日本生活支援協会、インターネットによる誹謗中傷相談窓口を開設
生活保護受給支援や移管支援などを行う任意団体「日本生活支援協会」は、法人化に向けての活動の一環として、2023年12月よりインターネットによる誹謗中傷の相談窓口を開設いたしました。
12月4日から人権週間が始まりました。現在でもいじめや虐待、こどもの人権問題、インターネット上の人権侵害、障害のある人や外国人、性的マイノリティや性別(弱者男性)等に対する偏見や差別、同和問題等の部落差別、コロナやハンセン病問題といった多くの人権問題が依然として存在しています。
近年、X(旧Twitter)や5ちゃんねるなどにおいて匿名で誹謗中傷を書かれて事件になる事があります。日本や国外に目を向けてもこういった誹謗中傷や侮辱、名誉毀損問題はなくならず、事によっては自ら命を絶つ者までおります。芸能人や公人だけではなく普通に生活をしている一般人ですらも巻き込まれるこの問題に対して、もし大切な方が巻き込まれたらどのように対応すれば良いかなど、様々な相談を受け付けております。
日本武尊さんの場合
日本さんはX(@YAMATO_TAKERU)を始めとして弱者男性問題や共同親権、安楽死といった多くの情報をSNS等で発信しており、雑誌やテレビの取材も受けたりミニFMでラジオパーソナリティーを行ったりしておりました。そんな彼に事件が起きたのは今年の8月です。
突然、見知らぬアカウントから
小学生や中学生といった未成年女の子にわいせつを行っている人物だ!多くの被害者がいる!
未成年に自殺幇助をして障害を残した最低な人物だ
多くの偽名や身分を詐称している詐欺師だ
過去に自殺幇助や強姦で多くの逮捕歴が有る
刑務所に何度も入っている危険人物だ
等とポストされました。また日本さんとは無関係なアカウントに対し「これは今まで彼(日本武尊)が使っていたアカウントである」とまで言われ、その無関係なアカウント分も誹謗中傷を受けるようになっていったのです。
日本さんは突然な出来事で驚きましたが、自分には全く身に覚えのない事なので数日もすれば自然に収まると考えておりました。
炎上の日々
しかし、日本さんの思いとは別にこの事件は大きく広がりました。何故なら日頃から日本さんと交流があった人達が手のひらを返したように責めたて始めたのです。
「前から怪しいと思っていた」
「こんな人間と付き合っていた自分が恥ずかしい」
「こんな最低な人間は許すな!」
と様々な誹謗中傷が日本さんに向けられました。あまりにも多い通知に日本さんは耐えきれなくなり通知が届かない様に設定してインターネットから遠ざかるようにしました。
生活の殆どを失った日々
結果的に日本さんの周りには味方が殆どいなくなりました。一緒に作業をしていた方達も日本さんに業務の為に立替てもらったお金も返さず、それどころか周囲と一緒になって誹謗中傷し、またある方は日本さんとの作業に関する約束事も一方的に破棄していったのです。また日本さんが出演していたラジオ局や雑誌などにも誹謗中傷が届いたりして活動が制限されました。元々、精神障害を患っていた日本さんですが薬の種類や量も増え、これを機に障害の等級が上げるかどうかを主治医や役所の担当者と話すぐらい体調と精神を崩し、自身では中々動けない日々が今も続いております……。
インターネットに関する人権侵犯事件の新規救済手続開始件数
法務省の人権擁護機関が救済手続きをした事件の内、インターネットを利用した人権侵犯事件数ですが平成25年から平成29年まで上昇し、その後緩やかに下降はしておりますが人権侵犯事件の中では未だに高い数値となっております。
(提供:法務省)
あなたならどうする?
