【調査レポート】若手~中堅正社員の離職予備軍は半数近くに迫る 約1/4は具体的な検討を始めるなど高い転職意向
“人手不足”時代の採用・HR戦略のヒントを探る 【若手~中堅正社員の仕事の満足度等に関する調査】の結果
企業のマーケティング戦略立案・実行支援などを行うLifeTimeTechLabo合同会社(本社:愛知県名古屋市、代表:宇佐見 洋治)では、“人手不足”が日本企業の最大の経営課題となりつつある中、より重要性を増す採用・HR戦略のヒントを探るため、若手~中堅世代(25歳~34歳)の正社員に対して、仕事の満足度などを聞くインターネット調査を実施いたしました。
調査結果サマリー
● 現在の仕事の満足度を(11段階で)聞く設問では、不満方向の合計割合が「24.8%」、どちらでもないが「28.8%」、満足方向の合計が「46.5%」。満足が不満を2倍近く上回る。
● 現在の仕事で満足している項目は、「ワークスタイル(勤務場所・時間、休日その他勤務条件など)(24.5%)」「福利厚生(23.3%)」「上司・部下とのコミュニケーション・人間関係(21.5%)」の順。
● 逆に、現在の仕事で不満に思っている項目は、「賃金(給料、賞与など)(38.0%)」が他を圧倒。「業務量(18.3%)」「現在の人事評価・査定(18.0%)」などが続く。
● 現在の就職にあたり重視した項目では、「賃金(30.5%)」「ワークスタイル(27.3%)」の他、「福利厚生(19.8%)」「企業(雇用)の安定性(18.5%)」などが高い。
● 現在の転職意向では、漠然と…含め「転職したいと考えている」「転職活動を始めている」との回答が「42.5%」と半数近くに。また、「24.3%」は具体的な検討を始めるなど高い転職意向を示す。
[現在の仕事の満足度層別レポート]
○ 現在の仕事の[満足層]は、満足している項目に「業務量」「企業(雇用)の安定性」「賃金(給料、賞与など)」などを挙げる。また、「賃金」の満足割合は、[不満層]~[満足層]の層分類に概ね比例。
○ [満足層]の不満に思っている項目は、「特にない」が最多。一方、[不満層]の過半数が「賃金」を挙げ、「現在の人事評価・査定」も1/3を超える。
○ 現在の転職意向では、漠然と…含め「転職したいと考えている」割合は、[不満層]が[満足層]を20ポイント強上回る。一方で、[満足層]は[やや満足層]より強い転職意向を示す。
調査結果詳細(抜粋)
今回の調査では、若手~中堅へと差しかかり、企業の次代を担う“大学卒業以上の25歳~34歳正社員” を対象に、これからの採用戦略、HR戦略のヒントを探るべく、仕事の満足度、満足している項目(不満に思っている項目)、就職にあたって重視した項目、企業の情報収集手段などを聞く質問を行いました。
本調査の最初の設問では、現在の仕事に対する満足度を「0(とても不満)~10(とても満足)」の11段階で評価してもらう質問を行いました。
設問の結果は、「不満方向」を示す「0~4」の回答合計が「24.8%」、「どちらでもない」の「5」が「28.8%」、「満足方向」を示す「6~10」の合計が「46.5%」となりました。
満足方向の合計が、不満方向を2倍近く上回り、概して現在の仕事に満足している人が多い結果となっています。
ただし、満足方向の回答では、どちらでもないに近い「6、7」の合計が「28.5%」と高く、同程度の「どちらでもない」も合わせると、この3つの回答で、6割近くを占めています。
この点、「満足している」層が多数というよりは、「不満ではない」といったニュアンスの【消極的肯定派】が多数派と言える現況でないかと思われます。
次の設問では、項目を例示する形で、現在の仕事(職場)に関し「満足している項目」を選択してもらう質問を行っています。
回答では、選択が多かった順に「ワークスタイル(勤務場所・時間、休日その他勤務条件など)(24.5%)」「福利厚生(23.3%)」「上司・部下とのコミュニケーション・人間関係(21.5%)」「賃金(給料、賞与など)(20.5%)」「業務量(20.5%)」となっており、この5つの項目が20%を超える割合となっていました。
一方、項目を一つだけ選択する「最も満足度の高い項目」では、「特にない(16.3%)」が最も高く、それ以外では、「福利厚生(12.0%)」「ワークスタイル(11.5%)」の順に高くなっていました。
続いて、同じ項目を例示し、現在の仕事(職場)に関し「不満に思っている項目」を聞く質問を行っています。
具体的な項目では、「賃金(給料、賞与など)」が「38.0%」と突出して高く、2位以下にダブルスコア以上の大差をつけています。
