<自転車の安全利用促進委員会レポート> 高校生の自転車事故件数ワースト10の山形県 教職員約50名が参加『自転車通学指導セミナー』を開催
自転車の正しい利用方法や安全安心な自転車の選び方、メンテナンスの重要性を啓発する自転車の安全利用促進委員会と一般社団法人自転車協会は、2022年6月10日(金)に山形県立山形工業高等学校で行われた『交通安全指導対策協議会』にて自転車通学指導セミナーを実施し、山形県内の高等学校等の教職員約50名が参加されました。
山形県は中学生・高校生の通学時の自転車事故が多く、当委員会の調査では、2020年に発生した1万人あたりの自転車事故件数において、高校生はワースト10となっています。山形県では自転車利用者の悲惨な事故を減らすため、県交通安全条例の改正がなされ、自転車保険の加入義務化のほか、自転車に乗る際のヘルメット着用を努力義務化しています。
講演では、山形県内の高校生の自転車事故の特徴や事故データに触れ、全国の自転車通学指導事例を紹介しました。また、見落とされがちな自転車自体の安全性(BAAマークについて)の大切さについて解説しました。講師の遠藤 まさ子(自転車の安全利用促進委員会メンバー/自転車ジャーナリスト)は、「事故を少しでも減らすためには、学校での自転車通学指導が要です。また、万が一事故が起きた際には、ヘルメットの着用有無が被害の大きさの分かれ目になり、保険加入の有無がその後の生徒や家族の人生を左右します。事故に遭わない・起こさないための教育のほか、事故に遭ってしまった・起こしてしまった時のことを考え、ヘルメット着用や自転車保険の加入はしっかりと指導していきましょう」と強調しました。また、「成人に比べ車の運転免許を持っていない高校生は、道路標識等を正しく理解できておらず、道路交通法を前提とした指導が必要です。また、通学自転車は毎日乗るため、BAAマークなどの安全マークが付いた自転車を選び、車検のように定期的にメンテナンスをすることが重要です。」と解説しました。
新年度が始まり、新入生の自転車通学が本格的に始まります。当委員会の調査では、中学生、高校生の自転車通学による事故は5・6月が最も多いことがわかっています。ルール・マナーだけでなく自転車の車体自体の安全性についても改めて理解いただき、他県の指導事例を参考に教職員の皆様が自転車通学の安全指導について考える機会となりました。
参加した教職員の感想
・自転車通学申請やメンテナンス、保険の指導など具体的な方法を指南いただき、大変参考になった。すぐに活かしていきたい。(教員)
・教員から生徒に教えてもなかなかイメージできていなく、悩んでいた。動画や、小テストを集会の時間に何度も実施することで意識が変わるのではないかと思い、使用していきたい。(教員)
参考資料
講師略歴
遠藤 まさ子
自転車の安全利用促進委員会メンバー/自転車ジャーナリスト
自転車業界新聞の記者や自転車専門誌の編集などを経てフリーランスへ転向。自転車・育児用品を中心に取材を行い各誌に寄稿。自転車の中でも子ども乗せ自転車、幼児車、電動アシスト自転車を得意とし、各種メディアで自転車の利活用、安全指導等解説を行う。
自転車の安全利用促進委員会
自転車の安全利用促進委員会とは、一般社団法人自転車協会の協力を受け、安全安心な自転車利用のための啓発活動を行う団体です。自転車の利用者の方々に快適な自転車生活を送って頂くため、購入時に知っておくべき自転車の選び方から購入後のメンテナンス、正しいルール・マナーなどの情報発信を行っています。また、活動の一環として教職員や学生を対象とした、自転車通学指導セミナーも全国で開催しています。
http://jitensha-anzen.com/
BAAマーク
BAAマークは、一般社団法人自転車協会が定める自転車安全基準に適合した自転車に貼られています。自転車安全基準には全部で約90項目の検査項目があり、ブレーキ制動性能、フレーム・駆動部の強度、ライトの光度、リフレクターの反射性能などの検査に合格する必要があります。
2020年都道府県別 自転車通学時の事故件数ランキング/山形県