転入超過数全国15位、 子どもの転入超過数は政令市以外では全国1位! 町田市は都心のベッドタウンから、自ら生産する“選ばれる郊外”に

~地域活動、映画・映像制作、農業など若い世代の人材が活躍中~

町田市は、2022年度の総務省発表統計※1において、転入超過数が全国1719市町村中の15番目、また、年齢区分別の転入超過数では年少人口(0~14歳)で政令市以外にて全国1位※2となったことをお知らせいたします。
※1 出典:総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 2022年(令和4年)結果」
※2 政令市を含めると全国2位(1位は、さいたま市)

町田市_ペデストリアンデッキ
町田市_薬師池公園
町田市_鶴間公園

東京都の最南端(島しょ部を除く)に位置する町田市は、東京都市部では2番目に多い、約43万人の人口を擁し、都心部の代表的な「ベッドタウン」として知られてきました。
新宿・渋谷などの都心部からも、横浜からも約30分でアクセスが可能な上、JR・小田急町田駅周辺には百貨店やファッションビルが立ち並ぶなど生活利便性が高く、2019年には、南町田グランベリーパークが官民連携により大規模再開発されています。一方、北部丘陵には、農地と雑木林から構成される里山が広がり豊かな自然が残るなど、「都市」と「自然」のバランスがとれた郊外都市です。近年では、子育て世代を中心とした移住が進んでおり、「今、人気の街」になっています。

コロナ禍の発生以降、2021年度に東京23区で転出が転入を初めて上回るなど(2022年度は大幅な転入超過)、郊外都市への人口移動の流れが注目されていますが、首都圏の全ての郊外都市へ人口流入が進むのではなく、今後は「選ばれる郊外」と「選ばれない郊外」への二極化が進むと言われています。そんな中、町田市では、まちだ〇ごと大作戦18-20+1などの実施によって、市民、地域団体、事業者など多様な主体の活動が市内各地域で広がり、新たな活力が生まれ続けており、街を盛り上げる「兆し」が見えてきています。また、地域活動、農業、映画・映像制作など、様々な分野で若い世代の人々の挑戦や活躍もあり、その「兆し」はさらに活発化してきています。

SUUMO池本編集長に聞く、いま「選ばれる郊外」の条件とは?

住宅情報サイト「SUUMO」編集長 SUUMOリサーチセンター センター長 池本洋一氏

SUUMOロゴ
池本洋一リクルートSUUMO編集長

「選ばれる郊外」の要素としては、第一に街の中心部で大体の用事が済ませられる、わざわざ都心に出なくても大丈夫な程度に「商業集積」があること。そして、いざという時に都心に出られる範囲内であるという「交通利便性」。今までは「職住近接」がキーワードとなっていたが、新型コロナ以降のテレワークの普及によって、この範囲は拡大されており現在では、1時間~1時間半圏内でも「街の魅力」さえあれば居住地として選ばれるようになっている。例えば、象徴的なところでは、逗子や葉山、鵠沼や江の島といった街が人気になっており、木更津など千葉方面も射程圏内に入ってきている。
また、テレワークの浸透にしたがって、オフィス以外で働く時間が増えていることから、住居費に充てられる金額から、どれくらいの広さが確保できるかなど、住宅のコストパフォーマンスが重要視されている。在宅勤務を続けるのが窮屈だと、街にコワーキングスペースやサテライトオフィス、仕事ができるカフェなどがあるかも重要となる。
そして「教育」。難易度の高いとされる大学・高校の進学に力を入れている公立学校など「公教育の学力」に対する安心感も重要。同じく「子育て環境」においては、保育園の入りやすさや、早期からの英語教育などといった多彩な教育は移住先として選ばれる要素となる。
最後に、「街に特徴がある」ということ。現在人気になっている街は、何となく街の顔がはっきりしている。「こんな住民が多そう」など、街のイメージ・キャラクターがある程度確立している街は選ばれやすい傾向がある。

上記の要素はすでに町田市に備わっているものも多い。しかしながら、さらに「選ばれる郊外」として上を目指していくためには、従来のステレオタイプの郊外ベッドタウンのように「消費して寝るだけの街」ではなく、「自ら生産する街」となることが重要なのではないだろうか。
例えば、都心に近いエリアだが、世田谷線の松陰神社前では、地元の人々の協力もあり、若い世代が小さいカフェやレストランなどを小さく創業しており、彼ら彼女らによるコミュニティが自然発生して、少し前に話題となった馬喰町や蔵前などの東京のイーストエリアのように、活気のある街に変化している。若い世代を中心としたお店の開店や起業などのチャレンジや地域活動などが活発であること、その兆しが見える街は「選ばれる郊外」、「魅力的な街」になると思います。

