、上記試験と並行して週に1回、紫外線を照射していない部位の肌に対して、肌荒れ、肌のキメに関する主観的アンケート調査(VAS=Visual analogue scale(*4))を実施。各グループの回答の平均値を算出したところ、「アスタキサンチン摂取群」は「プラセボ摂取群」に比べて、有意な結果が認められました(*5)。(図2)

画像2

本研究により、「経口摂取したアスタキサンチン」がヒトの肌において抗紫外線作用を発揮し、健康な肌を維持するのに有用であることが示されました。
富士フイルムは、今後もアスタキサンチンの美容・健康における効果効能やメカニズムについて研究を進め、化粧品やサプリメントの開発に応用していきます。

*1 富士フイルムが、2014年9月18日に発表。
*2 出典:佐藤朗「アトピー性皮膚炎に及ぼす内服アスタキサンチンの効果」J. Environ. Dermatol. Cutan. Allergol. 2009, 3(5), 429。
*3 気象庁の、日本における定点観測地である茨城県つくば市の観測データを基に決定。つくば市で、30~61分外出した際に浴びる紫外線量と同等。日本では、地域によって差はあるものの、日常的に同程度の紫外線を浴びていると考えられる。
*4 特定の感覚や感情の強度を評価する際に用いられる手法。
*5 富士フイルムが、2018年6月25日に人の栄養に関する国際誌「Nutrients」で発表。出典:Nutrients 2018, 10(7), 817。

アスタキサンチン

自然界に広く分布している天然由来の抗酸化成分で、サケやエビ、カニなどに多く含まれるカロテノイドの一種です。ヘマトコッカス藻あるいはオキアミを原料としたアスタキサンチンが、機能性食品などの原材料として使われています。トマトのリコピンや人参のβ‐カロテンなどのカロテノイドは、活性酸素を除去する抗酸化作用をもつ成分として知られていますが、アスタキサンチンは、これらのカロテノイドよりも強い抗酸化作用をもつ成分として、注目されています。

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