地域を元気にする観光へのヒントとは  ―サステナブルツーリズム・オーバーツーリズムへの生活者意識―

一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会(略称:APSP、所在地:東京都中央区、会長:江口 泰広)は、株式会社SoooooS.カンパニー(所在地:東京都中央区、代表取締役:木村 有香)と合同で、2012年から継続しており今回で13回目となる「生活者の社会的意識や行動を探るためのアンケート調査」の結果を公開しました。本年度は新たに観光分野でのソーシャルプロダクツについて、生活者の意識を確認しました。

調査結果のポイント

(1) 旅行するならサステナブルツーリズムを意識したい生活者は約4割、オーバーツーリズムを避けたい生活者は約5割
(2) その地域ならではの取り組みや環境配慮が、観光地への訪問意欲を喚起
(3) 資源の循環や人や地球にやさしい商品の提供が、観光サービスの満足度に寄与
(4) その地域と共生する取り組みが、観光地への愛着を深める

ソーシャルプロダクツとは

社会的課題の解決につながる商品・サービスを指します。フェアトレードやオーガニック、エコ(環境配慮)、復興支援といった、人や地球、地域社会に配慮があり、SDGs(持続可能な開発目標)の達成につながる商品・サービスの総称です。
※ソーシャルプロダクツの定義: http://www.apsp.or.jp/socialproducts/

調査結果

(1) 旅行するならサステナブルツーリズムを意識したい生活者は約4割 、オーバーツーリズムを避けたい生活者は約5割

まずは近年注目されている「サステナブルツーリズム」※と「オーバーツーリズム」※について、その認知率や実践意欲を質問しました。
サステナブルツーリズムについて知っているかどうか質問したところ、当てはまる人が5.5%、やや当てはまる人が19.7%、あまり当てはまらない人が28.8%、当てはまらない人は46.0%という結果が得られました。また、オーバーツーリズムについて知っているかどうか質問したところ、当てはまる人は10.3%、やや当てはまる人は21.8%、あまり当てはまらない人は26.0%、当てはまらない人は41.8%という結果が得られました。「サステナブルツーリズム」「オーバーツーリズム」を全く知らない(当てはまらない)人は、いずれも4割程度存在し、これら2つの概念について浸透の余地がうかがえます。

さらに実践意欲として、旅行するならサステナブルツーリズムを意識したいかについて質問したところ、当てはまる人が9.7%、やや当てはまる人が30.2%、あまり当てはまらない人が26.3%、当てはまらない人が33.8%という結果が得られました。また、旅行するならオーバーツーリズムを回避したいか質問したところ、当てはまる人は23.2%、やや当てはまる人が28.3%、あまり当てはまらない人が17.5%、当てはまらない人が31.0%という結果が得られました。これら2つの概念の実践意欲(旅行するなら「サステナブルツーリズムを意識したいか」「オーバーツーリズムを回避したいか」)を持ち合わせない(当てはまらない)人は、いずれも3割程度しか存在しないことが分かります。

上記の結果から、2つの概念「サステナブルツーリズム」「オーバーツーリズム」はともに、認知率よりも実践意欲の方が高い傾向が見られます。「サステナブルツーリズム」「オーバーツーリズム」の概念は認知していないけれども、そのような考え方を実践してみたい生活者は一定数いると考えられ、この2つの概念が今後さらに普及していくことで、生活者の旅行スタイルが大きく変化していく可能性があります。

図1:サステナブルツーリズムとオーバーツーリズムの認知率と実践意欲

※サステナブルツーリズム:観光地の現在および将来の経済、住民、自然環境などに配慮しつつ、観光客のニーズに対応する観光のこと
※オーバーツーリズム:観光客の過度な増加が、観光地の自然環境や住民の生活などに悪影響を及ぼし、観光客の満足度も低下させてしまうこと

そこで本調査では、サステナブルツーリズムの実践やオーバーツーリズムの回避につながる観光サービスにおける「人や地球にやさしい取り組み」の具体例を挙げ、それらが観光地への訪問意欲や愛着、満足度につながるかを質問しました。

(2)その地域ならではの取り組みと環境配慮が、観光地への訪問意欲を喚起

まずは、観光サービス(宿泊、飲食など)における「人や地球にやさしい取り組み」が、その観光地への訪問意欲につながるかを質問しました。
訪問意欲が高まる取り組みの上位には、「地産地消」38.3%、「観光地の伝統文化や伝統工芸の活用」32.7%、「環境に配慮したアメニティの提供や使い捨てプラスチック製品の削減」31.2%があがっており、その地域ならではの産品や文化の体験、環境への取り組みが目立ちます。

