~迅速な罹災証明書の発行を支援~ 自治体向け「被害認定調査計画の策定支援サービス」の 提供開始について
MS&ADインシュアランス グループのMS&ADインターリスク総研株式会社(代表取締役社長:一本木 真史)は、自治体の罹災証明書発行に向けた被害認定調査業務を対象に、「被害認定調査計画の策定支援サービス」を開発しました。
本サービスは、自治体が災害発生後に罹災証明書発行等で被害調査を行うにあたり、応援要請を含めた初動体制の円滑な立ち上げ等に関する調査計画書の策定を支援するものです。自治体の災害対応業務の負担軽減を図るとともに、被災住民の皆さまの一日も早い生活再建につなげていきます。
今後、東日本電信電話株式会社(代表取締役社長:澁谷 直樹、以下「NTT東日本」)が提供する罹災証明書発行システムである「被災者生活再建支援システム」※1 のオプションサービスとして、2023年8月23日からトライアルを開始し、2024年度に本格展開していく予定です。
- サービスの概要
本サービスは、下図のような被害認定調査業務における調査計画策定上の課題に対して、ソリューションを提供します。意思決定に必要な情報やノウハウとして、被災件数の推定結果や調査計画書(ひな形)等を提供するなど、地震および洪水の発生時に被災件数を自動推定して調査の実施件数を見積もり、実効的な調査計画の策定を支援します。
- サービスの特徴
(1)エビデンスベースの意思決定に基づく調査計画書の策定
地震および洪水の発生時に、被災件数の推定結果から調査の実施件数を見積もります。
この調査件数をエビデンスとして、調査に必要な要員数や実施スケジュールに関する情報をまとめた「調査計画書(ひな形)」を提供、災害時の実態に即した調査条件等を入力することで、より的確な調査計画書を策定することができます。
(2)AIアルゴリズム等を活用した被災件数の推定
内閣府の官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)において、防災科学技術研究所と共同開発した「自然災害被害推定システム」の手法をベースにしています。※2 推定精度をさらに向上させるため、近年の災害被害データを加えて高度化した手法を採用しています。
地震は目安として最大震度5弱以上の揺れが観測された場合に、通常15分程度で被災件数を推定(速報版)し、その後24時間以内にPRISMで開発したAIアルゴリズムにより、より精緻な推定結果に更新(確定報)します。
洪水は国土地理院から浸水推定図が公表された場合に、公表から約24時間後に浸水深分布・被災件数を推定します。
(3)自治体支援ノウハウを反映した調査計画書(ひな形)を作成
内閣府の「災害に係る住家被害認定業務 実施体制の手引き」や、産官学連携して開発した「被災者生活再建支援システム」※1 による自治体支援活動を通じて得たノウハウを反映して作成しています。
(4)ご利用しやすいファイルパッケージのダウンロード
地震や洪水の発生時にWebブラウザから「被害認定調査計画策定ツール」にログインすると、zip形式でパッケージ化された下表4種類のファイルをダウンロードできます。
ファイルは、本サービスご利用の市区町村が所属する都道府県別にパッケージ化しています。
また、エクセルはマクロを使用せず、被災マップビューワーもGIS等の専用ソフトを必要としないため、一般的なIT環境ですぐにご利用いただけます。
- アウトプットイメージ
調査計画書(ひな形)のイメージは下図の通りです。エクセルシートは、調査条件を設定する「入力シート」と、調査条件が反映された「被害認定調査計画書」で構成されています。
サービス利用者は被災件数の推定値や各計算条件のデフォルト値を参照しながら、災害時に収集した情報を考慮してユーザー設定値を決定します。決定した調査条件は「被害認定調査計画書」に自動反映されるほか、部署名等を手入力することで抜け漏れのない計画書が完成します。
- トライアル(無償)のご案内
本サービスは実用最小限の機能で構成されており、より役立つサービスの開発につなげることを目的に、2023年8月23日より無償トライアルを開始しています。
トライアル参加対象は、NTT東日本が提供している「被災者生活再建支援システム」※1 の導入自治体、または導入予定の自治体です。
参加申し込み方法等の詳細は、下記の専用サイトをご確認ください。
専用サイト
- 今後の予定
トライアルで得たご意見、ご要望を基にサービスの高度化と充実化を図り、2024年度の本格展開を予定しています。また、本サービスをより有効に活用いただくため、業務管理者向けの研修として「(仮称)被災認定調査業務のマネジメント研修」を開発し、本サービスとセットで提供する予定です。
参考情報
※1 被災者生活再建支援システム
https://business.ntt-east.co.jp/service/saiken/
多くの被災地での知見を基に、産官学連携によって開発されたシステムです。2004年新潟県中越地震以降、約20年にわたり被災した自治体の被害認定調査、罹災証明書発行、被災者台帳の作成・管理で利用され、現在270以上(人口カバー率36%)の自治体に導入されています。NTT東日本が営業販売窓口となり、MS&ADインターリスク総研株式会社が被害認定調査票の開発や自治体職員向けの研修を担当しています。開発には、防災科学技術研究所、
新潟大学、富山大学、ESRIジャパン株式会社等が参画しています。
※2 官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)
https://www8.cao.go.jp/cstp/prism/index.html
2018年度に内閣府で創設され、民間研究開発において、高い投資誘発効果が見込まれる領域を対象にして各府省庁の研究開発施策を誘導し、官民の研究開発投資の拡大、財政支出の効率化等を目指すプログラムです。
「自然災害被害推定システム」は、官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)の「革新的建設・インフラ維持管理技術/革新的防災・減災技術領域」における「官民データ連携による応急対応促進( https://forr.bosai.go.jp/prism/ )」の研究結果を活用して開発したものです。