続いて「業務量(18.3%)」「現在の人事評価・査定(18.0%)」「福利厚生(16.0%)」「上司・部下とのコミュニケーション・人間関係(15.5%)」などとなっていました。
また、最も不満度の高い項目でも、「賃金(25.8%)」の割合が非常に高く、2番目も同じ「業務量(8.3%)」となっています。
上記2つの設問の結果は、例えば、最も満足度の高い項目で「特にない」が1位になる(→ 仕事の満足度評価における消極的肯定派の多さにつながる)など、満足度評価を、一定以上裏付ける結果になっているものと認識しています。
また、満足⇔不満両面で、「賃金」「ワークスタイル」など【基本的待遇や労働条件】に関わる項目、あるいは「上司・部下とのコミュニケーション・人間関係」など【人との関係性】に関する項目が高く出現し、これら特定の項目の満足度(あるいは不満度)が、仕事そのものの満足度評価を大きく左右しているものと捉えられます。
他方、「担当業務が成長・スキルアップにつながっているか?」「担当業務で充足感・達成感を得られているか?」など、いわゆる【個人のやりがい】や、「企業理念・ミッション、パーパス」など【会社組織の意義・目的】などに関わる項目は、どちらも割合が低く、仕事の満足度にあまり寄与していない可能性が考えられます。
最後に、不満方向への「賃金」の突出度に関しては、インフレ下で『実質賃金のマイナス』が続く、現在の日本の社会・経済情勢の影響を強く受けている可能性も推察されます。(→ ここ2年程度で、より不満割合が高まっている可能性)
このように「賃金」への強い不満が示される環境下で、さらに企業(あるいは業種)間の賃金格差が進むようであれば…賃上げ余力のない企業(業種)の存続は、想像以上に早く危機的な状況に向かうことも大いに考えられる結果となっていました。
次の設問からは、就職時に関する質問を行っています。
その1問目では、現在の企業(職場)に就職を決めるにあたり「重視した項目」を聞く質問を、項目を例示して行いました。
回答割合では、「賃金(給料、賞与など)(30.5%)」「ワークスタイル(勤務場所・時間、休日その他勤務条件など)(27.3%)」の2つが高く、次に「福利厚生(19.8%)」「企業(雇用)の安定性(18.5%)」、続いて「仕事内容が希望とマッチしているか?(15.8%)」「仕事内容に充足感・達成感を得られそうか?(13.3%)」「仕事内容が成長・スキルアップにつながりそうか?(13.0%)」などとなっています。
最も重視した項目でも、「賃金(15.5%)」「ワークスタイル(15.0%)」の次に「仕事内容が希望とマッチしているか?(8.8%)」が位置しています。(「あてはまるものはない(11.8%)」を除いた場合)。
仕事の満足(不満)項目の設問と「賃金」「ワークスタイル」など【基本的待遇や労働条件】が高く現れている点は共通です。
一方で、就職時の重視項目では、「仕事内容が希望とマッチしているか?」など、【個人のやりがい】関連が、比較的高く現れていることが特徴となっています。
これらの項目は、満足(不満)項目の評価という点では、他項目との比較考量の中で顕在化しにくい可能性もありますが...少なくとも、就職前時点と就職後の仕事に対する意識(優先度合い)の変化を垣間見れるものとして、興味深い結果となっています。
この点、過度にやりがいに重点を置く企業選択や、仕事のやりがいを訴えるリクルート活動は、結局両者にとって幸せならない可能性も十分にあるのではないでしょうか。
*** <中略> ***
今回の調査では、最後の設問として、現在の転職意向を聞く質問を行っています。
「転職を考えたことはない」が「29.0%」と最も多く、「転職したいと思うことがたまにある(28.5%)」が僅差で続いている一方で、「漠然と転職したいと考えている(まだ具体的な検討はしていない)」を含め転職意向を示す回答の合計割合が「42.5%」を占めています。
さらに、「機会をみて転職したいと考えている(具体的な検討を始めている)」など、具体的な行動に直結する高い転職意向を持つ割合が「24.3%」を占めていました
調査対象者の半数近くが転職意向を示し、さらに、約25%が高い転職意向を示すこの設問の結果は、現在の仕事への満足度(不満)次第で、次のキャリアパスにいつでも踏み出せる労働意識(労働環境)の変化を表しているとともに、企業にとっては、将来を担う人材の採用と定着に向けて、より細やかな戦略と対応が求められる状況を示唆しているものと考えられます。
[現在の仕事の満足度層別レポート]
