今こそヨーグルトの菌や機能に注目! 味や価格などで、何となく選んではもったいない! ~4つの悩み別のヨーグルト組み合わせレシピを公開~
日本では大腸がんや潰瘍性大腸炎、クローン病など大腸に関する大きな病気が年々増加し、日本人の「大腸劣化」は深刻化しつつあると言われます。「大腸劣化」対策委員会では、「大腸」の機能が衰えることで、全身の健康リスクが高まっている状態を示す「大腸劣化」の認知を広げ、毎日の生活のなかで対策に取り組んでいただくための活動を行っています。
その活動の一環として、ヨーグルトの選び方の紹介や4つの悩み別のヨーグルト組み合わせレシピを公開します。
今年は感染症予防意識から、健康維持・増進への関心が高まり、ヨーグルトの購入意向が上がっていると言われます。ヨーグルトは「大腸劣化」対策に役立つビフィズス菌などの善玉菌を手軽に摂取できる食品で、現在多くの種類のものが販売されていますが、購入時は「とりあえずいつものヨーグルトを買っておこう」などと、何となく選んでしまうことが多いようです。
2019年にヨーグルト購入の際の重視点(重視点・最重視点)を聞いた調査では、普段ヨーグルトを食べている人の6割以上が「味」や「価格」で選んでいることが明らかになっています。
日々の食生活の中に取り入れやすいだけに、何となく同じものを買っている、もしくは昔から馴染みがあるものを変わらず食べ続けている、という方が多いのかもしれません。それに対して、効果効能で選んでいる人は全体の約4割、菌で選んでいる人は約2割と、比較的少ないのが現状です。一口にヨーグルトと言っても様々な種類や効果効能、菌のはたらきがある中で、「何となく」で選ぶのは、実は非常にもったいないことです。そこで、今回は、何となくで選ばない!得するヨーグルトの選び方からそれをふまえたカラダの悩み別のヨーグルト組み合わせレシピを、管理栄養士の柴田真希先生にうかがいました。
自分に合う菌を探してみよう
市販のヨーグルトには、各商品異なる様々な菌が含まれています。
ヨーグルトはもともと乳酸菌の発酵作用によって作られるため、全てのヨーグルトに乳酸菌が入ってますが、ビフィズス菌はそのヨーグルトに添加されるものであり、そのため全てのヨーグルトにビフィズス菌が入っているわけではありません。ビフィズス菌と乳酸菌を「同じじゃないの?」と混同している人は少なくありませんが、両者は定義が異なるまったくの別物です。いわゆる乳酸菌とは、食物繊維やオリゴ糖を食べて産生した代謝産物の50%以上が乳酸であるものを指します。ビフィズス菌は産生する代謝物のうち乳酸の産生量が50%に満たないため、乳酸菌の定義には当てはまらないのです。
ビフィズス菌の大きな特徴として、乳酸の他に短鎖脂肪酸の一種である酢酸を産生することが挙げられます。酢酸は殺菌作用・抗炎症作用・腸管バリア保護機能などさまざまな機能を持ち、近年では抗メタボ作用も認められたことで、大腸劣化やお腹まわりの強い味方として注目が集まっています。
またそれぞれの棲息場所も異なります。酸素があると生きられない(偏性嫌気性)ビフィズス菌は主に大腸、酸素があっても生きられる(通性嫌気性)乳酸菌は小腸に棲んでいます。消化管の一番奥にあり、酸素がほとんど無い大腸における比率は、ビフィズス菌999に対して乳酸菌はわずか1と言われています。
食べ続けて実感!ヨーグルトの効果
ヨーグルトの菌には、腸内環境改善効果を始め、尿酸値の上昇を抑制する、内臓脂肪を減らす、さらに歯茎や口内の状態を健康に保つなど、さまざまな健康効果・機能が認められているものがあります。
●ヨーグルトの菌の健康効果・機能の一例
・腸内環境改善・おなかの調子を整える
・腸内環境改善・便秘改善
・食後尿酸値の上昇を抑制
・内臓脂肪を減らす
・歯茎を丈夫で健康に保つ
・口腔環境を良好に保つ
参考:消費者庁ホームページ掲載
販売中の「特定保健食品(トクホ)及び「機能性表示食品」商品(個食)2020年7月末現在
このように、ヨーグルトは入っている菌がそれぞれ異なり、その菌によって得られる効果が異なるため、自分の目的に合ったものを選んで買うことがとても大切です。さらに、そもそも大腸における腸内細菌の構成は人によって異なり、理想のバランスもそれぞれに違うため、「これがいいかな?」と思えるヨーグルトを見つけたら、2週間ほど食べ続けてみることをおすすめします。そうすることで、その菌が自分に合っているかどうかがわかってきます。2週間食べ続けて効果を感じてきたら、その菌はあなたに合っているということです。ぜひ食べ続けて効果を享受し続けてください。ビフィズス菌による短鎖脂肪酸産生など、摂取した善玉菌が体に嬉しいはたらきをしてくれるのは、それらが大腸に滞在している間だけです。ヨーグルトの効果をしっかりと体に還元する意味でも、自分に合うヨーグルトを見つけたらそのまま食べ続けるようにしましょう。
