【相続はいつやってくるかわからないから】今年の夏こそ実家の親と話しておきたい相続のこと

今年の夏、数年ぶりに実家に帰省するという方は多いのではないでしょうか。

積もる話がある一方で、久しぶりに顔をあわせた機会だからこそ、話しておきたいことがあります。

それが相続のこと。

新型コロナウイルス感染症の蔓延で、相続を自分事として感じた人も少なくないはずです。

「相続対策は、親が元気なうちから始めた方がいい」と指摘するのが、相続専門の税理士として、日本でトップクラスの実績を持つ清田幸弘先生。

ご自身もお父様の相続を経験され、早めの準備の大切さと、早く行うがゆえの難しさを実感していると言います。

そこで今回は、清田先生の著書『相続専門の税理士、父の相続を担当する』(あさ出版)http://www.asa21.com/book/b603022.htmlより、これから相続を迎えるすべての人に知ってほしい相続対策のポイントを紹介します。

親が亡くなってからでは相続対策はできない

親と相続の話をする場合、「親の死」が前提なので、人によっては抵抗を感じます。

相続に関する話はデリケートであり、気心の知れた親子であっても、話しにくいものです。

親と相続の話をしておきたくても、なかなか切り出せずにいる方も多いと思います。

それでも、相続対策は、できるだけ早めにはじめたほうが得策です。

「相続のタイミングは、いつやってくるかわからない」
「相続対策には、時間がかかる」
「相続発生後(親が亡くなったあと)では、相続対策はできない」

からです。

親(財産所有者)が健康を損ねてしまったあとでは、相続対策を検討するのが難しくなってしまいます。

父が亡くなる20年以上前から、私は父に「遺言書」の必要性を伝えていました。

遺言書は、被相続人が、遺産相続についての最終的な想いを伝える書面です。

父は、遺言の中身について司法書士と相談をしながら、

「遺産分割のしかた」
「家族に対する想い、感謝の気持ち」

を遺言書に残していました。

【遺言(いごん・ゆいごん)】とは
ある人の生きている間の最終的な意思決定(財産の分割方法など)を、その人が死んだあと、具体的に実行させるための方法。満15歳以上になれば、いつでも作成できる。

不動産など、分割しにくい財産がある、特定の人に特定の財産を指定したいといった場合、遺言書を残した方がいいでしょう。

揉めごとが起きないように遺言書を作成して、「誰に、どの財産を、どれだけ譲るか」をはっきりさせることが大切です。

遺言書を残したほうがいいケースとは
遺言書を残したほうがいいケースとは

父が遺言をつくるのに要した驚きの年月

父が「病気になってから」ではなく、「まだ元気なとき」に遺言書の作成をお願いしたのは、

「亡くなる直前だと、父の死が現実味を帯びてくる(父が死を意識して、動揺しかねない)」
「仮に認知症などで判断能力がなくなった場合、遺言が残せない」
「相続をする子どもたちにとって、相続のことは尋ねにくい」
「家族に対する父の想いを残してほしい」

といった配慮からでした。

しかし、遺言の作成には時間がかかりました。

私が父に遺言をつくるように声をかけはじめたのは、父が60代後半のころからでした。

そこから父が遺言を作成するまでに、10年以上の年月がかかりました。

父は70代後半になっていました。

ずいぶん長くかかったと感じる一方で、自分の死を想像したい人はいませんから、父が気が進まなかったのも理解できます。

私自身も自分の遺言をつくるのは気乗りしません。

相続税の専門家として、父に嫌な顔をされながら、ことあるごとに遺言の必要性を伝え続けても、これくらいの時間がかかるのです。これが相続の現実です。

だからこそ、遺言の作成はできるだけ早くはじめたほうがいいと、今は、私自身の実感としても伝えることができます。

録音や動画は遺言として認められない

遺言書作成の依頼先は、弁護士、司法書士、行政書士、税理士、金融機関などです。

相続税対策なら税理士、権利関係の複雑な不動産がある場合は司法書士、相続トラブルの起きる可能性が高いときは弁護士、気軽に遺言書を作成したい人は行政書士など、それぞれの専門家によってメリットやデメリット、費用が異なります(父は不動産を所有していたため、司法書士に依頼しています)。

遺言書の種類、つくり方は法律で定められていて、それ以外の方法で作成されたものは無効です。

「あの人は、生前にこう言っていた」といった口約束や、録音テープや動画を残していても、遺言としての法律上の効力はありません。

どの専門家に依頼すればいいかわからないときは、相続に精通するコンサルティングファームに相談するのがよいでしょう(コンサルティングファームであれば、弁護士、司法書士、行政書士、税理士が在籍しているため、適任者が見つかりやすい)。

著者プロフィール

清田 幸弘(せいた・ゆきひろ)

著者:清田 幸弘
著者:清田 幸弘

ランドマーク税理士法人 代表税理士  
立教大学大学院客員教授
1962年、神奈川県横浜市生まれ。明治大学卒業。横浜農協(旧横浜北農協)に9年間勤務、金融・経営相談業務を行う。資産税専門の会計事務所勤務の後、1997年、清田会計事務所設立。その後、ランドマーク税理士法人に組織変更し、現在13の本支店で精力的に活動中。
急増する相談案件に対応するべく、相続の相談窓口「丸の内相続プラザ」を開設。また、相続実務のプロフェッショナルを育成するため「丸の内相続大学校」を開校し、業界全体の底上げと後進の育成にも力を注いでいる。

書籍情報

表紙
表紙

タイトル:相続専門の税理士、父の相続を担当する
著者:清田 幸弘
ページ数:232ページ 
価格:1,650円(10%税込) 
発行日:2022年5月12日
ISBN:978-4-86667-385-1
書籍紹介ページ:http://www.asa21.com/book/b603022.html

amazon:https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4866673850/asapublcoltd-22/
楽天:https://books.rakuten.co.jp/rb/17096821/?l-id=search-c-item-text-01

目次

第1章 私が「相続専門税理士」になった理由
第2章 父の相続対策をはじめる
第3章 父、亡くなる
第4章 父の相続の手続き・申告をする


AIが記事を作成しています