本調査レポートでは、現在の仕事に対する満足度を「0(とても不満)~10(とても満足)」の11段階で評価してもらう設問の回答結果をもとに、回答者を次の4つに分類し、その層分類ごとに各設問の結果とクロス集計したレポーティングを行っています。
不満層 :「0~4」を選択
どちらでもない層:「5」を選択
やや満足層 :「6、7」を選択
満足層 :「8~10」を選択
最初は、現在の仕事(職場)に関し「満足している項目」を選択してもらう設問とクロス集計したデータです。
[満足層]の選択割合は、(「特にない」を除き)ほぼすべての項目で[不満層]を上回り、特に、「業務量」「企業(雇用)の安定性」「賃金(給料、賞与など)」「上司・部下とのコミュニケーション・人間関係」の各項目で、その差が20ポイント以上と大きくなっていました。
なお、「福利厚生」の項目のみ、[満足層]の割合が[不満層]を若干下回る結果となっています。
また、[満足層]と[やや満足層]の比較では、「業務量」「企業文化、組織風土」「担当業務が成長・スキルアップにつながっているか?」「企業の安定性」の項目で、[満足層]の割合が10ポイントを超えて上回る一方、「ワークスタイル(勤務場所・時間、休日その他勤務条件など)」では、[やや満足層]が10ポイント以上上回る結果となっていました。
次に、現在の仕事(職場)に関し「不満に思っている項目」を選択してもらう設問とクロス集計したデータを示します。
前問とは逆に、[不満層]の回答割合が、(「特にない」を除き)ほぼすべての項目で[満足層]を上回っています。
特に、「賃金(給料、賞与など)」で約40ポイント、「ワークスタイル(勤務場所・時間、休日その他勤務条件など)」「現在の人事評価・査定」で20ポイント強とその差が顕著です。
ちなみに、「企業(雇用)の安定性」の項目のみ、[不満層]と[満足層]の割合が逆転していました。
また、[満足層]と[やや満足層]の比較では、「賃金」の項目に15ポイント近くの大きな差が現れています。
これらのデータからは、[満足層][やや満足層]の満足要因、あるいは[不満層]の不満要因が、(一つではなく…)複合的な要因により形成されている様子が確認できます。
その中でも「賃金」は、仕事の満足度レベルに対して、比例傾向が明確であり、仕事の満足度評価の最も基礎的条件になっているものと捉えられます。
その他、「業務量」「企業の安定性」などは、満足度レベルが高いほど顕著に出現し、満足度評価を引き上げる要因と認識できる結果になっていました。
一方で、「福利厚生」は満足度レベルに関わらず概ね同一の水準を示しており、直接的に仕事の満足度に影響する要因ではないものと推察されます。(ただし、一定程度の制度充実が前提になっている可能性も)
また、[満足層]と[やや満足層]で差が大きい「企業文化、組織風土」「担当業務が成長・スキルアップにつながっているか?」などは、仕事に満足していることを前提に、満足度をさらに高めるために機能している可能性が示唆されています。
この点、基本レポートでは分かりづらかった【個人のやりがい】や【会社組織の意義・目的】などの果たす役割が、少し明確になったと言えるかもしれません。
*** <以下略> ***
なお、調査レポートの全文は、当社Webサイトをご参照ください。
▼ 若手~中堅正社員の仕事の満足度等に関する調査
https://lttl.jp/report/105/
▼ 若手~中堅正社員の仕事の満足度等に関する調査[仕事の満足度層別レポート]
https://lttl.jp/report/106/
また、今回の調査レポートでは、ご希望の法人の方向けに「回答者属性/性年代別クロス集計」の追加データを用意しております。
次のページにアクセスし、必要事項をご入力の上、データをダウンロードしてご利用ください。
▼ 若手~中堅正社員の仕事の満足度等に関する調査[追加データ]ダウンロード
https://lttl.jp/contact/white_paper_dl.html
調査概要
「若手~中堅正社員の仕事の満足度等に関する調査」
調査方法 :インターネット調査
調査期間 :2024年1月22日-25日
調査対象者:全国25歳-34歳
[本調査]現在、企業に勤務/正社員/大学卒業以上
(アイブリッジ(株)「Freeasy提携パネル」利用)
有効回答数:[本調査]400サンプル
(性年代別に均等割付)
設問数 :[本調査]7問
会社概要
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