【幻冬舎】『異端の福祉 「重度訪問介護」をビジネスにした男』著者・株式会社土屋 代表取締役兼CEO 高浜敏之氏のインタビュー公開!
【著者インタビュー】『異端の福祉 「重度訪問介護」をビジネスにした男』著書・高浜敏之氏が年収1,000万円の従業員を多数輩出する秘訣とは
株式会社幻冬舎ゴールドオンライン(本社:東京都渋谷区千駄ケ谷4丁目9番7号、代表取締役:山下征孝)は、同社が運営する「話題の本.com」(https://wadainohon.com)にて2023年3月22日(水)、『異端の福祉 「重度訪問介護」をビジネスにした男』を刊行した、著者・株式会社土屋 代表取締役兼CEO 高浜敏之氏氏のインタビュー記事を公開しました。
著者インタビュー
【著者インタビュー】『異端の福祉 「重度訪問介護」をビジネスにした男』著書・高浜敏之氏が年収1,000万円の従業員を多数輩出する秘訣とは
日本には、重い障害を持つ人々に在宅での介護サービスを提供する「重度訪問介護サービス」という仕組みがあります。重度障害者の可能性を広げ家族の負担を軽くする素晴らしい制度ですが、事業者不足などがハードルとなり、サービスを受けたくても受けられないのが現状です。また、介護スタッフの待遇は悪く、多くの人が離職を余儀なくされているのです。
こうした中、2020年に設立されたのが、重度訪問介護サービスを提供する「株式会社土屋」です。同社はわずか2年間で、従業員数が2,000人を超えるほどの急成長を遂げました。また、年収1,000万円以上の従業員を多数輩出するなど、従来の介護業界では考えられないほどの好待遇を用意し、多くの求職者を集めています。
同社の代表取締役兼CEOで介護業界の革命児と呼ばれる『異端の福祉 「重度訪問介護」をビジネスにした男』の著者・高浜敏之氏は、どのようにして従業員に好待遇を用意しているのでしょうか。また、同社の未来像をどのように描いているのか聞きました。
インタビュー記事 一部をご紹介
――高浜さんが著書『異端の福祉 「重度訪問介護」をビジネスにした男』を刊行したのはなぜですか。
一番の理由は、「重度訪問介護」というサービスと土屋の存在を世の中に知ってもらい、多くの方々の理解と協力を得たいと思ったからです。
重度の肢体不自由や重い知的障害・精神障害といった重い障害を持つ方々はこれまで、医療機関や自宅に閉じこもって暮らすのが当たり前とされてきました。しかし、医療機関で暮らす場合は、地縁のない場所で家族などと離れて過ごさなければなりません。また、外出に大きな制限がかかるなど、不自由な生活を強いられがちなのです。それに比べると、自宅で暮らす方が望み通りに過ごしやすいと言えますが、その代わりに家族の介護負担が重くなってしまいます。
そこで登場したのが、重度障害者の生活を支える公的サービスの重度訪問介護でした。日本中の誰もがこの制度を使えるようになれば、重度障害者が生きる上での選択肢はグンと広がりますし、家族の負担も小さくできます。ところが、素晴らしい制度にもかかわらず、サービスを受けたくても受けることができない人が多数います。
一人でも多くの方に重度訪問介護のことを知ってもらい、社会全体で課題の解決に取り組むきっかけをつくる。そのために、重度障害者の現状や重度訪問介護の現場の声、より良い未来への提言などをまとめ、解決の足がかりとする。それが、この本を書いた最大の動機でした。
――高浜さんが代表取締役を務める「株式会社土屋」(以下「土屋」)も、重度訪問介護のサービスを提供する企業ですね。
はい、そうです。「土屋」は2020年に設立され、わずか2年で47都道府県のすべてに事業所を展開するようになりました。2023年時点で、従業員数は2,000人以上、サービス利用者数は700人以上にまで成長しています。
「土屋」のサービス利用者の中で最も多いのが、筋萎縮性側索硬化症(ALS:全身の筋肉に脳の指令を伝える神経が障害を受けのどや舌、手足の筋肉が萎縮していく難病)の方です。また、脊髄性筋萎縮症や筋ジストロフィー、脳性麻痺、交通事故やスポーツのケガによる頸椎損傷などで体が不自由になった方もいます。こうした「重度の肢体不自由」に含まれる方が、全体の9割くらいでしょうか。残りの1割は、重い自閉症や知的障害で、自分や他人を傷つける可能性のある「強度行動障害」のある方々です。
ーーーーーー以上記事一部抜粋ーーーーーー
『異端の福祉 「重度訪問介護」をビジネスにした男』(高浜敏之[著]/幻冬舎)
元ボクサーの異端の経営者、
福祉業界のタブーに挑む
重度障害や難病患者が自宅で暮らせるように――
重度訪問介護サービスをビジネスにした社会起業家の軌跡
脳性麻痺や難病で重度の肢体不自由がある人や強度行動障害のある人など、いわゆる重度障害者は、これまで施設・病院で暮らすことが″当たり前”とされてきました。本人は家で過ごしたい、家族も家で過ごしてほしいという気持ちがあっても、介助サポートなしで家で過ごすのは容易ではありません。そんな重度障害者に対して、訪問介護サービスはあるものの、未だに全国的に充実していません。介護スタッフの成り手が圧倒的に不足しているためなかなかサービスが普及していかないのです。
著者はこの命の尊厳に関わるような重要な社会課題をビジネスの力で解決したいと思い、会社を立ち上げ、重度訪問介護事業所の全国展開に取り組んでいます。福祉業界ではタブーとされる利益の追求に切り込むことで、人材への投資、サービス品質の向上、事業規模の拡大を実現しているのです。
本書は、介護サービスを受けたくても受けられない介護難民をゼロにするために、ソーシャルイノベーションを起こそうとする一人の経営者の軌跡です。著者が見てきた重度障害者の現状や重度訪問介護の重要性を、現場の生の声とともに綴った一冊です。
目次
はじめに
