【お風呂とスキンケアの新常識に関する アンケート2017 調査結果発表】 20代から40代の女性500人が挑戦したお風呂博士監修 『お風呂とスキンケアの新常識10問』 全問正解者は1%以下! また、20代はシャワー派が5割で、進む“若者の湯船離れ”も明らかに
一般財団法人日本健康開発財団 温泉医科学研究所では、本格的に寒くなり肌の乾燥が気になり始める霜降に先駆けて、20~40代女性を対象に「お風呂とスキンケアの新常識に関するアンケート調査」を実施しました。
お風呂には皮膚の洗浄効果や血流促進効果などによるスキンケア効果が期待される一方、お風呂上がりには急速な肌の過乾燥が起こるというマイナスの面があります。2017年9月に、当研究所所長の早坂信哉が、お風呂上がりに保湿すべき制限時間=「保湿リミット」が10分であることを科学的に解明し、お風呂の中での保湿ケアによって、風呂上がりの過乾燥を防ぐ効果を発表いたしました。
今回はその発表を受けて、早坂所長監修の「お風呂とスキンケアに関する新常識クイズ10問」を実施し、一般女性がお風呂とスキンケアに関して正しく理解しているのか調査しました。その結果、500人中全問正解者はわずか3名という残念な結果でした。また20代女性はシャワーのみが5割と「湯船離れ」が進んでいることも判明。「お風呂の唯一の弱点は風呂上がりの乾燥でした。風呂の中の過ごし方でスキンケアは変わります。ぜひ『お風呂保湿』の効果を知って欲しい」と早坂所長も解説しています。主な調査結果は以下の通りです。
調査結果の概要
(1) 現代女性のお風呂事情、1日の入浴時間は20分未満が6割
(2) 20代女性にみられる「湯船離れ」。シャワーのみで湯船につからない人が5割
(3) お風呂に保湿効果を期待する人はわずか1.8%で、入浴中の保湿ケア効果を知らない人は5割
(4) 「お風呂とスキンケアに関する新常識クイズ10問」全問正解者は1%以下
- 7割以上の女性が「長時間お風呂に浸かると肌の新陳代謝が進む」と間違った認識
- 早坂所長解説「お風呂とスキンケアに関する新常識クイズ10問」
<参考資料>「お風呂上がりの過乾燥現象と“保湿リミット”とは」
調査概要
調査対象 :20~49歳の女性
有効回答数:500名
調査地域 :全国
調査時期 :2017年8月19日~8月20日
調査会社 :マクロミル
- 現代女性のお風呂事情、1日の入浴時間は10~20分未満が最も多い
毎日忙しい毎日を送る多くの女性にとって、お風呂は1日の疲れを癒す時間ではないでしょうか。今回の調査では、入浴のタイミングとしては「夜」と回答した人が96.8%。入浴時間は「10分~20分未満(43.2%)」が最も多く、次いで「20分~30分未満(28.0%)」、「5分~10分未満(13.0%)」となり、20分未満の人の合計は6割という結果になりました。<図1>。
図1
- 20代女性にみられる「湯船離れ」。シャワー派が5割に
入浴の内容についてみてみると、湯船につかる頻度は「毎日(36.6%)」つかるという回答が最も多かったものの、次いで「週1以下(24.4%)」が多くなっています<図2>。普段のお風呂の様子を聞いた設問では、20代女性は「シャワーのみでさっと済ます」シャワーのみ派が約5割を占めています<図3>。これらの結果より、20代女性の「湯船離れ」が顕著であるといえます。
図2、図3
- お風呂に保湿効果を期待する人はわずか1.8%で、入浴中の保湿ケア効果を知らない人は5割に
お風呂に対してもっとも期待する効果について聞いたところ「疲労回復効果(44.6%)」が第1位。逆に「保湿効果」について期待する人は1.8%と、もっとも少ない結果でした。また、お風呂の中で保湿ケアをする効果についても、2人に1人が「まったく知らない」と回答し、入浴中の「保湿」への意識が低い実態がうかがえます。
図4、図5
- 「お風呂とスキンケアに関する新常識クイズ10問」全問正解者は1%以下と残念な結果に
- 7割以上の女性が「長時間お風呂に浸かると肌の新陳代謝が進む」と間違った認識
今回、早坂所長監修の「お風呂とスキンケアに関する新常識クイズ10問」を行ったところ、全問正解者は、なんと500人中3人(正解者は40代のみ)と、1%以下を下回る結果に<図6>。日常的に入浴していても、入浴の効果やスキンケアについての正しい知識はあまり理解がされていないようです。
その中で最も正解率が低く、7割以上の女性が間違えた問題が「長時間お風呂に浸かることで、血行も良くなり肌の新陳代謝が進むので肌に良い」は〇か×か、というものでした<図7>。
図6、図7
早坂所長解説「お風呂とスキンケアに関する新常識クイズ10問」
「お風呂の入り方でスキンケアが変わる。『お風呂保湿の効果』を知ってください」
