GABA(ギャバ)※1の認知機能における有効性を確認 株式会社ファーマフーズと共同で臨床試験を実施
三菱商事ライフサイエンス株式会社(本社：東京都千代田区、代表取締役社長：藤木 洋)は、株式会社ファーマフーズ(本社：京都市西京区、代表取締役社長：金 武祚)と共同で、GABA(ギャバ、γ-アミノ酪酸)※1のヒト認知機能に関する有効性の臨床試験を2019年5月15日～10月4日の期間で実施いたしました。
認知機能の衰えを感じる40歳以上の健常者120名を対象として臨床試験を実施した結果、GABAを摂取した群の被験者は、GABAを摂取しなかった群(プラセボ群)に対して有意※2に認知機能の維持・改善が見られました。本研究成果は論文として2020年3月発行の「薬理と治療」誌に掲載されております。この論文掲載を機に、国内外の食品・サプリメントメーカーにおけるGABAの採用を目指してまいります。また、GABAの認知機能維持・改善効果に関しては、現在特許を出願しております。
2019年4月に、MCフードスペシャリティーズ株式会社、三菱商事フードテック株式会社、興人ライフサイエンス株式会社の3社統合により設立された三菱商事ライフサイエンス株式会社は、新たにニュートリション事業部を設立し、健康事業への取り組みを進めております。健康機能を備えた自社素材の開発のほか、他社との共同研究を積極的に行い、健康分野における国内外でのビジネス拡大を目指すことで、 世界の人々の健康に貢献してまいります。
三菱商事ライフサイエンス株式会社について
三菱商事ライフサイエンス株式会社は、様々な企業の食品素材事業に源流を持ち、それぞれの歴史と技術を結集して、食と健康分野における新たな価値の創造に取り組んでいます。また、三菱商事株式会社食品産業グループの一員として、三菱商事グループ各社と連携し、技術に根差した、一歩先をゆくおいしさの提供を通じ、お客様と共に、楽しく健やかな食文化の創造に邁進しています。
研究方法と結果
認知機能の衰えを感じる40歳以上の健常者120名を対象として臨床試験を実施しました。被験者は3か月間、GABA(ギャバ、γ-アミノ酪酸)※1を毎日100mgまたは200mg摂取しました。認知機能の測定には、CognitraxおよびRBANSと呼ばれる認知機能検査テストを用いました。その結果、GABAを摂取した群の被験者は、GABAを摂取しなかった群(プラセボ群)に対して有意※2に認知機能が維持・改善されました。特に、「記憶力※3」および「空間認知力※4」は100mgの摂取で維持・改善が見られました(下図)。また、200mgのGABAを摂取すると「記憶力」、「空間認知力」に加えて、「論理的思考力※5」、「作業記憶力※6」、「持続的注意力※7」も維持・改善されました。さらに、認知機能とともに「活力」や「心の健康」が改善されることも明らかとなりました。なお、本研究成果は2報の論文として2020年3月発行の「薬理と治療」誌に掲載されております。
※1 野菜や果物、穀物などに含まれるアミノ酸(γ-アミノ酪酸)。これまでにストレス緩和、睡眠の質の改善などの機能性が報告されている。
※2 確率的に偶然とは考えにくく、意味があると考えられること。
※3 見たり聞いたりしたことを思い出す力。
※4 物の位置、形、向きなどを把握する力。
※5 筋道を立てて物事を考え、答えを導き出す力。
※6 作業に必要な情報を整理し、短期的に記憶する力。ワーキングメモリー。
※7 注意を持続させて、一つの行動を続ける力。
発表論文
Yamatsu A., Nakamura U., Saddam HM., Horie N., Kaneko T., Kim M. Intake of 200 mg/day of γ-Aminobutyric Acid (GABA) Improves a Wide Range of Cognitive Functions - A Randomized, Double-blind, Placebo-controlled Parallel-group Clinical Trial- 薬理と治療 48, 3, 461-474 (2020)
http://www.pieronline.jp/content/article/0386-3603/48030/461
Yamatsu A., Nakamura U., Saddam HM., Horie N., Kaneko T., Kim M. Improvement of Memory and Spatial Cognitive Function by Continuous Ingestion of 100 mg/day of γ-Aminobutyric Acid (GABA) - A Randomized, Double-blind, Placebo-controlled Parallel-group Clinical Trial- 薬理と治療, 48, 3, 475-486 (2020)
http://www.pieronline.jp/content/article/0386-3603/48030/475
