春は頭痛が起きやすい?!気温・気圧の変化による「頭痛」対策 薬剤師が勧める賢い頭痛薬の選び方

OTC頭痛・鎮痛薬成分表 付き

現代のストレス社会のなかでは頭痛に悩まされている方は多いと思います。痛みの中でも頭痛は集中力がなくなりひどくなると吐き気を催すなど、日常に多大な影響を与えます。こうした時、医療機関にかかれば医師が一人一人の症状にあった薬を処方してくれます。しかしちょっとした頭痛くらいではなかなか医療機関のお世話になることなく、市販薬で済ませてしまうことが多いのではないでしょうか。

では、たくさんの市販薬の中から皆さんはどうやってお薬を選んでいるのでしょうか。

近年OTC薬(薬局・薬店・ドラッグストアなどで処方せん無しに購入できる医薬品の事)にロキソニンが加わったことにより、市販薬としての頭痛薬の選択肢はさらに多彩になっています。セルフメディケーションが推進され自分で薬を選べるようになったことはよいことですが何を選べばよいのか!?今回は奥深い頭痛の世界からほんの少しの知恵をお伝えしたいと思います。

■ 頭痛の分類

頭痛はひとたび始まってしまうと何も手につかなくなってしまうことがしばしば。さらに人によって痛みの強さ、場所、頻度など個人差もあります。

一般的に頭痛は大きく分けて片頭痛、群発頭痛、緊張性頭痛の3種類に分類できます。このうち片頭痛と群発頭痛は通常の痛み止めでは対処が難しいため医師の診察と適切な投薬が必要になります。(補足:それぞれ軽度であれば、OTC薬適応の場合もあります。また2種類の頭痛が重なっている場合もあるので全く効果がないわけではありません。)

さらに、吐き気や意識障害を伴う激しい頭痛では脳血管の障害が疑われる可能性がありますので、場合によっては救急車を呼ぶ必要があります。これは2次性頭痛と言われ十分に注意が必要です。市販の頭痛薬で対応できるのはほとんどが緊張型頭痛で、目や肩、首の凝りや緊張が主な原因です。

■ 成分を知って頭痛薬を選ぶ

皆さんは“ロキソニン!” “イブ!”とか聞けばすぐに“あ~あれねっ!”ってお分かりになると思います。しかし今回はそれらのうちの成分名でお話をしたいと思います。ちょっと難しく感じるかもしれませんが、店頭でちょっと賢い選択ができるようになれるかもしれません。

<表1>頭痛薬の主な鎮痛成分と特徴
<表1>頭痛薬の主な鎮痛成分と特徴

① アセトアミノフェン :抗炎症作用はなく鎮痛効果は穏やかで、胃への負担が少ないため小児から大人まで幅広く使用できる。
② ロキソプロフェン :即効性があり早くて15分から遅くても1時間以内に効果が表れる。生理痛・歯痛等炎症を伴う幅広い痛みに対応できる。
③ イブプロフェン :解熱・鎮痛・抗炎症効果をバランスよく発揮し、頭痛の第一選択として使いやすい。
④ アスピリン :解熱・鎮痛・抗炎症作用。頭痛や歯痛によく効きますが若干胃への負担がある。小児では川崎病治療に使用されている。
⑤ エテンザミド :アスピリンとほぼ同じような使用感であるが胃への負担が少ない。
⑥ イソプロピルアンチピリン :ピリン系鎮痛剤。比較的強い痛みにも対応。

表1のうち解熱鎮痛効果の高いのはNSAIDsと呼ばれるイブプロフェンとロキソプロフェンで、即効性がありよく知られています。しかしNSAIDs潰瘍のリスクが高く、胃痛、腹痛には注意が必要です。また二日酔いなどのアルコール性の頭痛には不向きです。

(その他の補助成分)

医療用医薬品のほとんどは鎮痛成分が単体で含まれています。そのため医師は個人の体質や症状に応じて頭痛薬や胃薬、吐き気止めなど合わせて処方します。しかし、OTC薬では鎮痛成分を複数合剤にして鎮痛効果を高めたり、副作用を減らす目的で補助成分を配合しているものが多くあります。胃への負担を和らげる成分等も含まれておりその種類は豊富です。このため選択肢はさらに広くなりわかりにくくなっています。

