【星野リゾート】CSV経営をさらに推進するために星野リゾートが考えるSDGsの取り組み

2021-11-01 14:00

近年、環境問題や社会問題などを背景に、2015年の国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の重要性が高まっています。日本の伝統や文化を活かしたおもてなしで旅を楽しくする星野リゾートは、SDGsを社会課題に関する国際的なフレームワークとして捉え、さまざまな取り組みを実施しています。

環境経営に取り組む「星のや軽井沢」

SDGs に対する星野リゾートの考え

星野リゾートのビジョンは、「Globally Competitive Hotel Management Company (世界で通用するホテル運営会社)」です。このビジョンを達成するために CSV 経営が重要だと考えています。CSV経営とは、「経済的価値を創造しながら、社会的ニーズに対応することで社会的価値も創造するアプローチ」です*1。当リゾートは、ホテルと地域は一心同体だと考えており、地域の魅力が高まることは、ホテルの業績に直結し、ホテルは地域の魅力を発信することで地域のブランド力を高めることに貢献できます。そして、地域のブランド力が高まることは、その地域の自然環境や伝統文化、地場産業など、貴重な資源を次世代に受け継ぐことに繋がると考えています。
また、星野リゾートでは、CSV 経営を促進するフレームワークとして、SDGs を捉えています。温泉旅館ブランド「界」では、伝統文化・伝統工芸の継承に向けた活動を行っています。環境経営の推進やフードロスの削減など、全国各地の施設で取り組んでいる内容をご紹介します。
*1 マイケル E.ポーター/マーク R.クラマー著「経済的価値と社会的価値を同時に実現する共通価値の戦略」ダイヤモンド社 2014 年

施設での取り組み事例

1 界の「ご当地部屋」と「ご当地楽」

「界」は星野リゾートが全国に展開する温泉旅館ブランドです。「王道なのに、あたらしい。」をコンセプトに、心地よい和にこだわった快適な空間で、その地域その季節ならではのおもてなしを追求しています。特に、地域の文化に触れる客室「ご当地部屋」と、地域の伝統文化や工芸を体験する「ご当地楽(ごとうちがく)」が特徴です。例えば、「界 長門」のご当地部屋「長門五彩の間」では、800 年以上の歴史を持ち、山口市の無形文化財に指定されている「徳地和紙」をベッドボードに取り入れました。「界 日光」のご当地楽「日光下駄談義」では、400 年の歴史をもつ伝統工芸「日光下駄」の歴史や特徴をストーリー仕立てで紹介します。このように地域の伝統文化や伝統工芸を宿泊施設のおもてなしに活用することは、その地域のブランド力を高め、担い手が少なくなってきている伝統工芸や地域文化の継承に繋がると考えています。

「界 長門」のご当地部屋「長門五彩の間」
「界 日光」のご当地楽「日光下駄談義」

2 星野リゾートのミルクジャム

コロナ禍の影響で、2020 年 3 月から全国の学校給食や外食産業における牛乳および乳製品の消費量が低下し、生乳を廃棄せざるを得ない状況が起きました。当リゾートは危機回避に協力したいという思いから、日本初のアグリツーリズモリゾート「リゾナーレ那須」で、那須町の牧場「森林ノ牧場」で起こる牛乳のフードロスを防ぐための活動を 2020 年 4 月に開始しました。牧場で搾乳した牛乳はより長期保存が可能な「ミルクジャム」へと加工し、行き場を失う生乳の廃棄削減に貢献しています。また、コロナ禍におけるフードロス問題が深刻化する中で、活動への賛同や製品の購入機会を望む声を多くいただき、全国の星野リゾートの施設で順次販売を行っています。

フードロスを解決したいという思いから誕生した「星野リゾートのミルクジャム」

3  環境経営

・EIMY
Energy In My Yard の頭文字をとったもので、自分たちの使うエネルギーは、できる限り自らの場所の自然エネルギーでまかなおうという考え方。星のや軽井沢では、自家水力発電と地中熱・温泉排熱利用設備を導入し、使用エネルギーの約 7 割を自給しています。(2020 年時点 エネルギー自給率 71%)

・ゼロエミッション
運営によって生じる廃棄物の単純焼却・埋立てごみゼロ=リサイクル率 100%を目指す取り組み。軽井沢事業所では「ゼロ委員会」を立ち上げ、多品種の廃棄物が排出されるホテルでは難しいとされてきたゼロエミッションを 2011 年 11 月から達成し続けています。

・プラスチックごみ削減に向けて「ペットボトルフリー」へ挑戦
客室でのペットボトル入りウォーターの提供をやめ、パブリックスペースにウォーターサーバーを設置します。また、それに伴い、オリジナルタンブラーを販売し、ペットボトルの利用とプラスチックごみ削減の促進にとどまることなく、その重要性の認知も広げてまいります。この取り組みは、2019 年 11 月 1 日に開業したリゾナーレ那須からスタートしました。

・エコツーリズム
地域の生態系を保全しながら、お客様にその魅力を伝え、理解を深めていただこうという観光のあり方。星野リゾートのエコツーリズム専門家集団「ピッキオ」では、専門知識を持つインタープリター(自然解説員)が、解説を交えながら動植物との出会いをサポートし、そのおもしろさにふれるネイチャーツアーを提供しています。また、人とクマの共存を目指したツキノワグマの保護管理事業を行っています。さらに、2021 年に世界自然遺産登録された西表島(いりおもてじま)に位置する「星野リ
ゾート 西表島ホテル」は、自然環境を保護し、持続可能な観光の仕組みを構築するため、「エコロジカルなホテル運営」「島の魅力と価値を感じるネイチャーツアー」「イリオモテヤマネコの保護活動」を軸に、日本初の「エコツーリズムリゾート」を目指します。

生き物の不思議を解き明かすエコツアー イメージ

星野リゾート 環境経営のあゆみ

1914 年 星野温泉旅館開業
1915 年 木製水車を利用した水力発電を開始
1992 年 社長 星野佳路(現・星野リゾート代表)が、「リゾート運営の達人」という企業ビジョンを掲げ、経常利益率・顧客満足度・環境経営の3つの指標を設定
1999 年 ゼロエミッションの達成のため「ゼロ委員会」発足
2003 年 ゼロ委員会の活動が、グリーン購入ネットワーク 第 6 回グリーン購入大賞「環境大臣賞」受賞
2005 年 環境省「第 1 回エコツーリズム大賞」受賞
2011 年 ゼロエミッション達成
2019 年 ホテルアメニティをポンプボトル式へ変更、個包装ソープ類撤廃(年内に完了予定)。ペットボトルフリーへの挑戦。歯ブラシリサイクルの取り組みを全国に展開。

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