世界初、有機営農型ソーラーハウスを共同開発へ ハルカインターナショナル、中国横店集団東磁と事業協定 2022年から有機キノコ栽培参入企業向けの販売商材に ハルカ社農場は100%脱炭素化の生産ライン構築へ
有機JAS菌床キノコメーカーの株式会社ハルカインターナショナル(本部農場:岐阜県郡上市、代表:井上九州男)は、有機認証キノコが栽培できる営農型ソーラーハウスの開発、販売を目的に、中国浙江省の大手磁性材料、電子モーター、ソーラー事業の横店集団東磁股■有限公司(DMEGCグループ)と共同事業を開始しました。9月1日付でDMEGCグループ日本支社でもあるDMEGCジャパン株式会社(所在地:東京都港区、代表取締役:楼●)と事業協定書を交わしました。
循環型農林業のプラットフォーマーを自認するハルカ社では以前から、自然再生エネルギーを生み出す太陽光発電とソーラーパネルを自社の事業に活用できないか、模索してきました。近年、急速に世界規模の脱炭素化社会モデルが求められる中で、DMEGCグループとの交渉が進展し、協業を始めることになりました。
2社の協業では2021年内に、ハルカ社本部農場内に、営農型ソーラーハウスのモデル施設を着工します。施設内で有機キノコ菌床の培養、キノコの栽培について試行作業を行い、ハルカ社独自の開放型栽培技術を生かした生産ラインが構築できるかを確認します。また、ソーラーパネルの重量物に耐えられるように、菌床配置棚を施設構造と一体化させるなど、設計基準の設定などについても試行を行います。
農業ハウス内はキノコ菌床を配置するため、遮光性が必要なことから、ハウスの屋根部分のパネルはほぼ全面張りの設計となり、発電量の確保も容易となります。これらの試行を重ねた上で、早ければ2022年にも、ハルカ社への事業参入企業の事業地などに、有機営農型ソーラーハウスの施工事例をつくっていきます。当面は脱炭素化の事業取り組みが急務となっている大手企業を対象に施工事例を増やしていきます。
また、日本国内販売のソーラーパネル、関連資機材のほとんどが、横店集団など中国大手メーカーによるOEM生産で供給されています。このため、有機営農型ソーラーハウスの開発を2社で行うことで、販売モデルの施設施工経費の低廉化を図り、事業参入のハードルを下げていきます。発電した電力は施設内活用で脱炭素化100%モデル農場を目指してもらうほか、参入企業ごとに電力の活用を図ってもらいます。
2社の協業では、有機ソーラーハウスの新設だけにこだわらず、工場や倉庫など大型遊休施設の居抜き活用事業でも、有機ソーラーハウスへの転用によるリノベーション戦略を事業者に提案していきます。ハルカ社の特色は、密閉型あるいは半閉鎖型施設でしかキノコ栽培ができない従来型と違う次世代型栽培モデルのため、居抜き施設利用でも独自の技術を発揮できます。脱炭素化モデル事業で栽培された有機キノコ商品は、流通や消費者にさらに歓迎されるとみています。
横店集団東磁股■有限公司(DMEGCグループ)は、浙江省の東陽市に立地する電子部品製造の横店集団ホールディングスの中核企業です。1980年の創業後、地場にあった磁石原料から磁性製品(マグネット、フェライトコア)、電子モーター機材などを生産。2006年に国内上場後、浙江省や河南省を拠点にソーラーパネルの一貫生産を行い、従業員1万6千人余が70種1万点以上の資機材を米国や日本、欧州など世界50カ国に輸出しています。このうち、ソーラー製品は長年にわたって、日本の大手メーカーに供給。出荷量は年率15%以上の伸びとなっていて、高品質な資機材として評価されています。
ハルカ社はシイタケ、キクラゲなど8種類のキノコの有機JAS認証を獲得する国内最大のオーガニック農場です。利用先に窮している国内の広葉樹、照葉樹を菌床原料に活用して、広葉樹林などの萌芽更新を促しているのをはじめ、キノコ栽培で不用となった菌床は、高い機能性を誇る有機堆肥に再利用して、今秋にも販売を開始します。さらに今回、自然再生エネルギーの太陽光発電の自家発電事業モデルを加えることで、脱炭素化社会づくりに向けた有機農林業モデルを国内外に提案していきます。
ハルカ社は自社農場に有機ソーラーハウスのモデル施設着工を機に、施設内の乾燥加工ラインなどの熱源を灯油・重油から、電化への切り替えを行い、100%脱炭素化のモデル農場を目指します。今後、参入企業向けには、有機ソーラーハウスと太陽光発電エネルギーの活用によって、100%脱炭素化農場を目指してもらいます。
※●は九ヘンに虎、です。
日本の有機JAS認証制度をはじめ、世界の有機農産物生産に関する理念や制度は、環境に負荷をかけない生産行程が大原則となっています。太陽光発電は自然再生エネルギーとして、有機認証の獲得の際にも適合エネルギーとして認められています。一方、現況では営農型ソーラー事業はこれまで農地転用だけを目的とした事例がほとんどだった上、ソーラーパネル下の農地は様々な制約が発生して、付加価値の高い農産物の生産には至っていませんでした。
※■はニンベンに分、です。