「Less Micro Plastic(レスマイクロプラスチック)」 プロジェクト認証洗濯ネット、 京都大学 田中 周平准教授との共同研究において、 排出量85%以上削減を確認
伊藤忠ファッションシステム株式会社(所在地:東京都港区北青山、代表取締役社長:駒谷 隆明)では、2020年より洗濯等により排出される化学繊維の繊維片、マイクロプラスチックファイバー(以下 MPF)の排出量の測定サービスを展開しております。また排出検査から、平均排出量と、排出量低減が可能なレベルを把握し、それらを独自の認証「Less Micro Plastic」として、製品等に付与しております。2021年秋冬シーズンより、アウトドア・スポーツウェアメーカーを中心に、認証商品の展開がスタートしております。
この度、その認証商品の1つである洗濯ネットにおいて、マイクロプラスチック研究の第一人者である、京都大学地球環境学堂准教授 田中 周平氏との共同研究を実施し、認証洗濯ネット利用により、洗濯で流出するMPFの排出重量を85%以上*1除去できることを確認致しましたので、発表いたします。(*1:洗濯ネットあり・無しの各試験体からの1回目/5回目/20回目の排出重量の合計から算出)
今後、認証素材を用いた製品からの脱落量等、さらなる研究を進めてまいります。
MPFは、環境汚染物質として、世界的に関心を集めており、一部の国では、排出低減に向けた法律による規制もできています。そのため、MPF排出への対応は日本の繊維産業においても喫緊の課題であると考え、本プロジェクトを引き続き推進してまいります。
共同研究の概要
●目的:
繊維由来のマイクロプラスチック排出メカニズムや排出抑制方法の研究
●着手時期:
2022年1月より(現在も研究実施中)
●主な研究内容(現時点):
- 田中准教授の試験方法による各段階(洗濯回数、1回、5回、20回、50回)で各試験体(以下2~4)から排出されるMPFの重量・数量・排出物の長さ(以下排出量)の測定
- 一般的に販売されているフリース等の起毛製品からの洗濯時MPF脱落量測定
- Less Micro Plasticの認証商品である洗濯ネットを活用した場合の、一般的に販売されているフリース等起毛製品からの洗濯時MPF脱落量測定
- Less Micro Plasticの認証素材を用いた起毛製品からの洗濯時MPF脱落量測定
- 測定結果の考察によるMPF脱落のメカニズムとその排出量抑制方法の検討
現在の研究内容と、そこからわかったこと
●現在の研究内容:
上記研究内容の、2(一般的フリース等製品の洗濯試験)及び3(Less Micro Plastic認証の洗濯ネットを活用した一般的フリース等製品の洗濯試験)
●研究の進捗:
各試験体について、20回までの洗濯試験及び排出重量測定を実施
●現段階までにわかったこと:
Less Micro Plastic認証の洗濯ネット利用により、洗濯から流出するMPFの排出重量を、85%以上除去できることが判明。
MPFの排出重量軽減のためにLess Micro Plastic認証製品の活用が有効であることが証明されました。
●田中准教授による研究結果数値:
●検査で測定された繊維製品から排出されたMPF:
視覚的にも洗濯ネットのあり、なしによりMPFの排出量が変化したことが明らか。
今後の研究等の予定
●研究予定:
上記研究内容の、2(一般的フリース等製品の洗濯試験)及び3(Less Micro Plastic認証の洗濯ネットを活用した一般的フリース等製品の洗濯試験)の50回までの洗濯試験の実施、排出量の測定
上記研究内容4(Less Micro Plastic認証素材を用いた製品の洗濯試験)の実施等
●京都大学地球環境学堂 准教授 田中 周平氏プロフィール
研究分野:
環境調和型産業論
所属学会:
日本水環境学会、土木学会、京都大学環境衛生工学研究会
経歴:
2003年 立命館大学大学院理工学研究科総合理工学
専攻博士課程後期課程 修了
2000年 立命館大学理工学部 第1号助手
2004年 京都大学助手 大学院工学研究科附属環境質制御研究センター
2008年 京都大学准教授 大学院地球環境学堂
北太平洋海洋科学機関PICES(North Pacific Marine Science Organization)・Marine Microplastics・委員
日本水環境学会・湿地・沿岸域研究委員会・委員長
繊維製品から発生する繊維屑測定の試験方法に関する国際標準開発委員会・委員長
●Less Micro Plastic認証洗濯ネットの概要
0.025mmの極細特殊ナイロン素材を使用。
超微細な網目構造により、洗濯時に衣類から出る繊維屑(MPF)をネット内に捕集し、排水を通した海洋への流出を防ぎます。