【楽市楽座は信長オリジナルではなかった?!】「本当は、そうだったのね」知的好奇心をくすぐる日本史の授業

2022-03-01 12:00
「本当は、そうだったのね」知的好奇心をくすぐる日本史の授業

面白い本ができました。(房野史典氏)
ここまでかみ砕いて日本史をわかりやすく解説した本はこれまでになかったはずです。(河合敦氏) 

著者のお二人がこのように話す『超現代語訳×最新歴史研究で学びなおす 面白すぎる!日本史の授業』http://www.asa21.com/book/b598312.html が2月24日(木)に発売されました!

近年の歴史研究の進展には、目覚ましいものがあります。

本書は、そんな変わりゆく日本史を、歴史好き芸人・房野史典氏が超現代語訳で面白く、そしてNHK歴史探偵でおなじみ河合敦氏が最新歴史研究からアカデミックに洗いなおした一冊。

今回は本書の信長のパートから、そのさわりをちょっとだけ抜粋してご紹介しましょう。

信長、今過渡期です

※以下、房野氏パート 本文より

これまでの信長のイメージを端的に申し上げるなら、「古い体制にツバを吐き、革新的なアイデアと戦術で天下統一に野心を燃やした、戦国時代の風雲児」といったところでしょうか。

伝統や慣習を歯牙にもかけず、たとえ相手が幕府や神社仏閣であろうと、合理性がなければぶっ潰す。

その論理は家臣の起用にも反映され、身分の低い者でも実力があれば重職に登用したが、仕事ができなければ勤続年数の長さにかかわらずクビを切った。

しかし、並み居る強敵をなぎ倒した圧倒的な力は実に魅力的で、「好きな歴史上の人物」といったアンケートでは必ずと言っていいほど上位にランクインする、鉄炮つかんだらマジでナンバーワン東海代表トップランカーだ、というのが僕らのイメージする織田信長だったんですが……。

織田信長のイメージ

近年の信長評は一変しております。革新的や破壊者といった原液が薄められ、これがカルピスならもはや白濁したただの水、と言うように、信長を信長たらしめた特色がことごとく〝なかった〟ものになってるんですね。

「信長を信長たらしめた特色」の中の「楽市令」について河合氏は次のように述べます。

楽市・楽座は信長オリジナルではなく、多くの大名がすでにやっていたこと?

※以下、河合氏パート 本文より

楽市令というのは、特権的な同業者(商人、職人)の組合(座)を認めず、市場税なども免除して誰もが自由に商売に参入できるように命じた法令です。
よく日本史の教科書では、安土山下町(安土城の城下町)に発布された楽市令が原文で紹介されています。

しかし研究者の柴裕之氏は、「長らく『革命児』信長のイメージのもと、信長による画期的な事業として位置づけられてきた。しかし『楽市楽座』は各地の戦国大名のもとでもおこなわれていたこと、また、その背景には、それぞれの地域の固有の地理的条件や歴史的状況があったことが明らかとなって」おり、「安土山下町の場合、織田権力の拠点と化したことで急ぎ開設された新興都市であったという地域事情から、この都市の振興のための措置が必要とされた」のだとし、座によって「市場流通が支障なく運営されるようであれば、座を保護する姿勢を示した」(『織田信長 戦国時代の「正義」を貫く』平凡社)と述べています。

つまり、教科書の記述にあるような、伝統的な既得権益集団である座を容赦なく解体し、各地の市場の税を撤廃して自由な商活動を認めたのが信長の功績だとする見方は、もう古くなりつつあるのです。


いかがでしたでしょうか?

今回は本書に収録されている、信長のお話のほんの一部を紹介させていただきましたが、本書にはその他にも秀吉、家康、龍馬などの超人気の歴史上の人物や、奈良の大仏造立や蒙古襲来、関ケ原の戦いなど、誰もが知る歴史上の出来事について、「実はそうだったね」というお話がたくさん詰め込まれています。

歴史に興味がなくても、子どもからお年寄りまで、笑い驚きながらスラスラと読めてしまう本書は、すべての人の知的好奇心をくすぐり、大人の学びなおしにもお勧めの一冊です。

著者プロフィール

河合 敦(かわい・あつし)

著者:河合 敦

1965年、東京都町田市に生まれる。
青山学院大学文学部史学科卒業。早稲田大学大学院博士課程単位取得満期退学(日本史専攻)。都立紅葉川高校、都立白鷗高校、文教大学付属高等学校などをへて現在、多摩大学客員教授。早稲田大学で非常勤講師もつとめる。著書多数。「歴史探偵」(NHK)、「世界一受けたい授業」(日本テレビ)、「日本史の新常識」(BSフジ)、「にっぽん! 歴史鑑定」(BS―TBS)、NHKラジオ「ごごカフェ」などテレビやラジオにも多数出演。「ぬけまいる」「大富豪同心」などNHK時代劇の時代考証も多く手がける。

[受賞歴]
第17回郷土史研究賞優秀賞(新人物往来社)/第6回NTTトーク大賞優秀賞/2018年雑学文庫大賞(啓文堂主催)

房野史典(ぼうの・ふみのり)

著者:房野 史典

1980年岡山県生まれ。名古屋学院大学卒業。
お笑いコンビ「ブロードキャスト!!」のツッコミ担当。無類の戦国好きで、歴史好き芸人ユニット「ロクモンジャー」を結成するなど、意欲的に歴史普及活動を行っている。子どもたちに歴史の面白さを教える授業(YouTube『STUDY FREAK』など)も好評で、歴史専門家からの信頼も厚い。著書多数。

書籍情報

表紙

タイトル:超現代語訳×最新歴史研究で学びなおす 面白すぎる! 日本史の授業
著者:河合敦 房野史典
ページ数:300ページ 
価格:1,650円(10%税込) 
発行日:2022年2月24日
ISBN:978-4-86667-366-0
http://www.asa21.com/book/b598312.html

amazon:https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4866673664/asapublcoltd-22/
楽天:https://books.rakuten.co.jp/rb/17008958/?l-id=search-c-item-text-01

目次

PART 1 飛鳥時代~室町時代
PART 2 戦国時代/安土桃山時代
PART 3 江戸時代/幕末

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