図2:観光地への訪問意欲が高まる「人や地球にやさしい取り組み」

(3)資源の循環や人や地球にやさしい商品の提供が、観光サービスの満足度に寄与

さらに、観光サービス(宿泊、飲食など)における「人や地球にやさしい取り組み」が、その満足度につながるかを質問しました。
満足度向上につながると思う「人や地球にやさしい取り組み」としては、訪問意欲の回答結果と同様に「地産地消」40.2%が一番多い結果となっています。次は「食品ロスなど廃棄物の削減」39.7%が続き、限りある資源を持続可能な形で循環させる取り組みが目立ちます。また「環境に配慮したアメニティの提供や使い捨てプラスチック製品の削減」38.3%、「オーガニックやフェアトレードの食材やコスメなどの提供」32.8%といった、観光サービスで提供される人や地球にやさしい商品(ソーシャルプロダクツ)も上位に見られます。

図3:観光サービスの満足度向上につながる「人や地球にやさしい取り組み」

(4)その地域と共生する取り組みが、観光地への愛着につながる

最後に、観光サービス(宿泊、飲食など)における「人や地球にやさしい取り組み」が、その観光地への愛着につながるかを質問しました。
その観光地への愛着につながると思う「人や地球にやさしい取り組み」では、訪問意欲や満足度向上の質問と同様、「地産地消」33.3%、「観光地の伝統文化や伝統工芸の活用」26.7%、「環境に配慮したアメニティの提供や使い捨てプラスチック製品の削減」22%が上位に見られる一方で、「観光地周辺の自然保護」25.7%や「観光地周辺の地元住民や事業者(老舗、職人など)との交流」21.8%といった、その地域自体に関連する観光サービス外の取り組みも目立つ結果となりました。観光地と共生した上で、その地域ならではの産品や文化の体験などが展開されると、訪問意欲や満足度のみならず、愛着にもつながる可能性があるようです。

図4: 観光地への愛着につながる「人や地球にやさしい取り組み」

コロナ禍の落ち着きや円安によるインバンド需要の高まりなどを背景に、観光業に対する期待が高まっています。そこで第13回の調査では観光サービスに着目し、地域を元気にする観光ソーシャルプロダクツの在り方を模索しました。
その結果、人や地球にやさしい観光サービスはもちろん、観光サービスを通したソーシャルプロダクツの提供や、観光サービス外でその地域と共生する取り組みなどが、地域を元気にする観光ソーシャルプロダクツの在り方として示唆されました。
ソーシャルプロダクツ普及推進協会では、人や環境、社会への特別な配慮を持つ優れたソーシャルプロダクツを表彰する「ソーシャルプロダクツ・アワード(SPA)」※を毎年開催しています。第11回目となるSPA2024※では、「地域を元気にする観光ソーシャルプロダクツ」を年度テーマとしており、その受賞結果を3月26日(火)に発表します。
今回の調査で示唆された観光ソーシャルプロダクツの在り方を体現する魅力的な観光サービスが集っていますので、受賞結果の発表に乞うご期待ください。

※ソーシャルプロダクツ・アワード HP: https://www.apsp.or.jp/socialproductsaward/
※ソーシャルプロダクツ・アワード2024 プレスリリース: https://www.atpress.ne.jp/news/360630

本調査の概要

調査名 :第13回「生活者の社会的意識・行動」に関する調査
調査対象:全国の10~60代の男女50人ずつ(計600人)
調査期間:2023年9月4日~9月6日
調査方法:インターネット調査
調査会社:株式会社クロス・マーケティング

過去の「生活者の社会的意識・行動に関する調査」結果

ソーシャルプロダクツ普及推進協会(APSP)とは

ソーシャルプロダクツの普及・推進を通じて、生活者や企業などと共に、持続可能な社会の実現を目指す非営利の組織。

協会概要

名称 : 一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会(APSP)
設立 : 2012年7月
所在地: 東京都中央区銀座5-12-5 白鶴ビル3F
会長 : 江口 泰広(学習院女子大学名誉教授)
URL  : http://www.apsp.or.jp

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