美容外科医が教えるバストアップ医療の最前線

「バストを大きくしたいけれど手術を受けるのは不安…」、そんな方におすすめしたいのが、現在、主流になりつつあるメスを入れない豊胸術です。

「切らない施術」は体への負担が少なくダウンタイムが短いため、手術を必要とする豊胸術よりリスクが比較的少ない方法といえます。これまで切らない豊胸術としてはヒアルロン酸注入法が主流でしたが、 最近では自分のバストの組織を大きくしてバストアップを図る「成長再生豊胸」という新しい方法も登場しています。

ここでは豊胸術の最前線ともいえるメスを入れない豊胸術について詳しく説明していきます。

手術で死亡事故も!豊胸術の落とし穴

残念ながら、数年に1度程度の頻度で「豊胸術で死亡事故」というニュースを目にすることがあります。こうした記事を見て豊胸術を受けることをためらっている方も多いのではないでしょうか。

死亡事故については、原因がはっきりしないケースもあります。しかし、実際には手術中に血圧・脈拍低下となり別の病院に搬送されて亡くなるというように麻酔(特に全身麻酔)が関連していると思われる例が多いようです。全身麻酔はシリコンバッグ挿入法だけではなく、脂肪注入のために行う脂肪吸引手術でも使用します。

実は脂肪吸引を単独で行う手術でも死亡事故が何件か起きています。国内では麻酔に関連した事故のほか、脂肪吸引するときに使う「カニューレ」と呼ばれる吸引管で内蔵を傷つけたことによって数日後に亡くなるというたいへん痛ましい事故もありました。

胸を大きくすることが危険というより、

・全身麻酔を使用した手術で、医師が手術中に患者さんの体調の変化を見落とした

・技量が未熟な医師が漫然と危険な操作を繰り返している

この2点が要因となって死亡事故が起きているという印象です。

全身麻酔が必要な手術には本来、執刀する医師とは別に患者さんの脈拍や血圧、体温などの維持・管理のみを行う「麻酔医」という専門の医師が加わるべきですが、美容外科では麻酔医が在籍していないところも多いのです。

全身麻酔を使用する手術では、手術前に血液検査を行い患者さんの健康状態を入念にチェックします。それでも、国内外を問わず豊胸術の最中に意識を失って、数日後に亡くなるというケースが数年に一度のペースで起きているのです。

また死亡事故ではありませんが、シリコンバッグ挿入法で手術後、感染症を起こすケースも報告されています。この例では、シリコンバッグを挿入する手術の後、傷口が開いたためいったんシリコンバッグを摘出し、その日に挿入しなおしました。その後、感染症を起こし患者さんが不調を訴えたため、再度シリコンバッグを摘出することになってしまいました。

シリコンバッグ挿入法は医師の技量はもちろん、的確かつ迅速に徹底した衛生管理のもとで手術を行うことが求められる方法です。

美容外科の治療は健康な体にあえてメスを入れて、より美しくするというのが目的です。そのため、どんな治療でもリスクが伴います。特に手術が必要な豊胸術は危険と隣り合わせでもあるということを理解し、術法や治療を受けるクリニック選びにはくれぐれも慎重になっていただきたいと思います。

手術をしない豊胸術の代表例と特徴

最もポピュラーな方法といえばヒアルロン酸注入法でしょう。ヒアルロン酸はもともと体内にある成分なので安全性が高く結果が気に入らない場合、分解酵素を注入することで改善できます。効果の持続期間は2~3年と短め。大幅なバストアップはできません。

アクアフィリング注入法は生理食塩水とポリアミドでできた注入剤です。ほとんどが水分なので体へのなじみが良く、しこりになりにくいということで注目を集めました。また、生理食塩水を加えることで分解できるので、満足のいく結果にならなかった場合、体外に排出させることができるといわれています。

成長再生豊胸は成長因子と成長因子がうまく働くためのホルモンを注射する方法です。思春期にバストが大きくなるのと似た経過をたどる自然な豊胸術として注目を集めています。成長再生豊胸については次の項でさらに詳しく説明します。

豊胸術で使用する素材の条件

ここで術法だけではなくバストに入れる、あるいは挿入する素材について考えてみましょう。 豊胸術で使用する素材は以下のいずれかの条件に当てはまる必要があります。

①完全に吸収または排出される成分であること

②吸収されない場合、必要に応じて完全に除去する手段があること

ヒアルロン酸は①に当てはまります。人によって完全に吸収されて効果がまったくなくなってしまう場合や、注入位置や量を誤るとしこりができる場合もあります。

シリコンバッグ挿入法はもともと袋状になっているため、万が一の時にはシリコンバッグごと摘出すればいいということになります。②の例ですね。ただし、手術が必要な豊胸術なので、ここでは詳しい説明を省きます。