プロローグ 本当の強さを求めて―
福祉の道へ
「清く貧しく」の福祉像に反する異端のビジネスモデル
福祉業界で20年、私が歩いてきた道のりと現在地
父の背中を追ってボクシングに熱中した10代
プロの道を断念し、大学の哲学科へ
一般企業の就職への違和感 アルバイトで自分探しの日々
友人から薦められた1冊の本で福祉に興味を抱く
探していた答えはここに 真のケアを求めて福祉の世界へ
第1章 重度障害者の介護へ
目の当たりにした過酷な現実
アルバイトで飛び込んだ福祉事業所で重度障害者の現実を知る
ともに生きることを学びあう場
2002年当時、在宅で暮らす障害者はレアケースだった
自分のことは自分で決める――障害者の「当事者主権」という考え方
障害者たちが歩んできた歴史と自立のための運動
1970年代に障害当事者による社会運動が活発化した
当事者運動によって社会は本当に変わったのか
重度障害者は「家族が面倒を見るもの」という重圧
核家族化で在宅介護はさらに困難になっている
重度障害者の受け皿となる施設も数が足りない
老障介護やヤングケアラー問題の根幹にある重度障害者のための制度不備
人工呼吸器をつけない選択をするALS患者が7割
家族に介護をさせたくない、でも施設にも入れない……重度障害者たちの葛藤
第2章 国の制度ができてもサービスが受けられない
働き手不足の重度訪問介護
ボランティアが重度障害者の在宅介護を支えた時代があった
1981年の国際障害者年、自立生活の考え方が日本にも広まった
重度障害者にとっての「自立」とは何か
ボランティアから労働へ 障害者自立生活運動が活発化
全国公的介護保障要求者組合のメンバーとして活動のど真ん中へ
社会を変えようともがき、疲弊していく
グループホーム勤務で社会復帰、そして介護系ベンチャー企業立ち上げへ
現場と経営者の意見対立で板挟みに
2014年6月、重度訪問介護事業所を社内に新設
社会から置き去りにされた人たちの“隠れたSOS”の多さに気づく
制度はあるのにサービスが使えない重度障害者たちがいる
職場の不満は爆発寸前 独立を決意する
第3章 誰もやらないなら自分でやるしかない
重度障害者が自宅で過ごせる介護事業を立ち上げる
2020年8月、重度訪問介護事業で会社設立
私たちが事業を通して解決しようとしている社会課題とは
重度訪問介護難民が生まれてしまう5大要因
重度訪問介護サービスの需要と供給のバランス
1都6県の利用格差は最大18倍 利用者ゼロの市区町村が約3割
国連から勧告を受ける
急ピッチでの事業所開設と介護スタッフの増員
資金繰りのピンチに救世主現る
介護の利用で人生が変わる ~当事者とその家族のエピソード~
強度行動障害が1対1のケアで落ち着く事例を確認
第4章 利益の出る仕組みをつくり、
従業員には高い給料を支払うことで
サービス品質を高める
「福祉は清貧であれ」という業界の常識を覆す
社会課題解決と営利追求を両立する、オンリーワンのビジネスモデル
道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である
ソーシャル・ビジネスの発見 社会課題をビジネスで解決する
善意に依存する介護には限界がある 持続可能な事業化へ
営利企業にすることで「支援できる人が増える」スケールメリットが狙える
大きな組織で、チームでよりしっかりと支える
従業員を満足させるには、物心両面の充足が必須
給与水準の低い福祉業界で年収1000万円を実現
未来の介護業界を明るくしたい
利用者と向き合う重度訪問介護には“介護の本質”がある
60代、70代でも重度訪問介護ではまだまだ現役
どんな人材が活躍しているか
多様なバックグラウンドをもつ人たちが活躍
異業種、未経験、何歳からでも輝ける ~社員6人のエピソード~
介護以外のやりたいことも社内起業でチャレンジ可能
自社で介護人材を育成し、現場へ送り出すヘルパー養成研修事業所の仕組み
なぜ従業員に高い給与を払えるのか ニーズの高さと加算請求の仕組み
利益を最大化し、事業成長を続けるためのDX
質の高い重度訪問介護を提供する秘訣とは
第5章 会社を成長させることが社会課題を解決する
必要な人が必要な介護を受けられる
社会を目指して
進んでいない地域移行
47都道府県進出のその先へ 重度訪問介護の空白地域をゼロにする
一人でも多くの仲間を増やすために
徹底的な説明と対話 精神のリレーを受け継いでいく
組織風土をデザインする ダイバーシティの実現を目指して
情報発信から社会を変えていく
ともにいる、ことがすべて
人工呼吸器を拒否していた難病患者が生きる選択をする
おわりに
著者
高浜 敏之
1972年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学文学部哲学科卒。大学卒業後、介護福祉社会運動の世界へ。自立障害者の介助者、障害者運動、ホームレス支援活動を経て、介護系ベンチャー企業の立ち上げに参加。デイサービスの管理者、事業統括、新規事業の企画立案、エリア開発などを経験。2020年8月に株式会社土屋を起業。代表取締役兼CEOに就任。2023年1月には、重度障害者を24時間在宅で支援する重度訪問介護事業所「ホームケア土屋」を全国47都道府県に広げる。ALSなどの難病や重度の障害があっても、望む地域で望む人と安心して暮らせる社会の実現を目指し、日々奔走している。
お問い合わせ
本記事に関する問い合わせはこちら
株式会社幻冬舎ゴールドオンライン
〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷4丁目9番7号
TEL:03-5411-6270
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