第27回「山本七平賞」最終候補作決定のお知らせ

2018-08-23 11:00

株式会社PHP研究所(京都市南区 代表取締役社長 清水卓智)は、この度、第27回山本七平賞の予備選考会を実施し、下記のとおり最終候補作が決定しましたのでお知らせいたします。

第27回山本七平賞候補作

最終候補作(五十音順)

『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(新井紀子著 東洋経済新報社)
『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』(江崎道朗著 PHP新書)
『親鸞と日本主義』(中島岳志著 新潮選書) 
『未完の西郷隆盛 日本人はなぜ論じ続けるのか』(先崎彰容著 新潮選書)
※以上、五十音順

山本七平賞は、平成3年12月に逝去された山本七平氏の長年にわたる思索、著作、出版活動の輝かしい成果を顕彰することを目的に、平成4年5月に創設されました。賞の対象となる作品は前年7月1日から当年6月末日までに発表(書籍の場合は奥付日)された、書籍、論文で、選考委員は、伊藤元重(学習院大学教授)、呉 善花(拓殖大学教授)、中西輝政(京都大学名誉教授)、八木秀次(麗澤大学教授)、養老孟司(東京大学名誉教授)の5氏。
最終選考会は9月13日(木)に実施され、受賞作品が決定します。受賞者には副賞として賞金300万円と記念品が贈られ、贈呈式は11月9日(金)、都内で開催予定です。

★山本七平賞の詳細、過去の受賞作品はこちらをご参照ください。
PHP研究所山本七平賞 https://www.php.co.jp/company/yamamoto/

最終候補作と著者について

◆『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』
(東洋経済新報社 2018年2月15日)
東ロボくんは東大には入れなかった。AIの限界――。しかし、“彼”はMARCHクラスには楽勝で合格していた!  これが意味することとはなにか? AIは何を得意とし、何を苦手とするのか? AI楽観論者は、人間とAIが補完し合い共存するシナリオを描く。しかし、東ロボくんの実験と同時に行なわれた全国2万5000人を対象にした読解力調査では恐るべき実態が判明する。AIの限界が示される一方で、これからの危機はむしろ人間側の教育にあることが示され、その行く着く先は最悪の恐慌だという。では、最悪のシナリオを避けるのはどうしたらいいのか?  最終章では教育に関する専門家でもある新井先生の提言が語られる。
 
著者:新井紀子(あらい・のりこ)
国立情報学研究所教授、同社会共有知研究センター長。一般社団法人「教育のための科学研究所」代表理事・所長。東京都出身。一橋大学法学部およびイリノイ大学数学科卒業、イリノイ大学5年一貫制大学院数学研究科単位取得退学(ABD)。東京工業大学より博士(理学)を取得。専門は数理論理学。2011年より人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトディレクタを務める。2016年より読解力を診断する「リーディングスキルテスト」の研究開発を主導。主著に『ハッピーになれる算数』、『生き抜くための数学入門』(イースト・プレス)、『数学は言葉』(東京図書)、『コンピュータが仕事を奪う』(日本経済新聞出版社)、『ほんとうにいいの?  デジタル教科書』(岩波書店)など。

◆『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』
(PHP新書 2017年8月24日)
戦前の日本もスパイ天国だった…。ロシア革命が成功したあと、レーニンは世界革命を遂行すべく、「コミンテルン(共産主義インターナショナル)」をつくる。それは恐るべき思想と悪魔的な手法に裏打ちされた組織であった。そして大日本帝国は、やすやすとその謀略に乗せられ、第二次大戦に追い込まれていく。なぜ、そうなってしまったのか?  実は、その背後には、日本の「自滅的」な大失敗があった。リヒャルト・ゾルゲ、尾崎秀実らの暗躍から、軍や政府内部の闇、左翼全体主義・右翼全体主義と闘った保守自由主義者の実像まで、隠された歴史の真実に迫る刮目の書。

著者:江崎道朗(えざき・みちお)
1962年、東京都生まれ。九州大学卒業後、月刊誌編集、団体職員、国会議員政策スタッフを務め、安全保障、インテリジェンス、近現代史研究に従事。現在、評論家。2014年5月号から月刊誌『正論』に「SEIRON時評」を連載中。著書に『アメリカ側から見た東京裁判史観の虚妄』(祥伝社新書)、『マスコミが報じないトランプ台頭の秘密』(青林堂)、『コミンテルンとルーズヴェルトの時限爆弾』(展転社)など。

◆『親鸞と日本主義』
(新潮選書 2017年8月25日)
『歎異抄』の再評価や倉田百三『出家とその弟子』のベストセラーなどによって、大正から昭和初期にかけて起きた親鸞ブーム。その「絶対他力」や「自然法爾」の思想は、やがて天皇中心の“国体”を正当化する論理として、右翼や国粋主義者の拠り所となる。ある者は煩悶の末に、ある者は政治的転向の瞬間に、またある者は、戦争の大義を説くために唱えた「南無阿弥陀仏」。ついには、戦前もっとも危険な右翼の核心に親鸞の思想は据えられ、「弥陀の本願=天皇の大御心」と主張するまでに至る。「親鸞思想と国体」という近代日本の盲点を衝き、信仰と愛国の危険な関係に迫る力作評論。
 
著者:中島岳志(なかじま・たけし)
1975年、大阪生まれ。大阪外国語大学卒業。京都大学大学院博士課程修了。北海道大学大学院准教授を経て、現在は東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授。専攻は南アジア地域研究、近代日本政治思想。2005年、『中村屋のボース インド独立運動と近代日本のアジア主義』(白水社)で大佛次郎論壇賞を受賞。著書に、『インドの時代』(新潮社)、『秋葉原事件』(朝日新聞出版)、『パール判事』(白水社)、『「リベラル保守」宣言』(新潮社)、『血盟団事件』(文藝春秋)、『ナショナリズムと宗教』(春風社)、『アジア主義』(潮出版社)など。

◆『未完の西郷隆盛 日本人はなぜ論じ続けるのか』
(新潮選書 2017年12月20日)
西郷が目指した「国のかたち」とは、何だったのか―?  アジアか西洋か。道徳か経済か。天皇か革命か―日本人はいつも自らが理想とする「国のかたち」を西郷に投影し、「第二の維新」による「もう一つの日本」の実現を求めてきた。福澤諭吉、中江兆民、頭山満から、丸山眞男、橋川文三、三島由紀夫、司馬遼太郎、江藤淳まで、西郷を論じ続けてきた思想家たちの一五〇年から、改めて「日本のかたち」を問い直す。

著者:先崎彰容(せんざき・あきなか)
    1975年、東京都生まれ。東京大学文学部倫理学科卒。東北大学大学院博士課程を修了、フランス社会科学高等研究院に留学。2016年より日本大学危機管理学部教授。専門は日本思想史。著書に、『個人主義から<自分らしさ>へ 福沢輸吉・高山樗牛・和辻哲郎の「近代」体験』(東北大学出版会)、『高山樗牛 美とナショナリズム』(論創社)、『ナショナリズムの復権』(ちくま新書)、『違和感の正体』(新潮新書)など。

※本資料は書籍の奥付、当該書籍の出版元のホームページ等のデータをもとに編集・作成しています。 

以上

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