町田で挑戦・活躍する人物(1)  本業×副業×地域活動 パラレルキャリア

NPO法人green bird(グリーンバード) 町田チームリーダー 坂下朋紀さん

green bird坂下様

高校生の時から、全国各地の街や海でごみ拾い活動を行う認定NPO法人green birdの活動に参加。大学卒業後は「町田チーム」を仲間と一緒に立ち上げ、現在ではリーダーとして、毎月の定例おそうじや、地元企業・団体などとコラボレーションしての清掃活動などを生まれ育った町田で行っている。また、地域活動の他、大手化粧品メーカーに勤務しながら、副業として投資信託委託会社の金融教育担当、出身大学のラーニングアドバイザーも務めるなど、パラレルキャリアを実践中。市内の玉川学園出身で現在26歳。結婚を機に現在は23区在住だが、新居と町田を行き来しながら活動を行っている。

green bird清掃活動

◆社会貢献活動に携わるようになったきっかけと学んだこと―――――
元々、「国際協力」に興味があり中学生時代から国際NPOに参加していた。その活動の中でグリーンバードの方と知り合い、大学時代はインターン生として事務局の活動を行っていた。事務局の経験では、ボランティア=奉仕活動と思っていたが、どうしたら「街からごみを捨てる人を減らす」ことができるかの仕組み作りが大事だということを学ぶことができた。

◆グリーンバード 町田チームの活動について―――――
現在は毎月第2日曜日に町田駅周辺での定例おそうじの他、ごみ拾いに参加すると観戦チケットが無料になるなどのFC町田ゼルビアとのコラボ企画や地元のお祭りへの参加などを行っており、シニアから親子連れ、学生まで多様な世代の方々が毎回平均10人程度参加されている。会員登録もなく、集合時間に来たい人が集まっているが、グリーンバードが大事にしている言葉は、「出来る限り」。無理にまでごみ拾いをし続けるのではなく、できる限り続けることが大事だと考えている。また、町田市には「ボランティア袋」があり、団体登録をすれば、家庭ごみと同様に捨てることができるのは助かっている。

◆今後、町田チームとしてどんな活動を行っていきたいか―――――
町田市には地域活動を行っている人や団体は多いが、横の連携が取れているとは言えない。グリーンバード町田チームは、まだできて日は浅いが、元々市内にいた人間が外から持ってきた団体なので、地域をよくしたいと考えている方や商工会議所、ロータリークラブなど色々な人々・団体とつながりを持たせてもらっている。そこに、「ごみ拾い」をきっかけに、自分やグリーンバード町田チームが「ハブ」の役割となって、若者や各団体を横に繋げられるようになればと考えている。

◆町田のいいところ―――――
色々な人が住んでいるところ。昔から町田に住んでいる農家の方もいたり、外から町田に入って来た方も街づくりに参加されていたり、障がいのある方なども共存している、多様性を受け入れている街だと個人的に思う。自分が一番好きな言葉は、グリーンバードの創設者である長谷部健渋谷区長が、渋谷区で掲げられている「ちがいを ちからに 変える街。」というスローガン。いつか町田もそんな街に変えていきたい。また、人にも多様性があるが、場所にも多様性がある。地元の玉川学園は文化の街、原町田は下町感があったり、小野路町は里山で農地もある、薬師池公園ではシーズンごとの花を楽しめるなど、市内でも全く違う魅力を持った場所がある。「町田なんて大したことない」と思っている市民も多いが、どこかに楽しみや好きな場所がある街だと思う。

町田で挑戦・活躍する人物(2) 町田から日本の農業を変える

ファームマチダ東京株式会社 代表取締役 松井優一さん

ファームマチダ東京_松井様

町田市出身。東京大学大学院農学生命科学研究科で植物病理学を研究した後、バイオテクノロジー企業の株式会社ユーグレナ、総合化学メーカーのBASFジャパン株式会社、アグリテックベンチャーの株式会社ルートレック・ネットワークスなどで、一貫して農業関連産業に従事。2021年12月にこれまでの経験を活かし、町田市に農業法人、ファームマチダ東京株式会社を創業。一方、町田市の農業研修を2年間受講し、2022年6月に町田市の「認定新規就農者」に認定。現在では、小松菜などの生産・販売を行っている。36歳。

◆農業をはじめた経緯―――――
大学院では植物病理学を学び、修了後はサラリーマンとして農業周辺産業に関わっていたが、新しい情報に興味を持ちにくい農家と農家のニーズを把握できていないメーカーとの間には、交わらない溝があるという問題意識を持つようになった。また、メーカー側である自分は、どうしても農業の「外野」にいるような感じがしており、自分が農業界の「中」に入って、双方の橋渡しをして、少しでも現状を変えていければと考えた。町田で農業を始めたのは地元だったから。

