【PEOPLE】キム・ボラが語る 「はちどり」の世界【第3回】韓国・独立映画の可能性
Written by:大森美紀
韓国の独立映画支援政策である“小規模・短編映画製作支援事業”は1998年にスタートした。途中、予算が削減されたり“独立・芸術映画製作支援事業”と名称を変えたりしながらも現在まで続いているこの制度は、過去にヤン・イクチュンの「息もできない」(2008)など優れた独立映画を生み出すことに貢献しており、この「はちどり」も例外ではない。日本の映画人たちが羨むこのような充実した支援制度がある一方で、撮影現場の労働環境改善も進んでいるため人件費などの部分で製作費が膨らみ、かつてのように“超”低予算で映画を撮ることが難しくなったという状況がある。本作も韓国映画振興委員会(KOFIC)を始めとするさまざまな支援を受け、約3億ウォンの製作費をかけて撮られたが、それでも十分だったわけではない。キム・ボラ監督がプロデューサーとしての役割も兼ねているのは、予算の問題に因るところが大きかった。
「私が製作にまで関わったのは単純に製作費節約のためでした(笑)。誰かと一緒に作業するとなると、そこでギャラが発生してしまうので、私がノーギャラで自ら走り回って作らなければならない状況だったんです。製作費の都合上、私がプロデューサーの仕事までせざるを得ないという必然的な選択でした。やらなければならないからやっただけで、とても大変だったことは確かです」
韓国独立映画の現状について、もう少し詳しく聞いてみた。
キム・ボラ
1981年11月30日生まれ。東国大学映画映像学科を卒業後、コロンビア大学院で映画を学ぶ。2011年に監督した短編「リコーダーのテスト」が、アメリカ監督協会による最優秀学生作品賞をはじめ、各国の映画祭で映画賞を受賞し、注目を集める。同作品は、2012年の学生アカデミー賞の韓国版ファイナリストにも残った。本作「はちどり」は、「リコーダーのテスト」で9歳だった主人公ウニのその後の物語である。
A PEOPLE とは
アジアの、コンテンツ・ビジネスをクリエイトする
アジアカルチャーサイト『 A PEOPLE 』を軸にしながら「作家の作品性」にこだわった、アーティステッィクなアジア映画を配給。日中、日韓などアジアの交流につながる、コンサートやイベントも展開していく。
A PEOPLE CINEMA 配給作品