道路の更新費用を最適化するデジタル基盤を開発、 自治体向けに「劣化予測に基づく修繕計画策定支援サービス」の提供を開始
株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)、NTTコムウェア株式会社(以下、NTTコムウェア)とインフロニア・ホールディングス株式会社(以下、インフロニア)は、道路運営における「更新費用の最適化」に向けた実証実験を行い、劣化予測に基づく長期修繕計画策定のためのデジタル基盤「Digital Twin Road Management基盤」(以下、DTRM基盤)を開発しました。インフロニアは、NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)と連携して、DTRM基盤を活用した「劣化予測に基づく修繕計画策定支援サービス」(以下、本サービス)を2024年4月から提供開始します。本サービスの提供を通じ、道路舗装のライフプランナーとして、事後保全から予防保全への転換による道路の更新費用の最適化に貢献します。
1. 背景と概要
近年、多くの自治体において、高度経済成長期に整備されたさまざまなインフラの老朽化への対応が喫緊の課題となっています。限られた財源や技術者でインフラを維持・管理していくためには、正確な現状把握とデータに基づく的確な計画策定による予防保全の実施が不可欠です。
本サービスでは、自治体の保有する道路舗装の点検データを用いることで、劣化予測に基づく長期的な修繕計画の策定およびコスト・健全性のシミュレーションを行い、最適なコスト・状態で道路を維持できるよう自治体の支援を行います。シミュレーションには年間予算や修繕閾値など各自治体の方針を踏まえることも可能となっており、職員の手間をかけずに、ライフサイクルコストの最適化やリスクの見える化を実現します。
本サービスの提供には、インフラ業界向けに提供しているメンテナンスやオペレーションサイクルに関するDXソリューション「Smart Data Fusion(R)(※1)」を基に開発したDTRM基盤を活用しています。本基盤では、点検データをインプットすると「混合マルコフ劣化予測ハザードモデル(※2)」による劣化予測や、それを基に最適化した長期修繕計画の策定およびコスト・健全性シミュレーションを行うことができます。なお、本基盤は、ドコモ、NTTコムウェアとインフロニアで行った実証実験を踏まえて開発しており、知多半島道路などを対象にした検証では、今後30年間のライフサイクルコストを20%削減できるシミュレーション結果が得られました。
2. 各社の役割
3. 今後の取り組み
本サービスは、インフロニアのグループ会社である愛知道路コンセッション株式会社の管轄道路での活用を予定しているとともに、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)(※3)における取り組みの一環として、社会実装を推進していきます。各社は、今後もそれぞれの活動を通じて、自治体が抱えるインフラ老朽化に関するさまざまな課題解決に貢献していきます。
(※1): 「Smart Data Fusion」は、スマートインフラに向けて、インフラ設備の管理・運用
情報・3D情報・リアルタイム情報を収集、デジタルツイン空間に統合し、設備管理・
投資の最適化に貢献するデータ分析・活用基盤です。詳細は、下記サイトをご確認
ください。「Smart Data Fusion」は、NTTコムウェア株式会社の登録商標です。
https://www.nttcom.co.jp/smtech/sdf/
(※2): 「混合マルコフ劣化予測ハザードモデル」は、大阪大学大学院工学研究科の貝戸教授ら
が階層ベイズ推計手法を開発した道路の健全度の推移を確率論的手法を用いて推定
するモデルです。道路の特性によるグルーピングごとに劣化を予測します。
(※3): SIPは、内閣府総合科学技術・イノベーション会議が司令塔機能を発揮して、府省の
枠や旧来の分野を超えたマネジメントにより科学技術イノベーション実現のために
創設した国家プロジェクトです。第3期「スマートインフラマネジメントシステムの
構築」サブ課題e2「EBPM による地域インフラ群マネジメント構築に関する技術」の
中で本取り組みを推進します。