モンゴル調査史上最大の大型竜脚類骨格/世界最大級の鳥脚類の足跡を発見/理大とモンゴル共同調査隊2018年夏季調査

2018-10-12 15:00

岡山理科大学(岡山市北区理大町)は2018年10月10日、今夏にモンゴル科学アカデミー古生物学地質学研究所とゴビ砂漠で実施した恐竜化石の発掘調査結果を発表しました。モンゴルでは過去最大となる大型竜脚類の関節した下半身の骨格が見つかったほか、幅115cmという世界最大級の鳥脚類(植物食恐竜)の足跡化石などを発掘。今後、地質調査や物理化学分析の結果と合わせて、白亜紀後期(約7000万年前)の中央アジア地域の生態系の詳細な復元を目指します。
共同調査は2015年度からスタート。今夏の調査はゴビ砂漠西部のブギンツァフ地域(7月24日~9月2日)及び中西部のヤガーンホービル・ツグリキンシレ地域(9月12日~9月28日)を中心に実施。理大の教員7人・学生7人が参加し、モンゴル側の研究者とともに発掘・調査を進めました。

大型竜脚類骨格化石
大型竜脚類の部分骨格化石は、骨盤と左右の後ろ脚、胴椎から尾椎の一部の骨化石で、大腿骨の長さは約155cmもありました。全身の3~4割にあたり、骨がつながっているなど保存状態は良好。大型の竜脚類骨格は一般的にバラバラで見つかることが多く、このように関節してまとまって見つかるのは珍しいことです。
また北半球の白亜紀の最末期の地層から大型の竜脚類が発見されるのは珍しく、今回は当時の東アジアにそのような竜脚類がいたことの骨化石からの証拠になります。2016年、2017年に今回の現場から東へ約620km離れたシャルツァフの調査で見つかった世界最大級の竜脚類足跡化石は、白亜紀後期のモンゴルに超巨大竜脚類恐竜がいたことを示すものでした。今回見つかった骨格はそうした超大型恐竜よりは小さいものの、全長20m級で、今までにモンゴルで見つかった骨化石の中では最大です。

超大型鳥脚類足跡化石
世界最大級の鳥脚類(植物食)足跡化石は、足跡一個の幅が約85cmのものから最大約115cmにいたるものまで、合わせて10数個発見されました。足跡は後足の跡のみで、前足の跡はありませんでした。このため、足跡をつけた動物は2足歩行であったと考えられます。
この大型鳥脚類は、付近の地層から産出する「サウロロフス」と推定され、全長は15~18m程度と推定されます。これはティラノサウルス(全長約12m)よりもはるかに大きく、そのような巨大な2足歩行恐竜が白亜紀最末期のモンゴルにいたことを証拠づけるものです。付近からはこのほかにも大小さまざまな恐竜足跡化石が多く発見されており、調査を進めることで、恐竜の生態がより詳しく明らかになってくるとみられます。

<共同調査隊日本側代表の石垣忍・生物地球学部教授の話>
今年は長期の調査を行った結果、大変多くの貴重な化石を発見採集できました。骨化石については、岩石の中から取り出すという長い時間と手間がかかる作業が待っていますが、その進行と共に様々な興味深い結果が出てくると期待しています。足跡化石は、去年は30m級の竜脚類、今年は18m級の鳥脚類と超巨大な恐竜の存在を証明する発見がありました。今度はその骨格を発見することに夢が広がります。地質調査や物理化学分析でも手応えが出てきました。共同調査も4年目。理大が得意とする理学工学などの研究分野ともコラボしながら、モンゴルとオール理大のチームワークで「おもしろい恐竜学」の成果を発信していきたいと思っています。また、そのような研究が現在進行形で見られる恐竜学博物館にも是非足を運んでいただければと思います。

【岡山理科大学について】
http://www.ous.ac.jp/
1964年、西日本初の理学部単科大学として応用数学科、化学科の2学科で開学。 2018年には愛媛県今治市に第2キャンパスを設け、西日本の私学で初の獣医学部を開設。7学部21学科1コースとなりました。「好奇心全開、探究心無限大」をキャッチフレーズに多彩な研究に取り組んでいます。

【本リリースに関するお問い合わせ先】
岡山理科大学 入試広報部
TEL:086-256-8412(内線1226)

記者の取材を受ける石垣教授
報告会で報道陣を前に共同調査結果を発表する石垣・生物地球学部教授(左)と千葉謙太郎・同講師
モンゴルの地図
夕暮れ時のブギンツァフのベースキャンプ
足跡をつけて歩く大型鳥脚類の復元図(絵:石垣忍・悠)
大型鳥脚類の足跡化石
竜脚類の復元図(絵:ビャンバーツォクト)
竜脚類の大腿骨
竜脚類の骨格化石の発掘状況
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