黒潮生物研究所・新江ノ島水族館・ アクアワールド茨城県大洗水族館による共同研究  8月4日(木)より世界初展示! 2022年6月に記載した新属新種「オトヒメクラゲ」の生体を公開

 公益財団法人 黒潮生物研究所、新江ノ島水族館、アクアワールド茨城県大洗水族館の共同研究で判明した新属新種の「オトヒメクラゲ」。2022年7月12日から標本展示を開始しましたが、このたび江の島周辺でのクラゲ採集調査で「オトヒメクラゲ」を確認。8月4日(木)より、新江ノ島水族館とアクアワールド茨城県大洗水族館で、生体の世界初展示を開始しました。

2022年7月に江の島で採集したオトヒメクラゲ(生体)

 黒潮生物研究所、新江ノ島水族館、アクアワールド茨城県大洗水族館は2008年から2021年にかけて、高知県土佐清水市、神奈川県藤沢市江の島、茨城県東茨城郡大洗町でそれぞれクラゲの採集調査を実施し、合わせて16個体の正体のわからないクラゲを採集しました。これらのクラゲについて形態観察とDNA分析による分類学的精査をおこなったところ、ヒドロ虫綱花クラゲ目ウラシマクラゲ科の新属新種であることが明らかとなり、学名/Octorhopalona saltatrix(オクトロバロナ・サルタットリクス)、標準和名/オトヒメクラゲと命名しました。2022年7月12日から標本展示を公開しましたが、さらに7月24日、7月25日におこなった江の島周辺での採集調査で、本種を多数確認できたため、新江ノ島水族館とアクアワールド茨城県大洗水族館で生体の同時世界初展示を開始しました。

オトヒメクラゲ(乙姫水母)

学名:Octorhopalona saltatrix
分布:茨城県、神奈川県、高知県で確認
傘の直径が1cm程の小型種です。触手を8本、放射管を8本もちます。

[掲載論文]
掲載誌   :Animals
論文タイトル:Octorhopalona saltatrix, a new genus and species
       (Hydrozoa, Anthoathecata) from Japanese waters
       (日本産の新属新種Octorhopalona saltatrix
       (ヒドロ虫綱、花クラゲ目))
著者    :Sho Toshino, Gaku Yamamoto, Shinsuke Saito
       (戸篠 祥[1]・山本 岳[2]・齋藤 伸輔[3])
       [1] 黒潮生物研究所 [2] 新江ノ島水族館
       [3]アクアワールド茨城県大洗水族館

和名「オトヒメクラゲ」命名について

 オトヒメクラゲの和名は「浦島伝説」に出てくる「乙姫」に由来します。外見が本種に近縁の「ウラシマクラゲ」に似ていること、それに比べて最大サイズが少し小さいことから、この和名を選定しました。学名はOctorhopalona saltatrixで、「8本のこん棒を持つ踊り子」という意味が込められています。8本のこん棒を持つと聞くと少し物騒なイメージですが、8本の触手を広げながらぴょこぴょこと踊るように泳ぐ姿はとても可憐です。

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