他にもヨーグルトに含まれる菌の効果は、メーカーや専門機関の研究者により、肌トラブル改善や免疫力向上、花粉症の症状抑制など新たなものが次々と報告されています。その可能性は今後もますます期待できるといえるでしょう。
カラダのお悩み別ヨーグルト組み合わせレシピ
自分の目的に合ったヨーグルトだけをそのまま食べるのもよいですが、さらに相乗効果を見込める方法があります。まずビフィズス菌などの善玉菌を増やすため、餌となる食物繊維を組み合わせたシンバイオティクスをベースにします。それによって、菌の働きをより活発にしつつ、悩みに合わせて食べあわせる食材を工夫しましょう。ここでは、代表的なカラダのお悩みに合わせたお手軽レシピをご紹介します。
<便秘に>りんごのコンポートヨーグルトがけ
~ポイント~
ヨーグルトの善玉菌に加え、水溶性食物繊維(りんご)やオリゴ糖(はちみつ)を摂りましょう。「冷え」も便秘の原因になるため、りんごは冷やさず温かいまま食べるのもおすすめです。
●作り方
- りんご(1個)をよく洗い、皮付きのまま4等分に切って芯を取る。
- 耐熱ボウルに(1)とはちみつ(大さじ2)を入れてラップをかけ、600Wの電子レンジで2分加熱する。
- 10分くらい置いてなじませ、ヨーグルト(100~200g)をかけお好みでシナモンパウダーをふっていただく。
<肌悩みに>ヨーグルトビシソワーズ
~ポイント~
大腸と肌も密接な関係があります。大腸で吸収された有害物質が全身を巡り、肌にも悪影響として表出してしまいます。ですので、ヨーグルトと食物繊維で大腸をケアしつつ、肌悩みに有効な抗酸化作用があるビタミンA(ほうれん草・にんじん)、C(じゃがいも)、E(オリーブオイル)を一緒に摂ることがポイントです。バジルやしそを加えると、さらにビタミンAをプラスできます。
●作り方(材料は2人分)
- じゃがいも(1個・150g)は皮をむき、一口大に切る。
- 小鍋に(1)と水(200ml)、コンソメ(小さじ1)、塩(少々)を入れ中火にかけ、蓋をして10分くらい煮る。じゃがいもが柔らかくなったらマッシャーでつぶす。
- 粗熱が取れたら、ヨーグルト(100g)を加えて混ぜる。器に盛りつけ、黒こしょう(少々)、オリーブオイル(小さじ2)を加える。
<ダイエットに>なめたけヨーグルトソース
~ポイント~
大腸のはたらきを整えると、新陳代謝も良くなります。また低カロリーなきのこは食物繊維が豊富。食事のはじめに食べると血糖値の上昇を緩やかにし、ダイエットをサポートしてくれます。
●作り方(材料は2人分)
なめたけの作り方・出来上がり量約100g
えのきだけ(1袋・100g)を1cm長さのざく切りにする。小鍋に水(大さじ2)と共に入れて蓋をして中火にかけ、えのきだけから水が出てきたら、酒・みりん(各大さじ1/2)、しょうゆ(大さじ1)を加えて蓋をあけ水分を煮飛ばす。なめたけ(50g)と、ヨーグルト(50g)を混ぜ合わせる。
※なめたけは冷蔵庫で1週間程保存可能。
・焼いた肉などのソース代わりに
・そのまま食べて
・茹でたほうれん草や納豆と和えて
・ごはんにかけて(雑穀ご飯・玄米ご飯ならさらに効果UP!代謝を良くするマグネシウム、ビタミンB群が豊富)
<免疫力UPに>かぼちゃのヨーグルトドレッシングがけ
~ポイント~
腸には全身の免疫細胞が多く存在し、腸内環境を整えることで免疫力アップにつながると言われています。発酵食品(みそ・チーズ)も数種類組み合わせることがおすすめです。ビタミンA、C、E(かぼちゃ)も免疫力アップ効果が期待できます。
●作り方(材料は2人分)
- かぼちゃ(適量)を薄切りにし、耐熱容器に入れてふんわりとラップをかけ、600Wの電子レンジで1分半~2分加熱する。
- ボウルにみそ(大さじ1)、はちみつ(大さじ1/2)、すりおろしにんにく(少々)、ヨーグルト(大さじ4・60g)の順に入れて混ぜわせる。
- 器に(1)を盛りつけ、(2)をかけ、お好みで粉チーズや黒こしょうをかける。
・サラダにかけて
・茹でたり焼いたりした肉・魚などにかけても
このように今まで何となく選んでいたヨーグルトにも、さまざまな種類や効果があるのです。腸内環境や体のお悩みに合わせたヨーグルトの選び方で、「大腸劣化」対策に役立てましょう。
管理栄養士 柴田 真希先生
女子栄養大学短期大学部卒業後、給食管理、栄養カウンセリング、食品の企画・開発・営業などの業務に携わり、独立。27年間悩み続けた便秘を3日で治した「雑穀」や「米食の素晴らしさ」を広めるべく、雑穀のブランド「美穀小町」を立ち上げる。現在はお料理コーナーの番組出演をはじめ、各種出版・WEB媒体にレシピ・コラムを掲載する他、食品メーカーや飲食店のメニュー開発やプロデュースなどを手がける。