◆事業の現在と今後―――――
2022年4月から、市内に約2,000m2の農地を借りて、現在は露地栽培で、小松菜を中心に春菊やかぶなどを生産してオンラインで販売している。今後はメーカーでの経験を活かし、ロボット草刈り機などのスマート農機の導入を進める他、SNSの活用や農業とテクノロジーの融合を進めるなど、次に農業に挑戦する人たちのための、「地ならし」ができればと思う。また、これから農業に挑戦をする新規就農希望者に対しては、融資の受け方など、自分と同様の悩みを持たれると思うので、自分の就農経験をシェアして、新規就農のお手伝いをしていければと考えている。

◆起業してよかった点、大変な点―――――
よかった点は自分で意思決定できること。サラリーマン時代のようにやりたくないこと、意味のないことは極力やらなくて済む。一方、大変な点は資金調達。農業の起業は「ファイナンスの勝負」だと感じた。農業の仕組みは基本的には、親から継ぐ、機具も土地も販売先もある前提でデザインされていて、ゼロから始めると、資金がないという状況になりやすい。

◆町田のいいところ―――――
農業の目線からだと、町田に思い入れがある人が多く、「町田産」であることに興味を持ってくれる。町田だからという産業は少ない中で、農業は町田市の強みを発揮できる産業といえる。もっと町田の魅力の一つとして「農業」を紹介できるようになればと考えている。

ファームマチダ東京_畑

町田で挑戦・活躍する人物(3) 町田から映画・映像コンテンツを世界に

Tokyo New Cinema 代表取締役 木ノ内輝さん

Tokyo New Cinema 木ノ下様

研究者としてハーバード大学医学大学院で研究をしていた時に、プロデューサーを務めた映画作品「Calling」がボストン国際映画祭で最優秀撮影賞を受賞した異色の経歴をもつ。日本帰国後、2015年、町田市に映画・広告映像制作会社であるTokyo New Cinemaを経験ゼロ・人脈ゼロ・資金ゼロから創業。数多くの国際映画祭での受賞歴を持つ。現在は高品質な映像制作技術を活かし、企業・公的機関などへ映像制作事業も展開。青山学院大学総合文化政策学部で映像制作プロデュースラボの授業も担当。

◆町田で映画制作会社を創業した経緯―――――
0歳から小学校まで町田に住んでおり、アメリカから日本に戻ってきて、自分にとって東京といったら町田だった。これから起業をしようと考え、渋谷など都心の様々な場所を調べたが、家賃が高いだけだった上、映画・映像制作という業種の性質上、都心にいるからといって声がかかるわけではない。経験・人脈・資金もなかった中で、住んでいた町田の条件が意外に良く、初期メンバーも町田周辺に住んでいる人々が多かった。現在もオフィスを構えている町田新産業創造センターは、たまたま通りがかって興味を持った。駅が近い割に家賃がリーズナブルで、事務局には銀行出向者もいるのでサポート体制がよく、建物もしっかりしており、セキュリティも安心。また、実績が無い中では公的機関にオフィスを置いていることは、創業期の信用にもつながった。

◆現在の事業について―――――
現在、3月31日公開の最新作「わたしの見ている世界が全て」の公開に向けて、宣伝活動を行っている最中。宣伝費用は映画制作の「大きな壁」とされているが、その調達にはクラウドファンディングも活用している。Tokyo New Cinemaは、日本の映画会社で初めてクラウドファンディングに連続的に成功した会社でもあり、それによって経験・人脈・資金がなかった当時でも映画制作をすることができている。また、広告映像制作事業も行っており、世界の映画祭で評価された技術力を生かして、高品質の広告・ブランディング動画の制作サービスを企業や公的機関などに対して提供している。

◆町田でビジネスを行っていて点、悪い点―――――
町田駅周辺には銀行や市役所、レストランもあり、徒歩圏内で会社に必要な物が揃い衣食住の質が高い。また、電車での都心へのアクセスもよく、高速道路もつながっており交通メリットが高い。一方、大きなクライアントは都心に集中しているので、成長するにしたがって、売り上げや利益を追求すると都心にいく企業が多い。ただし、最近ではリモートワーク、オンラインミーティングが増えているので、都心にいないデメリットを以前ほど感じなくなってきている。Tokyo New Cinemaとしては、基本的には長く町田にいるつもり。