美容法・健康法として、今までは当たり前だと思っていた入浴方法が、実は逆効果ということもあります。「今までお風呂の唯一の弱点は風呂上がりの肌乾燥でしたが、お風呂の中で保湿ケアをすることで肌の乾燥を防げることがわかりました。お風呂の入り方でスキンケアが変わります。ぜひ『お風呂保湿の効果』を知ってください」と早坂所長もコメントしています。「入浴とスキンケアの正しい知識に関するクイズ10問」の解説は下記の通りです。
- 毎日お風呂に浸かるよりも、シャワーの方がスキンケアには良い。
×. お風呂に浸かることで、血行促進作用により、肌の新陳代謝がよくなると期待できます。
- 肌を洗う時にはボディータオルよりも素手で洗う方が良い。
〇. ボディータオルで強くこすると、肌のバリア機能を壊し、肌の保湿成分の流出を促進させます。
- 一番風呂に入るのが肌にとっては良い状態をキープできる。
×. 一番風呂は湯に溶け込んでいる成分が少なく、肌へ刺激になることがあり、二番風呂の方が肌には優しい。
- 入浴は肌を清潔にする効果もあるが、肌を乾燥させてしまう。
〇. 詳しいメカニズムは次項参照。
- 熱いお湯で入浴するのは、スキンケアにはお薦めできない。
〇. 熱いお湯程、肌のバリア機能を壊し、肌の保湿成分の流出を促進させます。
- 引き締めの冷水で皮膚の毛穴が引き締まるから良い。
×. 冷水で冷やすとせっかくの血流改善などの温熱効果がなくなってしまいます。
- 長時間お風呂に浸かることで、血行も良くなり肌の新陳代謝が進むので肌に良い。
×. 長時間お風呂につかると体が温まり、肌の新陳代謝が進むような気がしますが、逆に大事な保湿成分がどんどん流出していってしまいます。
- 入浴前に緑茶などカテキンを含む飲料を飲むと吸収が高まるので効果的である。
〇. 入浴前に飲用すると血行促進作用により、吸収が高まります。
- 入浴中にストレッチをすると体が温まっているので肌の調子が良くなる。
〇. 温まると体が柔らかくなり、ストレッチしやすくなるので、血行促進作用が進み肌の新陳代謝も高まる。
- 入浴中にスキンケアをすると発汗作用で流れてしまうので効果が期待できない。
×. 湿気のある浴室で肌に水分がある方が、スキンケアの効果が高いと考えられます。
<参考資料>「風呂上がりの過乾燥と保湿リミット、風呂保湿効果」
入浴は、肌を洗浄し清潔にするだけでなく、身体を温めることで、肌の代謝も良くなります。しかし、入浴にも弱点があります。お風呂上がりに浴室を出ると急激なスピードで乾燥が始まり、やがて入浴前よりも水分量が低くなる過乾燥の状態に陥るのです。これは皮脂やNMF(天然保湿因子)、角層細胞間脂質といった、本来肌に備わっている保湿物質が一時的に流出し、肌の水分を保てなくなることが原因で起こります。
こうした急激な過乾燥による肌へのダメージを防ぐためには、お風呂上がりの保湿ケアが重要ですが、保湿ケアをすべき制限時間を「保湿リミット」と呼びます。入浴前後の皮膚水分量を調査し、皮膚水分量が保たれているうちに保湿ケアをすべきという皮膚科学の観点から、皮膚水分量が有意差を持って入浴前より高い「出浴10分後」までが保湿すべき制限時間であり、「保湿リミットは10分」であることがわかりました。
次に入浴中の保湿による、出浴後の皮膚乾燥予防効果を検証するために、入浴中に保湿化粧品(泡パック状製品)を肌に塗布したかどうかで皮膚水分量を比較。その結果、保湿化粧品の塗布群は、無塗布群より出浴後の皮膚水分量が有意に高い結果となりました。特に出浴1分後から2倍近い水分量を保ち、出浴60分後まで入浴前の肌水分量をキープしていました。
入浴による皮膚の変化
保湿リミット&お風呂保温効果
以上の結果から、お風呂での保湿ケアがお風呂上がりの過乾燥予防に効果的であり、「お風呂保湿」をすることで「保湿リミット」が延びることがわかりました。
早坂信哉 先生
東京都市大学教授・博士(医学)/温泉療法専門医
一般財団法人日本健康開発財団 温泉医科学研究所 所長
自治医科大学医学部卒業後、地域医療に従事。自治医科大学大学院医学研究科修了、浜松医科大学医学部准教授、大東文化大学教授などを経て現職。入浴医学の第一人者としてメディア出演も多い。著書は「たった1℃が体を変える ほんとうに健康になる入浴法」「入浴検定公式テキスト」など。
一般財団法人日本健康開発財団 温泉医科学研究所 概要
名称 : 一般財団法人日本健康開発財団 温泉医科学研究所
(Onsen Medical Science Research Center:OMRC)
設立年月日 : 2012年4月1日
所在地 : 東京都中央区日本橋3-1-4
理事長 : 栗原茂夫
所長 : 早坂信哉(博士(医学)・温泉療法専門医)
ウェブサイト: http://www.onsen-msrc.com/
主な活動 : [研究活動]
・温泉・入浴等に関わる研究の実施
・産学官関係者を招いた研究会の開催
・国内外での学会発表・学術論文のリリース
[普及・啓発活動]
・「温泉・入浴等を活用した健康づくり」の提案と推進
・ポータルサイトを活用したネットワーク作りと
定期的な情報発信