この場合、誹謗中傷を受けた人が出来る事は大きく分けると3つあります。
・法務局へ相談し、プロバイダ等へ削除要請を行う
・裁判所に対して発信者情報開示請求を行う
・警察に被害届、又は告訴する
です。
法務局の削除要請とは
法務局では法務局職員又は人権擁護委員が被害者の話や状況を詳しく聞いたうえで当該書き込みに対し違法性を感じたらプロバイダ等へ削除要請をいたします。費用はかからないのと対応が他の方法に比べて素早いというメリットがありますが、法的に強制力は伴わないので削除されないという可能性と書き込んだ相手が特定出来ないので再び同じような書き込みをされたり慰謝料等の請求が出来ないといったデメリットもあります。
裁判所による発信者情報開示請求とは
発信者情報開示請求とは裁判所に「私を誹謗中傷した人に権利(慰謝料等)請求をしたいので特定をさせてください」と訴えることです。以前まではこの方法は訴訟(裁判)であったために時間がかかっており、開示請求が認められた時には既にログ(ネットに接続した記録)が残っていないという事が多々ありました。
しかし、2022年10月1日施行のプロバイダ責任制限法の改正により、訴訟だけではなく審判(非訟手続き)によって対応してもらえる事により、格段に解決が早まりました。
またその他
・仮処分命令
・提供命令
・消去禁止命令
等も申立てによって行えるため、今まで以上に誹謗中傷相手の特定が簡単になったと言われます。
弁護士に相談するか、自分で行うかとなると幾ら手続きが簡単になったとは言え、専門家である弁護士の方に相談して任せた方が良いと思います。理由は先程も述べたようにログの関係から発信者情報開示請求は「時間との戦い」なのです。勿論、自分で行える自信があったり、金銭的に余裕が無い方は自身で行うしかありませんが、先ずは法テラスに相談するのも良いと思います。
どちらにしても必ず「URL(アドレス)付の誹謗中傷の画像」を残しておく事が必要となります。URLが有れば相手側が誹謗中傷の文章を削除してもログが残っていれば訴える事は可能だからです。
警察に訴えるとは
侮辱罪、又は名誉毀損罪として警察に訴えるのもありです(日本さんの様に関係所まで誹謗中傷されたら「信用毀損及び偽計業務妨害」にも当てはまる可能性があります)。但し、警察も直ぐには動きませんので裁判所の申立て同様URL付きの画像などの証拠を持って相談しに行く必要が有ります。
またその際に生活安全課ではなく刑事課で相談したい旨を伝えると良いと思われます。何故なら生活課は本当に相談で終わる可能性が有るからです。処罰感情(逮捕して欲しい気持ち)が有るなら刑事課できちんと事件化してもらう事が必要となります。
民事と刑事の違い
民事というのは裁判所に訴えを起こして相手を特定した後に慰謝料を請求したり、謝罪文を掲載してもらうなど貴方の名誉や名誉感情を回復する方法です。相手が貴方の要求に従えばそれで事件は解決となります。
逆に刑事というのは社会的罰を受けてもらう事です。慰謝料の請求や謝罪文の掲載は出来ませんが罪が認められれば逮捕され、刑事裁判によって社会的罰を受ける事になるでしょう。
また裁判所で発信者情報開示請求をしてから警察に訴えるのも可能ですし、警察に告訴して逮捕後示談するのも可能ですのでそこら辺は弁護士や警察等に相談するのも良いかと思います。
事件は向こうからやってくる事も有る
最近では自分で炎上する様な動画を上げて誹謗中傷を受ける事も多々あります。そういった場合は仕方ないですが、普通に生活してもいきなり事件に巻き込まれる事もあります。
何度も言いますがネットによる誹謗中傷を解決するのは時間との戦いでもあります。
1日でも早く自身でも弁護士でも警察にでも良いので解決に向けた行動をとる必要が有ると思います。当団体では新たにインターネットによる誹謗中や侮辱、名誉毀損による相談窓口を開設いたしました。こちらの窓口では相談者の状況にあった適正な対応をお答えするのは勿論、もし刑事事件にしてほしい場合は提携している行政書士事務所をご紹介いたします。もし今、インターネットによる誹謗中傷や日々の生活において人権問題でお困りならばお気軽に相談窓口へご連絡ください。
相談窓口
日本生活支援協会のインターネットによる誹謗中傷相談窓口
consultation.jlsa@gmail.com (*相談無料)
こういった問題の解決は「自分は関係無い」と思わずに1人1人が自分自身の問題だと捉え、お互いの人権を尊重しあう事が大切だと思います。