「ビル再生100の物語」不動産の価格の決まり方の変遷

ビル再生100の物語 第90話

テナワンでは、これまで多くのビルの空室対策や賃貸運営を行ってきました。

それぞれの問題を解決してきたビル再生の事例を「100の物語」としてこれから公開していきます。

不動産の価格の決まり方の変遷

一般的に不動産の値段は立地とスペック、グレード、広さで決まりますよね。
もっと言うと、長い間それで決まってきました。

この決まり方だと、古いものには基本価値がない(ハズ)です。

でも今起きている現象は、そんなことをまるで無視してボロなビルでも高い価値を持つようになってきています。中には一旦落ちまくった価格がV字回復している例すら。

場のチカラ

これ、キーワードは「場のチカラ」なんですが、それだけ言っても意味不明だと思うので、この現象を理解するためにちょっと不動産の値段の決まり方の変遷を振り返ってみましょう。

繰り返しになりますが、長いこと不動産の値段は立地とスペック、グレード、広さで決まっていました。

立地はどういう場所にあるか?駅に近いのか、人通りが多いのか、道路に面しているのかなど。スペックは建物が新しいか、設備が快適かなど。グレードは内装が豪華とか。広さは通常一坪当たりの単価、坪単価でやりとりされます。

いわゆる「相場の値段」というのは、分解すればそういう意味なワケです。今でも相場価格でやり取りされる不動産は多くあります。

これらは全部ハードに関することなので、基本的に変えようがありません。これまで不動産の価値はこの変えようのない要因でほぼ勝手に決まっていました。
なので、このリクツでは古くなった建物は建替えないと価値が上がらないとされます。

ここに、ある時(ファンドバブルのころ)収益還元価値という概念が出てきます。

「賃料÷利回り=不動産の価値」(ざっくり言ってます)

賃料が年1千万で、期待利回りが10%なら1億円じゃん、と。
(余談ですが、コメの石高で土地の価値を決めた太閤検地制度はこの考え方に近いですよね。超先進的!)

そうなると、賃料を上げれば不動産の価値も上がります。賃料を上げるために建物スペックやグレードに手を加えようという流れも起きました。外資ファンドが先行して「バリューアップ」工事をやりました。

もちろん建物の寿命も考慮しないといけないので、デジタルに収益還元で価格がハジけるモノでもありませんが、まあこれはこれで合理的な考え方です。

ただし、まだこれはハードに手を加える範囲を出ていませんでした。

ソフトによる差別化

これとは別の流れとして、ただの場所貸しではなくオペレーションを加えることで付加価値を上げる流れも出てきました。

サービスアパートやサービスオフィスは家具付、受付付きなど、サービスを充実させて賃料を高くとる形式です。

貸し会議室や、個人事業者向けの時間貸しスペースも、利用を時間単位にすることで高収益を狙っていますがこれもオペレーションが必要です。

他にも、会議室やリビングなどの共用部をシェアして、個室専用部分は必要最低限に抑えるシェアオフィス・ハウス、コワーキングスペースも、ある意味ではオペレーションで付加価値づけしているとも考えられます。

この辺りから単にハードだけの勝負からソフトによる差別化になっています。
(つづく)


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