・ 催眠・鎮静薬:鎮痛効果を高める目的で配合されていますが眠気を催しやすいこと、薬疹や習慣性のリスクが高いことから十分な注意が必要です。①アリルイソプロピルアセチル尿素 / ②ブロモバレリル尿素(連用で薬物依存を生じやすい)

・ カフェイン:覚醒作用、強心作用 中枢での興奮作用によって鎮痛効果を発揮して疲労感を軽減する。

・ 制酸剤:鎮痛薬の吸収を速め、胃粘膜を保護する。①酸化マグネシウム / ②メタケイサンアルミニウムゲル / ③乾燥水酸化アルミニウムゲル / ④合成ヒドロサルサイト

・ その他の成分:各種ビタミン類は発熱時に消耗するビタミン類を補給する。

■ 薬物乱用頭痛とは?

薬物乱用頭痛は鎮痛薬や急性期頭痛治療薬を慢性的に使用することで起こります。もし月に10回以上頭痛薬飲んでいるというあなたは要注意です!いつの間にかこの薬物乱用頭痛に陥っているかもしれません。もともと片頭痛や緊張性の頭痛を有している方がなりやすく、女性に多いと言われています。いくつかの原因のうちの一つが市販薬に含まれている催眠鎮静剤です。

鎮静作用を示すアリルイソプロピルアセチル尿素、ブロムワレリル尿素は中枢神経に作用して鎮痛作用を増強します。そのためメインの鎮痛成分の量を少なくすることができ、その分胃の負担が減るという利点があります。しかし催眠効果があり眠気が起こりやすく依存性もあるため要注意です。そのため連用しすぎるのは危険です。

また、多くの医薬品に配合されているのが無水カフェインです。カフェインは解熱鎮痛作用を穏やかに促進するためによく使われています。薬だけでなく、コーヒーやお茶、エナジードリンクなど多くの飲料に含まれているため過剰摂取になることがあります。カフェインに過敏になったり眠れない、頻尿などの症状が出ることもあります。

■ いつ飲むか?

もう一度、表1を見ながら頭痛薬はいつ、誰が服用するのかを考えて選んでみましょう。

<表1>頭痛薬の主な鎮痛成分と特徴
<表1>頭痛薬の主な鎮痛成分と特徴

① アセトアミノフェン :抗炎症作用はなく鎮痛効果は穏やかで、胃への負担が少ないため小児から大人まで幅広く使用できる。
② ロキソプロフェン :即効性があり早くて15分から遅くても1時間以内に効果が表れる。生理痛・歯痛等炎症を伴う幅広い痛みに対応できる。
③ イブプロフェン :解熱・鎮痛・抗炎症効果をバランスよく発揮し、頭痛の第一選択として使いやすい。
④ アスピリン :解熱・鎮痛・抗炎症作用。頭痛や歯痛によく効きますが若干胃への負担がある。小児では川崎病治療に使用されている。
⑤ エテンザミド :アスピリンとほぼ同じような使用感であるが胃への負担が少ない。
⑥ イソプロピルアンチピリン :ピリン系鎮痛剤。比較的強い痛みにも対応。

① 即効を求めている時 :ロキソプロフェンやイブプロフェン、あるいは鎮痛成分が複数合剤になったもの
② 胃の具合の悪い時 :穏やかな鎮痛剤で制酸剤の入ったもの
③ 仕事中など眠くなったら困る時 :鎮静剤の入っていないもの
④ 逆に具合が悪くて眠ってしまいたい時 :鎮静剤の入ったもの

ですので、上記(①~④)のように、ご自身の状況に応じて臨機応変に選んで使用できるようになるといいですね。しかし、鎮痛薬は手軽に手に入りますが予防薬として飲まないようにしてください。それでも痛みが始まったらなるべく早いうちに薬を飲みましょう。我慢していると痛みの原因物質が増えすぎてしまい鎮痛薬が効きにくくなることがあります。これら市販薬を用いるのはあくまでも対症療法です。短期的に使用して効果のない場合は、なるべく早く医療機関で相談してください。

■ 執筆 ■
竹内 敦子(たけうち あつこ)
株式会社メレコム、薬事センター管理薬剤師。
昭和55年に薬剤師免許を取得。その後、医学部臨床病理学で生化学研究室勤務。後、消化器内科学にて肝炎ウイルスの遺伝子解析、がん腫瘍マーカーなどの研究に携わる。現在は、同グループ会社 株式会社MeRecomの薬事センターにて専属薬剤師として活躍している。

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