ドローンで電力設備を自動点検/安全性と質が飛躍的に向上/2019年度に導入へ/岡山理科大とJパワーが共同開発

岡山理科大学と電源開発株式会社(東京都中央区、渡部肇史・取締役社長、以下「Jパワー」)が共同で、電力設備を自動的に撮影できるドローンを使った「電力設備自動撮影技術」を確立し、特許を出願しました。飛行制御・回避制御及び高速な画像処理を同時に行うことによって、ドローンの高精度な飛行を実現しました。現在は送電を止めて作業員が電線を伝いながら目視で点検するなどしているだけに、「電力設備自動撮影技術」を活用することで、点検業務の安全性向上とともに点検の質向上が大きく期待できます。

Jパワーと理大が共同で確立した「電力設備自動撮影技術」は、1.送電設備情報、2.最先端のセンサー技術及び制御技術、3.カメラ技術、4.画像処理技術を併せ持たせたドローンが、自動的に飛行ルートを計画し、撮影対象物である鉄塔・送電線などの設備に接近して精細な画像を取得する新たな技術です。

飛行制御・回避制御及び高速な画像処理を同時に行うことで、飛行不能に陥りやすい強い電磁場も回避するなど、ドローンの高精度かつ安定的な飛行を実現しました。また、目視できない見通し外飛行(ドローンと発着地点間に通信電波が届かない状態)でも、常に機体の状態(正確な位置や高度、飛行状態等)をモニタリングできるように通信を転送する中継ドローンを活用した見通し外無線通信を用いています。

さらに、画像処理を飛行時に行い、設備上に問題が検出されたとき、その位置と欠陥状況画像を記録することができます。ドローンの航行距離は、バッテリーの性能から1回で約3キロメートル程度です。

送電線設備などの高所設備は大半が山間部に配置されており、ドローンで撮影する場合、ドローンを遠隔操作する操縦者が設備に接近しても目視による操作では、送電設備との離隔距離が把握しづらく、また、ドローンが電線に過度に接近することで電磁界の影響を受け進行方向を見失うため、適切な距離を保つことが課題としてあります。

Jパワーと理大は、電力設備自動確認撮影技術の送電設備撮影への有効性の検証・評価を行い、2019年度に本格的な導入を目指します。この技術は今後、電力設備の撮影に限らず、衛星電波の届かない橋梁下や超高層ビルの外壁トンネル内の自動撮影など幅広い用途に活用することが期待できます。

Jパワーは全国97カ所に水力、火力、風力などの発電設備を所有。送電設備の総延長は約2,410キロメートルに及びます。

研究開発をしている工学部電気電子システム学科のクルモフ バレリー教授(制御工学)と太田寛志講師(画像工学)は次のように話しています。

クルモフ教授の話 現在は、送電設備の保守点検は主に作業員が目視で行っています。これは、高所での作業であるため危険が伴い、作業者にとっても事業者にとっても大きい負担がかかります。また、多くの送電設備は行きにくい山間部に配置されており、点検場所にたどり着くのに時間がかかります。
本技術により、ドローンが指定された点検場所までに自動的に飛行し、点検対象(架空地線、送電線、ガイシなど)の高精度な撮影を行うことで高所作業が大きく軽減されます。山間部の場合、作業員が普段に利用する駐車場からドローンを飛行させることで現場に赴く必要がなくなります。

太田講師の話 一般的には、大型ヘリコプターも用いて電線の撮影が行われていますが、電線を一方向からしか写さない欠点があります。電力設備自動撮影技術により電線を左右からだけではなく真上からも高精度な撮影が可能であり、大型ヘリコプターに比べて安価な点検ができます。また、自動撮影時に欠陥が発覚した場合、その箇所のさらに拡大撮影をし、欠陥の場所(位置)の記録ができる大きいメリットがあります。


【岡山理科大学について】
http://www.ous.ac.jp/
1964年、西日本初の理学部単科大学として応用数学科、化学科の2学科で開学。 2018年には愛媛県今治市に第2キャンパスを設け、西日本の私学で初の獣医学部を開設。7学部21学科1コースとなりました。「好奇心全開、探究心無限大」をキャッチフレーズに多彩な研究に取り組んでいます。

【本リリースに関するお問い合わせ先】
岡山理科大学 入試広報部
TEL:086-256-8412(内線1226)

実証実験に取り組む理大とJパワーの担当者
実証実験に取り組む理大とJパワーの担当者
実証実験で送電線の上を飛行するドローン=栃木県佐野市のJパワー送電技能訓練センター
実証実験で送電線の上を飛行するドローン=栃木県佐野市のJパワー送電技能訓練センター

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