◆今後の事業について―――――
ワークライフバランスや給与水準もよいものにして、日本一憧れられる映像制作会社にしたい。映像制作スタジオも作っていきたい。また現在は国内での展開に集中しているが、我々は国際映画祭での受賞歴が数多くあるなど、世界から評価されているのが特徴でもあるため将来的にはより「日本の文化」として映画・映像コンテンツを世界に出していきたい。

コミュニティが生まれるコワーキングスペース

コワーキングスペース&シェアオフィス BUSO AGORA

BUSO AGORA_1
BUSO AGORA_2
BUSO AGORA_3

町田駅から徒歩3分にある地域密着型の「起業」と「事業」を支援するコワーキングスペース&シェアオフィス。町田市を中心に、飲食事業などを展開をする株式会社キープ・ウィルダイニングが「夢が加速する」というコンセプトのもと運営しており、2019年のオープン後、現在の会員数は約250名になっており、これまで30名以上の人々が起業・新規事業開発を行っています。

カフェのリラックスした空気感とオフィスの快適な設備を兼ね備えた同店では、飲食店経営で培われたノウハウを生かしたコミュニティを作り出す仕掛けがされています。BGMは小さ過ぎず、大き過ぎない音量にすることで、会話をしやすい環境にしていたり、あえて出入り口を一つにして、来た時も帰るときも必ず受付を通って、会員とスタッフの間に挨拶が生まれる構造にしています。また、飲食業経験者でもあるコミュニティマネージャーは、会員との距離を縮めるのが上手で、会員同士をつなげて、コミュニティを作ることを業務にしています。さらに、会員同士の横のつながりを生み出すため、毎月1回、立食形式での交流会「AGORAパーティー」を開催している他、毎日17時以降に受付前のカウンターで行われている「BYOバー」は、会員が持ち寄ったお酒、1杯100円のビールで、会員同士の帰る前のちょっとしたコミュニケーションに使われています。これらの仕掛けが“きっかけ”となって、会員間での仕事の発注など新たなビジネスも生まれています。

コワーキングスペース事業の責任者である、株式会社キープ・ウィルダイニング経営企画室長の長谷部信樹さんは、「企業で働いている人はいつも誰かがいてコミュニケーションができるのが当たり前だが、フリーランスや起業志望者、リモートワークを主体に働いている人は、一人や少人数で仕事をしているため孤独でもあり、毎日挨拶する人がいて、コミュニティがあるというのは実は大きいこと。ここにはサード・プレイスとしての機能が定着しているのでは。」と語っています。

町田市の起業・創業支援

町田市では、市内での起業・創業者数の増加および、地域経済の活性化を目的として、様々な企業支援の取り組みを行っています。その結果、新型コロナウイルスの感染拡大がありながらも、支援制度の利用者数は増加傾向にあります。

(1)町田創業プロジェクト
町田市では、町田市内の創業者数の増加及び地域経済の活性化を目的として、2014年から創業支援プログラム「町田創業プロジェクト」を開始しています。本プログラムでは、起業希望者に「起業家カード」を進呈し、起業希望者は、各機関が行う「特定創業支援事業」(セミナー、相談会など)へ参加し、「経営」「財務」「人材育成」「販路開拓」の4項目を習得したと認められると、市から下記の特典を得るための「証明書」を発行して貰えます。

証明書により受けられる特典

(1) 株式会社または合同会社等を設立する際、登記にかかる登録免許税の軽減。
  税率が資本金の0.7%から0.35%となり、最低税額の場合、
  株式会社設立は15万円から7.5万円に、合同会社設立は6万円から3万円に減額。
  合名会社または合資会社は1件につき6万円から3万円に減額。
(2) 創業2か月前から適用される創業関連保証の特例が
  事業開始6か月前からの適用に。
(3) 日本政策金融公庫の新創業融資制度において、
  「創業資金総額の1/10以上の自己資金要件を満たしたもの」とされる。
(4) 町田市中小企業融資制度「創業資金」の利用に際し、
  利子の全額補助が受けられる。

▼町田創業プロジェクト活用状況(2014~2021年度)

まちだ創業プロジェクト活用状況(2014-2021)

出典:町田市経済観光部産業政策課 統計

(2)町田新産業創造センター(MBDA)

MBDA1
MBDA2
MBDA3

町田新産業創造センターは、町田市、町田商工会議所、きらぼし銀行が出資し、2013年4月に開設された創業支援施設。1階には事務局の他、カフェやイベントスペース、2階には、創業者向けの賃貸オフィスフロアであるインキュベーションルームがあり、3階は、2階オフィスの入居者への支援が可能な事業者向けの賃貸オフィスフロア。現在、新規性、独創性が高い46社(2023年1月現在)が入居しています。また、インキュベーションマネージャーが常駐しており、起業家に対する支援・コンサルティングを行っています。

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