では、アクアフィリングはどうでしょうか。この製剤は98%が水分なので安心という意見もあるのですが、残りの2%を占めるポリアミドは非吸収性の物質です。そのせいか実際にはしこりができるといったトラブルが多く報告されています。また、できてしまったしこりを取り出すことも難しく、 痛みや違和感をこらえながら過ごしている方もいらっしゃるようです。

アクアフィリングに関しては否定的な意見も多く、実施していないクリニックも多いです。当院でもアクアフィリング注入法は行っていません。韓国などで治療を受ける方も見受けられますが、たとえ切らない治療であっても言葉が通じないことやアフターケアが受けられないことを考えると海外で施術を受けることはおすすめできません。

このように、安全だと思われている切らない豊胸術の代表格であるヒアルロン酸注入法もアクアフィリング注入法も、しこりができるリスクを完全に否定することはできない。それが実状です。

もう手術は要らない!?  成長再生豊胸のすすめ

メスを入れない豊胸術のなかで、安全性を重視した方法として注目を集めているのが、成長再生豊胸です。さまざまな種類の成長因子と、成長因子がうまく働くためのホルモンを注射して自然なバストアップを目指します。

成長再生豊胸で注入する成分

乳腺や皮下脂肪の成長を促す成長因子などをバストの成長に適した配合に調整し、注射でバストの皮下脂肪のある層に注入します。その後、成長因子の働きを促すホルモンを注射することで、思春期にバストが大きくなるときのような、自然な豊胸効果が得られます。

成長再生豊胸のメリット

成長再生豊胸では脂肪組織そのものが増える効果があります。また、成長再生豊胸Fの場合には、注入した成分が脂肪組織に置き換わるため、レントゲンやエコー、マンモグラフィーなどどんな検査を受けても痕跡を見つけることは不可能です。当然、豊胸したことがバレる心配も無用。体内に異物を入れる必要がないというのは大きな安心感につながるのではないでしょうか。

もうひとつ、注入後にしこりができないという点も大きなメリットのひとつでしょう。 ほかの切らない豊胸術では注入量や位置によってしこりができることがあり、これが乳がん検査の際に乳がんと見間違われる可能性があるのです。しかし、成長再生豊胸ではしこりそのものが形成されないため乳がん検査への影響はありません。

成長再生豊胸のリスク

当院で行っている、成長再生豊胸Wでは、バストが自然に成長するまで3カ月程度の時間がかかります。そのため治療後、すぐにバストアップさせることはできません。とはいえ、いきなりバストが大きくなるのは不自然だから嫌という患者さんもいらっしゃるので、人によってはこれがメリットとなることもあるでしょう。

なお、即効性を重視した成長再生豊胸Fもあります。こちらは処置直後からバストアップ効果が見られ、3カ月程度で豊胸がほぼ完成するイメージです。

成長再生豊胸には処置方法や効果が出るまでの期間によって、いくつかの種類がありますが、いずれも皮膚を切開しないため手術は必要ありません。また、思春期にバストが成長するのと同じようなプロセスをたどってバストが大きくなるため不自然さがなく、しこりができないというのも共通点です。

「豊胸を考えているけれどメスを入れたくないし、さまざまな不安がある」という方にとって、

・手術の必要がない

・異物を入れないですむ

・自然にバストが大きくなる

・しこりをはじめとする豊胸術後のトラブルが少ない

これらの条件をすべて満たす成長再生豊胸はベストな方法といえるのではないでしょうか。

まとめ

メスを入れない豊胸術はいくつか種類がありますが、どれも同じように安全、簡単というわけではありません。ヒアルロン酸やアクアフィリングのような異物を注入する豊胸術はしこりができる可能性がゼロではないので、安易に受けるべきではないでしょう。

成長再生豊胸は切らない豊胸術の問題点をクリアした画期的な治療方法です。 治療を行っているクリニックはそれほど多くありませんが、これから豊胸を考えている方は成長再生豊胸を検討してみてはいかがでしょうか。

南クリニック院長:南晴洋
南クリニック院長:南晴洋

南クリニック院長:南晴洋

京都第二赤十字病院形成外科勤務、大手美容外科院長を経て1997年 南クリニック開業。創業以来、豊胸に力を入れている。注射で豊胸を行う「成長再生豊胸」を海外の学会でも発表。


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