次世代食品革命を支える、アルファ・ラバルの分離技術
微生物由来タンパク質の量産に挑むCalysseoを技術支援
アルファ・ラバルは、次世代食品開発の最前線に立つCalysseo社の大規模タンパク質製造プロジェクトを、独自の遠心分離技術「PureFerm(TM) Bactofuge」により支援しています。本取り組みは、持続可能な食料供給と生物多様性の保全を同時に実現する新しいソリューションとして注目を集めています。
微生物タンパク質が切り拓く持続可能な食の未来
世界の人口増加と環境負荷の高まりを背景に、既存の動植物資源に頼らない「次世代食品」市場が急速に拡大しています。中でも注目されているのが、微生物由来のタンパク質。畜産や大豆栽培のような大規模な耕作地を必要とせず、温室効果ガス排出や水使用を抑えた持続可能なタンパク源として、世界中の研究機関や企業が開発を進めています。
こうした中、動物栄養の分野で世界的な実績を持つアディセオ(Adisseo)と、微生物技術の先駆者カリスタ(Calysta)が設立した合弁会社Calysseoは、環境負荷ゼロに近い形で高栄養価タンパク質を製造するプロセスを開発。植物性・動物性原料や耕作地を一切使わず、微生物発酵のみで生産できる画期的なソリューションを構築しました。
Calysseoは、世界の水産養殖市場の70%を占めるアジア市場に安定供給するため、中国・重慶近郊に大規模な生産施設を新設しました。この工場では、微生物にガスを供給し、発酵によってタンパク質を生産するという革新的なプロセスが採用されています。こうした高度なプロセスを産業規模で実現するには、高精度でかつ連続的な分離技術が不可欠であり、アルファ・ラバルの技術がその中核を担っています。
PureFerm(TM) Bactofuge が実現する「より少ない資源で、より多く」
Calysseoが抱えていた最大の課題は、パイロット段階からのスケールアップでした。従来の膜処理技術では処理能力が不足し、目的とする微生物バイオマスの効率的な分離が難しいとされていました。
そこで導入されたのが、アルファ・ラバルのPureFerm 750 Bactofuge(TM)。この装置は、下部給料式の密閉構造(Hermetic Design(TM))を採用し、微生物をやさしく加速しながら高効率で分離します。酸素の混入を抑え、製品品質と生産性の両立を可能にしました。しかも、従来技術と比べ最大40%の省エネルギー性能を実現しています。
アルファ・ラバルの技術チームは、2021年に英国での小規模実証を皮切りに、2022年には中国での本格導入を支援。2年にわたってお客様と連携しながら、装置の最適化・課題対応・最終調整を段階的に進め、2024年末には6基のPureFermユニットが稼働を開始しました。
連続処理・低負荷・高濃度化がもたらす新たな製造モデル
PureFerm(TM)は、連続的な固形物排出が可能なBactofugeテクノロジーを搭載し、従来のバッチ処理とは一線を画す性能を持ちます。従来のビール分離工程のようにスラッジを排出する必要がなく、バクテリアバイオマスを重相として常時排出できるため、連続運転による高効率生産が可能です。
さらに、Hermetic Design(TM)により、プロセス中の泡立ちや酸素混入を防止。洗浄頻度も低く、クリーンな環境下での安定運転が求められる次世代食品生産に最適な設計となっています。
この分離技術は、バイオマス発酵や精密発酵、細胞農業といった新領域にも適応可能で、将来的には水産・畜産飼料をはじめ、食品・医薬・化成品の領域にも展開が期待されています。
ドミトリー・スミルノフ氏(再生可能資源部門・グローバルセールス)は次のように語ります。「PureFerm 750の導入は、私たちが微生物由来タンパク質という分野で、世界をリードする技術力を持っている証明です。土地や動物に依存せずに高品質タンパク質を生産するこの技術は、今後の食料システムの鍵となるでしょう。」
会社概要
会社名:株式会社アルファ・ラバル
所在地:〒108-0075 東京都港区港南2丁目12-23 明産高浜ビル 10F
アルファ・ラバルについて
アルファ・ラバルは、伝熱、遠心分離、流体処理の世界的リーダーであり、エネルギー、海洋、食品と水の分野で活動しており、その専門知識、製品、サービスを世界約100か国の幅広い産業に提供しています。プロセスを最適化し、持続可能な成長を促進することで、顧客とともに地球の未来をつくる技術に貢献しています。