ワープスペース、初号機衛星「霊峰(LEIHO)」 に決定
宇宙における光通信ネットワーク、2024年冬~2025年春にサービス開始予定
小型衛星を活用した宇宙空間での光通信サービスの実現を目指す株式会社ワープスペース(茨城県つくば市、代表取締役CEO:常間地悟)は、本日5月31日(水)、サービスを構成する初号機衛星「LEIHO(霊峰)」を公開しました。併せて、同機が2024年冬~2025年春に打ち上げ、サービスの開始を予定していることを発表しました。
ワープスペースは日本の誇る宇宙開発の技術をもって、いかに人類社会へと貢献できるかを2016年の会社設立当初から考えてまいりました。
まずは筑波大学の「結」プロジェクトより継承された小型の通信衛星開発技術と、新たに開発した低コストかつ可搬式の小型地上局をかけあわせた「WarpHub」事業を開始いたしました。森林火災や水害などの社会課題を抱えつつ、高コストのインフラ整備を進めるには障壁が多い地域への貢献を目指しました。2019年にはアフリカ国営通信と覚書を交わし、ルワンダにて地上局を設置しました。
その後、低軌道衛星の数が爆発的に増えていく中で、電波通信の限界が目に見えてきたときに、日本の持つ高度な宇宙空間における光通信の技術に着目をし、衛星間光通信を用いて宇宙と地上とをつないでいく「WarpHub InterSat」事業をスタートさせます。
この構想にあたって衛星開発と運用の実証試験を行うために出来上がったのが実証衛星「日輪」です。五十嵐つくば市長に見守られる中で、国際宇宙ステーションより、先日引退を発表された野口聡一宇宙飛行士の手によって放出されました。
それらの成果を踏まえてWarpHub InterSatを構成する初号機の開発が現在進んでいます。「日輪」に基づいた自社の通信衛星開発の経験に加え、JAXAとESAが2005年に成功させた双方向光衛星間通信OICETS計画に関わられた東海大学の高山教授の参画により日本の持つ知見を私たちは継承しております。加えて元JAXAの技術者や、サイバーセキュリティの専門家にも参画いただき、様々な技術を結集しつつ開発を進めています。そして、おおよそのマイルストーンが設定され、この度2024年冬から2025年春を目途にサービスを開始する予定を発表するに至りました。
ワープスペースは茨城県つくば市に拠点をおくスタートアップであり、これまでにも地域の厚いご支援をいただき、ここまで辿り着くことができました。そして、ここから世界の架け橋となるべきサービスを開始します。その中で、茨城県つくば市を代表する名山である「筑波山」は、地域に根付き、世界中の人々の想いを集める、西の富士山と並ぶ「霊峰」と呼ばれます。
私たちもWarpHub InterSatを様々な地域のご支援を元に、宇宙をつなぎ、世界をつないでいくサービスにしていきたいという想いを込めて、初号機には「LEIHO(霊峰)」という名称をつけさせていただきました。なお、アルファベットのLEIHOは「Lasercom Exploration Inter-sat Hub One」の略称となります。まだ宇宙では光通信が実用化されていない中で、実用化を前提とした初めての衛星となる、その意義を名前に込めています。
特に現在は自然災害や安全保障において、いかにすぐにデータを取得し、適切な対応ができるかが重要になってきています。衛星データはこれまでも広い地域を定常的に観測するのに優位性をもってきました。しかし、データ取得には予約から1時間以上の時間を要しました。光通信ネットワークが浸透すると衛星データの強みに「即応性」が加わることになり、迅速かつ的確な災害支援や素早い脅威の検知とモニタリングを行うことができるようになります。
代表取締役CEO 常間地のコメント:
「ビッグデータを用いたAIや機械学習を用いた解析において様々なイノベーションが地上で成されていく中で、地球観測データの利活用についての注目も世界的に高まってきました。しかし、衛星データを即応的に、また高頻度に入手することは長い間解決されることがなかった課題でした。衛星データを即応的かつ高頻度に入手できれば、より安全で持続可能な社会を実現できると私たちは考えます。WarpHub InterSatはその「ミッシングリンク」を埋める、宇宙開発において大きな意義を持つネットワークになります。その初号機となる「霊峰」は、次の時代を切り拓くための、業界的にも、世界的にも重要な衛星だと考えており、この度の発表をさせていただきました。様々な方々の期待を載せて、しっかりとサービスを開始できるよう、また一段ギアを上げて事業に取り組んでまいります。」
【株式会社ワープスペース】
2016年に設立。民間として世界初の宇宙空間における通信ネットワーク「WarpHub InterSat」の実現を目指す。大学衛星プロジェクト時代を含め、これまで3機の衛星を打ち上げており、宇宙や人工衛星に関する高い専門性を持つ。加えて、JAXAをはじめとした研究機関とのパートナーシップ、つくば研究学園都市が保有する豊富な実験・試験設備等を強みとする。